バカとテストとウチの弟   作:グラン

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大変お待たせしました
二週間ぶりの更新です


雄二「誰も待ってないと思うけどな」

明久「亀更新のくせにクオリティ低いしね」

『・・・雄二と明久・・・作者権限で今回は出番なし』

雄二&明久「「職権乱用だ!!」」

『文句を言うならこの後も出番を三割カット』

雄二&明久「「すいませんでした!!」」←土下座

『ま、それはさておき本編へどうぞ』


第百十九問 力を貸してください

「海人・・・」

 

「・・・美波、海人はきっと大丈夫」

 

 

島田美波は弟の海人が運び込まれた検査室の前で心配そうにそう呟く

ここは文月総合病院

海人は外傷があるわけではないが、高すぎるフィードバック率によって脳に異常がないか検査するためにここに運び込まれたのだ

 

 

「お姉ちゃん!!」

 

「葉月!」

 

 

葉月と玲が病院に登場

 

 

「美波さん、海人君の容態は?」

 

「まだ検査中です」

 

 

玲からの問いかけにそう答える美波

 

 

「お姉ちゃん・・・お兄ちゃん、大丈夫だよね?」

 

「・・・バカね。当たり前じゃない。葉月も知ってるでしょ?海人はすっごく強くて優しいんだから。きっとすぐに良くなるわよ」

 

「はいです!」

 

 

美波が笑顔でそう言うと葉月も安心したようで元気よく返事をした

内心、美波は心配で胸が張り裂けそうなのだが、妹に心配掛けまいと必死に笑顔を作るのだった

 

 

  ※一方その頃・文月学園では※

 

 

「愛子ちゃん達・・・大丈夫でしょうか?」

 

「さぁな」

 

 

戦死し、退場となった智也と瑞希は勝負の行方を見守っていた

すでにシステムチェックが行われ、競技は再開されている

 

 

「紅組が勝てるかどうかはともかく、根本は負けるよ」

 

「?そうなんですか?」

 

「姫路、お前から見て根本はどんな風に見える?」

 

「え?えっと・・・ズルくて酷い事をする人です」

 

「そうだな。それに付け加えるならアイツは『臆病』だ」

 

「臆病?」

 

「ああ、アイツは海人ばかり狙っているだろ?それは何故だ?なぜ他のFクラスのメンバーを狙わない?」

 

「それは・・・海人君が根本君を殴ったからじゃ・・・」

 

「まぁそれはあるだろう。だが、その日の放課後、英雄も根本を殴ってるし、FFF団だっけか?あいつらには気持ち悪い写真を撮られ、船越女史に狙われる羽目になった。なのになぜ海人だけを狙う?」

 

「そういわれれば・・・」

 

「答えは簡単。あいつが臆病だからだ。臆病だから今言った面子の中で比較的非力な海人を狙っているんだよ。まぁあいつ自身そのことに気付いていないみたいだがな」

 

「なるほど・・・でもそれと勝敗と何が関係あるんですか?」

 

「アイツが倒したメンバーだ。海人の悲鳴が聞こえた瞬間に四天王の連中が俺と代表、そして姫路と島田を倒しただろ?」

 

「はい」

 

「おそらく戦うのが怖い奴を始末したんだろうが、あれは失敗だ。俺はリーダーだからいい。学年最高火力で操作技術の上がってきている代表を倒すのも間違いじゃない。だが、姫路と島田を倒したのは失敗だ」

 

「なんでですか?」

 

「アイツの考えとしてはキレた島田は相手にしたくない。次に点の高い姫路を相手にするのも嫌だ。そんなところだろう。だが、言い方は悪いが、海人が倒れたら島田は倒さなくても海人について病院に行くだろう。だから倒す必要はない。次に姫路だが、確かに点数は高いが他の高得点者の久保や木下とそこまで大きな差があるわけじゃない」

 

「じゃあ北条君なら誰を倒していたんですか?」

 

「まずは木下だ。アイツは指揮官としてかなり優秀だし、点も高い。おまけにリーダーだ。真っ先に狙うべきだな。あとは・・・坂本だな」

 

「坂本君?てっきり吉井君って言うと思ったんですけど・・・」

 

「確かに吉井の操作能力は厄介だが、アイツに作戦を考える能力はなさそうだ。久保は頭はいいが、人に指示するタイプじゃない。となると指揮官として優秀な坂本を倒すのが無難だろう」

 

(北条君、なんだかんだで坂本君の実力を認めてるんですね)

 

 

などと思いながら瑞希は戦況を眺める

 

 

「おそらく、海人を倒せば木下は動揺で冷静な判断ができない。坂本の事は見下しているからいつでも倒せる。厄介な吉井は集中砲火で撃破。ってシナリオのつもりなんだろうな・・・ん?」

 

「どうしたんですか?・・・あれ?」

 

「ふっ、なるほど・・・工藤は『その選択肢』を選んだか」

 

「いいんですか?」

 

「俺は工藤に『任せる』と言ったからな。まぁたまにはこういう結末もいいじゃないか」

 

 

そう言いながら智也と瑞希はグラウンドを眺めるのだった

 

 

  ※グラウンドにて※

 

 

「くく、この調子なら俺らの勝ちは揺るがないぜ」

 

「尾賀間の奴が抜けたのは痛かったけどな」

 

 

根本と北内はそんな会話を交わす

あの後、唯一作戦の詳細を聞かされていなかった尾賀間は『ここまでするなんて聞いてないわよ!』と言い、わざと戦死して退場してしまったのだ

 

 

「アイツは元々俺らのやり方に不満があったみたいだからな。ま、俺とお前ら三人がいれば充分だぜ」

 

 

根本は笑いながらそう言う

 

 

「・・・?おい、なんかおかしくないか?」

 

「あ?何がだ?」

 

「なんで俺らの所に攻め込んでくる奴がこんなに少ないんだ?」

 

「そりゃあここに辿り着く前に倒して・・・!!」

 

 

根本は掲示板を見てある事に気付く

自分のチームの点数がほとんど増えていない

 

 

「ど、どういうことだ!?ちゃんと戦っているし、人数だって減って・・・」

 

「お、おい!アレを見ろ!」

 

 

北内が指差した先では紫組の生徒と交戦している紅組の生徒

が、紅組の生徒は戦死直前に後ろに下がっていく

そして・・・下がった生徒に青組の生徒がトドメを刺した

 

 

「くそっ!やられた!おい!下がった生徒を逃がすな!必ずトドメを刺せ!」

 

 

そう、開始前に学園長が言っていたルールの一つ

『トドメを刺した生徒に加点される』というルールだ

いくら戦ってもこれじゃあ自分の組の点にはならない

なのに戦闘はしているため、自分たちのチームの生徒の点数はどんどん減っている

 

 

「お、おい!どういうことだ根本!?」

 

「・・・紅組の連中は・・・勝ちに来ていない・・・俺らの戦力を削る事しか考えていない」

 

 

  ※数分前、紅組にて※

 

 

「みんな、ちょっといいかな」

 

「・・・どうした?工藤」

 

「この勝負・・・負けてもいい?」

 

「どういうことや?」

 

「何人かは気付いてると思うんだけど、もうボク達に優勝の目はほとんど残っていない。リーダーの北条君が戦死したからこのまま生き残っても終了時の生き残り加点が少ない。おまけに序盤、様子見をしていたから加点はほとんどされていない」

 

「確かにそうね」

 

「それにウチは北条君の次に点数の高い瑞希ちゃんも戦死してる。ここからの挽回は厳しい」

 

「せやな。でもできるとこまでやってもええんやないか?」

 

「それは・・・」

 

「・・・海人のことか?」

 

「・・・うん。さっきの海人君の事故。間違いなく根本君が絡んでいると思うんだ。さっき世古君と緋堂君が話してるのが聞こえたんだけど、確かにこういったんだ・・・『作戦通りだな』・・・って」

 

「なんやと!?アイツ等・・・よくも」

 

「英雄!やめなさい!」

 

 

怒りの表情を浮かべ紫組の方に向かおうとする英雄を友香が止める

 

 

「気持ちはわかるけど落ち着いて中島君。ボクだってあいつらの事は許せない。でもここで手を出したらこっちが悪者になっちゃうよ」

 

 

愛子は悔しそうにそう呟く

 

 

「海人君とはさ、あまり話したことがなくて何度か顔を合わせた程度だった。周囲の評判は聞いていたんだけど、どんな人なのか知らなかった。仲良くなったのは強化合宿の時にペアを組んでから。話してみるとすっごく良い子で、モンスターハンティングの時も『大丈夫?疲れてない?』とか気を使ってくれて優しい子だった。だから周りの人気が高いのもわかるなぁってそう思って・・・なのにこんな目に合うなんて酷過ぎるよ!」

 

 

愛子は悔しそうに目尻に涙を浮かべながら叫んだ

 

 

「このまま根本君の思い通りになるのは嫌。私情を挟んで申し訳ないんだけど、海人君を・・・大事な友達を傷つけた人を勝たせたくないんだ。だから・・・力を貸してください。お願いします」

 

 

愛子はそう言うと生存している紅組メンバーに向かって深々と頭を下げた

誰も何も言わない

沈黙が続く中、ある人物が声を上げた

 

 

「ええやん」

 

「英雄?」

 

「どうせ優勝の目はほぼないんやし、あの卑怯キノコに一矢報いたるんも悪うない。みんなはどうや?」

 

『さんせー!』

 

『俺、海人にけっこう世話になってんだよな』

 

『俺も俺も』

 

『私、根本君に脅されてたんだけど、Fクラスの人達のおかげで助けられたのよね』

 

『やってやろうぜ!』

 

 

海人の人間性、根本のこれまでの悪行、FFF団の活動が功を奏しその場の全員が賛同の声をあげた

 

 

「みんな・・・ありがとう」

 

「・・・泣いている暇はないぞ。何か策はあるのか?」

 

「うん、えっとね・・・」

 

 

こうして紅組メンバーのキノコ狩り作戦は開始された

 

 

(・・・工藤は・・・もしかして海人のことが・・・)

 

 

一人の少年の心にモヤモヤとした気持ちを残して・・・

 




「「本当に俺ら(僕ら)の出番がねぇ!!」」by雄二&明久

次回も頑張ります

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