バカとテストとウチの弟   作:グラン

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いやー嬉しいですね♪

それでは新章突入!

そして事件が・・・


島田海人失踪編
第百二十三問 事件の幕開け


  ※体育祭の夜※

 

 

「あれだけ大口をたたいておいてこの様か」

 

 

そう言い放ったのは根本父

そしてこの部屋には彼と根本恭二の二人しかいない

 

 

「根本家の人間でありながら敗北。それもあんな不様なミスで負けるとは情けない。恥晒しが」

 

 

恭二は悔しそうに顔を歪めるが何も言えない

と、そこに・・・

 

 

「父さん、文月物産の方からお電話です」

 

 

一人の青年がドアをノックし要件を言った

彼は根本正一、根本恭二の兄で現在名門大学の二年生で主席

 

 

「わかった。もういい。お前の言葉を鵜呑みにした俺が馬鹿だった。部屋で勉強でもしていろこの出来損ないが」

 

 

そう言われ、恭二は顔をしかめるが反論できずそのまま黙って部屋から出た

 

 

(くそっ!どいつもこいつも俺をバカにしやがって!!)

 

 

『出来損ない』

それは恭二が今までずっと言われ続けていた言葉だった

優秀過ぎる兄と比べられ続け、小学校へ入学しても中学に上がっても『なんでできないの?』『お兄さんは出来ていたのに』と言われ、友達もできず、『根本家の出来損ないの方』と呼ばれ続けていた

 

 

(pipipi)

 

 

と、そこにメールの着信音が鳴り響く

 

 

「んだよ。どこのどいつだ・・・」

 

 

文句を言いつつメール内容を確認

そして・・・彼の口元が醜く歪んだ

 

 

  ※体育祭翌日※

 

 

「えっとね、ここは・・・」

 

「なるほどです!」

 

 

今日は体育祭の振り替え休日

今回の体育祭でグラウンドに設置した機材を撤去するのに時間が掛かるため生徒には三日の休みが与えられた

島田家では葉月が宿題をしており、それを教えているのは美波と海人・・・

 

 

「ごめんね優子さん。葉月の宿題の面倒みてもらっちゃって・・・」

 

 

・・・ではなく、木下優子である

ちなみに、ついでに野球部のグラウンドも業者を呼んで整備するため海人や優子も部活が休みである(秀吉は部活)

 

 

「それは別にいいんだけど・・・アンタたち、いくら国語とはいえ二人揃って小学生の問題が分からないってどういうことよ」

 

((ササッ))

 

 

優子がジト目で睨むと海人と美波は視線を逸らす

そもそも優子が島田家に来たのは、海人が自主練で無茶をしていないか確認するため

抜き打ちで来たところ『ちょうどよかった。助けて!』と言われ、現在に至る

 

 

「ニホンゴッテムズカシイネ」

 

「ホントヨネ」

 

「・・・葉月ちゃんが終わったら次はアンタ達の番よ」

 

「「は、はーい」」

 

 

優子の威圧感にたじたじの二人だった

そして数時間後

 

 

「アタシまでごちそうになっちゃって悪かったわね」

 

「いいのよ。葉月の勉強を見てもらったお礼なんだから。それにご飯はみんなで食べた方が美味しいでしょ」

 

 

一緒に夕食を済ませた優子はそろそろ帰らなくてはと帰宅の準備をする

 

 

「優子さん、家まで送っていくよ」

 

「いいわよ。そんなに遠くないんだし」

 

「ダメダメ。こんな夜中に女の子を一人で帰らせるわけにはいかないよ」

 

「うーん・・・じゃあお願いしようかな」

 

「うん。じゃあちょっと行ってくるね」

 

「気をつけてね」

 

「優子お姉ちゃんバイバイです!」

 

「うん。あ、二人とも、明日って何か予定ある?」

 

「僕は特には・・・」

 

「ウチも無いわよ」

 

「よかった。それじゃ明日も古典の勉強するわよ♪」

 

「「・・・ゑ?」」

 

「え?じゃないわよ。なんなのあの回答は。中間テストも近いんだから勉強しなきゃダメでしょ。明日はビシビシいくわよ」

 

「「は、はーい・・・」」

 

 

そう言って海人と優子は家を出た

 

 

「ふぅ・・・まぁたしかに最近勉強を怠ってたしちょうどいいかな」

 

 

そんなことを考えつつ、のほほんと海人の帰りを待っていると・・・

 

 

(pipipi)

 

 

「メール?海人から?」

 

 

『優子さんのお父さんに『もう遅いから今日は泊まって行きなさい』と言われたのでこのまま泊まって帰るね』

 

 

「あら、随分気に入られているのね」

 

 

気に入られていなければ年頃の娘と同い年の男を家に泊めたりはしないだろう

などと考えつつメールを読む美波

 

 

「まぁ邪魔しちゃいけないわね♪『了解。おやすみ』・・・と」

 

「お兄ちゃんお泊りですか?葉月も行きたいです!」

 

「ダメよ。葉月は明日学校でしょ?」

 

「あう、そうでした・・・」

 

 

しょんぼりとする葉月

 

 

(かわいそうだけど、仕方ないわよね・・・そうだ!)

 

「あっもしもしアキ?よかったら・・・」

 

 

数分後、明久は島田家にお泊りにやってきて葉月の機嫌は元通りになった

 

 

  ※翌朝※

 

 

「行ってきますです!」

 

「いってらっしゃい葉月ちゃん」

 

「車に気をつけるのよ」

 

「はいです!」

 

 

明久と美波に見送られ、葉月は小学校へと登校した

 

 

「玲さんは今日も遅いの?」

 

「うん。なんか最近忙しいみたい。昨日も晩御飯食べたらすぐに出て行っちゃったし・・・」

 

「そう、あのさ、アキ。今日ってこの後何か予定とかある?」

 

「(これってデートの誘い?)ううん。何にもないよ」

 

「そう、よかった。実は今からね、優子と一緒に古典の勉強をすることになってるの」

 

(シュバッ!)←明久は逃げ出した

 

(ガシッ!)←しかし逃げられなかった

 

「ふふ、逃がさないわよアキ。これで優子に怒られる比率が減るわ」

 

「ちょ、美波!わかったから引っ張らな・・・わっ!」

 

「え?きゃ!」

 

 

バランスを崩した美波と明久はそのまま倒れ込む

 

 

「ご、ごめん!大丈夫!?」

 

「う、うん。ウチの方こそごめん」

 

 

状態は美波の上に明久が覆いかぶさるような感じだ

二人の顔の距離はわずか数センチ

赤くなる二人の顔

そして二人は目を閉じ唇が重なっ・・・

 

 

「おはよう美なm・・・」

 

 

恐ろしいほどのタイミングの悪さで優子がやってきた

そのままフリーズする二人

 

 

「え、えっと・・・その・・・そういうことするならドアは閉めた方がいいと思うわよ?」

 

 

そう、明久が逃げようとした際にドアが開きっぱなしになっていたのだ

 

 

「い、いいいいいいらっしゃい!優子さん!」

 

「おおおお、遅かったわね!」

 

(無かったことにした!?)

 

 

勢いよく立ち上がり体勢を整えた二人は、まるで何もなかったかのように振る舞う

 

 

「って、あれ?海人は?」

 

「え?海人君?あ、もしかして迎えに来てくれてたの?行き違いになっちゃったのかな?」

 

 

きょとんとして言い放つ優子のその言葉に美波と明久の顔を真っ赤から真っ青に変わる

最悪の事態を想像して血の気が引いてしまったからだ

聞かなければいけない。でも聞くのが怖い

 

 

「ゆ、優子さん・・・海人は・・・そっちに泊まったんじゃ・・・?」

 

 

明久は恐る恐る優子に問いかけた

しかし・・・

 

 

「何の話?海人君ならアタシを送った後にすぐに帰ったわよ」

 

 

優子から返って来た返事は最悪の言葉だった

 

 

「か、かい・・・」(フラッ)

 

「ちょ!?美波!?」

 

「み、美波!!しっかりして!」

 

 

頭が真っ白になった美波はその場に崩れ落ち、明久が慌ててそれを支える

 

 

「と、とにかく中に!」

 

 

二人は気を失った美波を家の中に運び込む

海人からのメールには『優子の家に泊まる』と書いてあった

だが実際は優子を送った後にすぐに帰宅している

なのに家には帰ってきていない

つまり・・・海人が行方不明ということである

こうして最悪の事件は幕を開けた

 




海人君は何処へ!?

次回も頑張ります

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