バカとテストとウチの弟   作:グラン

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雄二「あいかわらずクオリティの低・・・」

明久「ゆ、雄二!それ以上は・・・」

作者『・・・雄二、今回出番なし』

雄二「し、しまった!」


それでは本編へどうぞ


第百二十一問 決着

「向こうは散開してきたわね」

 

「まぁ当然じゃな。せっかく手に入れた領土じゃ。使わない手はないじゃろう」

 

「美春たちはどうするんですか?」

 

「もうこうなった以上迎え撃つしかないわ。吉井君、別の組のアナタにこんなことを頼むのは心苦しいんだけど・・・」

 

「気にしないで。もう僕達は優勝の芽はないからね。それなら根本より青組を勝たせたいじゃないか」

 

 

明久の選んだ道は青組との共同戦線

根本の思い通りにさせたくないという判断から青組の支援の道を選んだのだ

 

 

「ありがとう。それじゃ、行くわよ!作戦通りにお願いね」

 

 

そう言うと明久は右へ、美春は左へ、中央には佐藤と須川、そして残りの生徒は10人ずつに分かれ散開

ちなみに秀吉と優子は本陣に残ったまま指揮を取っている

 

 

「これで・・・うまくいくのかしら?」

 

「そう願うしかあるまい」

 

 

  ※紅組サイド※

 

 

「優子ちゃんはともかく木下君も参加しないんでしょうか?」

 

「・・・この状況で安全策?いや、終盤で負けているのにそんな策を木下がとるはずは・・・」

 

 

首を傾げる瑞希の隣で智也はブツブツと呟きながら優子の考えを探る

 

 

「・・・ん?待てよ?くっ、ハハハ、そうか!その手があったか!それなら納得だ」

 

「?」

 

 

納得したような表情を見せる智也の横で、瑞希は首を傾げるのだった

 

 

  ※明久VS北内※

 

 

(くくっ、てめえの弱点はわかってんだよ。吉井は観察処分者だ。フィードバックがさぞ痛い事だろう?ようするに、一発でも当てりゃあ後は痛みで悶えてる内に連続攻撃だぜ)

 

 

北内はそんなことを考えつつ、明久に攻撃を仕掛ける

そしてその時・・・

 

 

「ぐっ・・・」

 

 

攻撃が明久に当たった

戦死はしていないものの明久は顔を歪める

 

 

「今だ!もらった!」

 

 

その瞬間を逃さず、北内は明久に一気に詰め寄る

 

 

「・・・なんてね」

 

 

・・・が、明久は即座に立ち上がり球を手に取り北内に一気に攻撃する

そして・・・北内の召喚獣は消滅した

 

 

「な、なん・・・だと・・・?」

 

「ふぅ、危なかった。戦死しない程度にわざと当たるって難しいなぁ。僕のフィードバックの隙を狙ったんだろうけど、ごめんね。実は体育祭の時は観察処分者の物理干渉能力は観客が危険だからってことで観察処分者の機能は全部外されてたんだよ」

 

 

そう、明久のフィードバックは今回は外されていたのだ。北内がフィードバックの隙を狙っていることに気付き、一芝居打ったのだった

 

 

「くそっ・・・俺がこんな馬鹿に・・・」

 

 

悔しそうな表情を見せつつ北内は退場して行った

 

 

「こっちは終わりだな」

 

 

明久は周りを見渡す

青組、紫組、生存者はほとんどいない

美春や佐藤、須川も戦死してしまったらしく、その姿は無い

残っているのは優子と秀吉、それに対峙している根本

 

 

「うーん・・・狙おうと思えば狙えるけど・・・」

 

 

そう言いながら明久はボードに視線を移す

現在の青組と紫組の点差は14点差

明久が根本を倒してしまうとたとえ明久を優子か秀吉が倒して二人が生き残っても、加点1点+生存ボーナス11点で紫組が優勝になってしまう

ちなみに明久は青組のサポートに徹していて、北内以外の紫組の生徒は倒していないので白組には1点しか加点されていない

 

 

「根本を物理的に抑え込むこともできるけど、それじゃああいつとやり方が同じだもんなぁ・・・まぁ『あの作戦』があるんだし、大人しく見守るとしようかな」

 

 

そう言って明久は少し離れた場所で勝負の行方を見守るのだった

 

 

  ※優子&秀吉VS根本サイド※

 

 

(くくっ、吉井は動かないか・・・ま、当然だな)

 

 

根本はこの点差の意味に気付いていた

そして、一番厄介な明久が動けないことに気付き、もうすでに勝った気でいるのだ

 

 

(さて、あと一手だ。ここで狙うのは当然木下優子だ。相討ちになっても俺の勝ちだ!)

 

 

「これで・・・終わりだ!!」

 

 

ここで根本の捨て身の特攻

普段の彼からは考えられない行為だが、二対一の状況で相討ちでいいとなれば悪くない策だ

 

 

「くっ、あ、しまっ・・・」

 

 

根本の攻撃を躱しつつ応戦するも攻撃を喰らってしまい、『木下優子』の召喚獣は消滅した

 

 

「勝った!ざまぁみやがれ!俺の勝ちだ!」

 

「隙だらけじゃぞ、根本よ!」

 

 

優子を倒したことに満足し、隙だらけの根本の召喚獣を『木下秀吉』が倒した

 

 

「くははっ!テメエはやっぱりバカだな!」

 

「なんじゃと?」

 

「点差がわかんねえのか?じゃあ特別に教えてやるよ。14点差の状態で俺がリーダーの木下を倒したんだ。お前が俺を倒しても14点差のままだ。ならたとえてめえが吉井を倒して生き残っても2点追加されるだけだ。俺達の優勝は変わりないんだよ!」

 

 

ニヤニヤと小馬鹿にしたように笑う根本

しかし・・・

 

 

「ふふっ・・・」

 

「な、なにがおかしい!?」

 

 

急に笑い出す優子に根本はうろたえる

 

 

「おかしいと思わなかった?この状況でリーダーのアタシが狙われているのに秀吉が動かなかった事。それと・・・点差が理解できていないのはあなたの方じゃないかしら?」

 

「な、なんだと?」

 

 

優子がボードを指差す

 

 

二年青組・・・1070点

二年紅組・・・1008点

二年白組・・・1027点

二年紫組・・・1075点

 

 

「な・・・5点差・・・?馬鹿な!さっきは確かに・・・」

 

「そうよ、さっきは確かに14点差だったわ。まだわからない?こういうこと・・・じゃよ、根本よ」

 

 

急に爺口調になる優子

そう、根本が優子だと思って倒したのは秀吉だったのだ

 

 

「な!?いつの間に!?」

 

「海人君が運ばれて中断している間よ。髪型を変えるだけだからすぐに入れ替われたわ」

 

 

文月学園の体操着には名札は張っていない

さらに今日は二人ともジャージで参加していたため、髪止めの位置を入れ替えるだけで入れ替わることができたのだ

 

 

『すげぇ!』

 

『全然わからなかったわ!』

 

『胸が無いから気付かなかったぜ!』

 

(最後の奴、後でコロスわ)

 

 

余談だが、最後の暴言を吐いた彼は黒装束の集団によってお仕置きを受けたそうな・・・

 

 

「い、いや!おかしいだろ!だったらなんで召喚獣まで髪型が変わってんだよ!?召喚獣には直接触れないはずだぞ!?」

 

「それは半ば諦めてたんだけどね・・・ほら、そういう細かい操作が可能な人物が一人いるでしょ?」

 

 

そう言って優子が視線を向けた先には・・・

 

 

「吉井・・・明久!」

 

 

そういうことだ

召喚獣は直接触れることができない

召喚獣同士で触れることは可能だが、そこまで細かい操作は優子にも秀吉にもできない

だが、観察処分者として何度も召喚している明久に協力してもらえれば話は別だ

 

 

「くそっ!この俺が・・・」

 

「ま、正直危なかったのよね。アンタが入れ替わり以外にもう一つ、『ある事』に気付いていたらアタシ達の負けだったわ」

 

「ある事?」

 

(ブーッ!!)

 

「制限時間♪」

 

『おっと、ここで時間切れです。青組は生存ボーナス10点、白組は生存ボーナス1点です。二年の部優勝は青組です!』

 

 

そのアナウンスを聞いた瞬間、根本の目の前は真っ白になった

そう、根本は戦う必要はなかったのだ

残りのわずかな時間を逃げ続ければそれで勝っていたのだ

点数ばかりに気を取られ、残り時間の確認をしなかった致命的なミスだ

 

 

「くそ・・・!!」

 

 

悔しがる根本

ふと自身の父親が見に来ていたことを思いだし、慌てて観客席の方を見るが、そこにはすでに彼の父の姿はなかった

 

 

 

  ※一方その頃※

 

 

「車を出せ」

 

「もうよろしいのですか?」

 

「ああ、とんだ無駄足だった。全く『今度こそ勝ってみせる』と言うから見に来てみればあの様だ。根本家の恥晒しが」

 

「恭二様も全力を尽くしたのですし、少しくらい労っては・・・」

 

「全力を尽くした?勝利の為に全力を尽くすのは当然だろう。世の中は結果が全てだ。過程がどうあれ結果が出なければ意味がない。あの出来損ないに少しでも期待した俺が馬鹿だった。余計な事は言わずにさっさと車を出せ」

 

「・・・かしこまりました」

 

 

文月学園から人知れず一台の車が去って行ったのだった

 

 

 

  ※病院※

 

 

「か、海人。元気出しなさいよ」

 

「うん・・・」

 

 

数分前に目を覚ました海人だが、最後の戦いで役立たずだったと落ち込んでいるのだった

と、その時

 

 

「はぁ・・・全く、予想を裏切らないわね。海人君は」

 

「ゆ、優子さん!」

 

 

優子が病室に入ってきた

 

 

「優子さん・・・その・・・」

 

「『力になれなかった』とか『役に立てなくてごめん』とか言うつもりなんじゃないでしょうね?」

 

「うぐっ・・・」

 

「全く、今回の件は海人君が悪い訳じゃないでしょ。海人君を責める人なんて一人もいなかったわよ」

 

「で、でも・・・」

 

「そう言えば結果報告がまだだったわね。ちょっと、窓を開けて外を見て見なさい」

 

 

優子にそう言われ、海人は窓を開けた

するとそこには・・・

 

 

『かいとぉぉぉぉ!勝ったぞぉぉぉぉぉ!!』

 

 

優勝旗を振り回す須川と青組のメンバーが集まって手を振っていた

 

 

「記念撮影をすることになったんだけど、みんなが『この優勝旗は全員で手に入れたものだから海人君も一緒じゃないと』って言うからこっちに来たのよ。どう?怒ってるならわざわざあんなデカい優勝旗を持ってこんなところまで来ないと思わない?」

 

「み、みんな・・・」

 

「ほら、泣いてないでさっさと行くわよ。カメラマンの人を待たせてんだから」

 

「うん!」

 

 

海人は優子に手を引かれ、病室を出て行った

こうして病院の駐車場で青組メンバーによる優勝の記念撮影が行われた

そこには満面の笑顔の海人の姿が写っていた

 

 

  ※おまけ※

 

 

「・・・ウチら、完全に空気だったわね」

 

「・・・主人公は海人だから」

 

「翔子、メタ発言はダメよ」

 

「・・・うっかり」

 




これにて体育祭編は終了
次は新章・・・の前にショートストーリー集を書きます
これまでに思いついていたけど字数が足りなかったネタを何本か書きます

次回も頑張ります

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