今年もよろしくお願いします
「いよいよ次が最後の競技だね」
「この冊子には『召喚獣を使った競技』としか書かれてないわね」
優子と海人は冊子を見ながらそう言う
『それじゃ、最後の競技『召喚大戦争』の説明をするよ』
二人の疑問に答えるかのようなタイミングでアナウンスが聞こえる
『大まかなルールは雪合戦と一緒さね。まぁ見せた方が分かりやすいね』
学園長がそう言うとグラウンド全体に召喚フィールドが広がった
そこには球入れの球のようなものが無数に散らばっているのだが・・・
「なんやえらい小さい球やな・・・って、あれ?」
球を拾い上げようとした英雄だったが掴むことができずすり抜けた
『そこのバカ。説明は最後まで聞きな。召喚獣を使った競技だって言ってるだろう』
「なんやとー!バカって言う方が・・・もごもご・・・」
反論しようとした英雄の口を友香は慌てて抑えた
教師に、それも最高責任者への暴言はマズイと思っての行動だろう
『吉井、ちょっと召喚してみな』
「あ、はい。試獣召喚!」
明久が召喚すると、そこにはいつもとは違い体操服姿の召喚獣が現れた
『この通り、今回は全ての召喚獣はこの格好で出てくるさね。そして、総合科目の点数がヒットポイントで、0点になったらその生徒は失格さ』
「なるほど、そこは試召戦争と同じだね」
海人は納得したかのようにそう呟く
『試召戦争と違う点は『今回は戦死しても補習無し』『補給テスト無し』ってところだね』
「なるほどね。これは難しそうだわ」
『おっと、大事な事を忘れてたさね。『攻撃方法は球を使ったものに限る』つまり直接攻撃はなしさね。質問はないかい?』
「点数はどうやってつくんだ?」
『敵を倒すたびに1点。各組のリーダーを倒したら10点さね』
「複数の生徒が攻撃した場合は?」
『良い質問だね。その場合はトドメを刺した生徒に点が入るよ。つまり500点の生徒の499点を削っても、残り1点を決めた生徒が得点者となるわけさ。さらに競技終了時に生き残っている生徒の分だけ点数が入るよ。たとえばリーダーとメンバーが5人残っていれば15点加点って感じでね。他に質問は無いね?じゃあ一年生から始めるよ』
そう言ってアナウンスは切られてしまった
それと同時に青組メンバーは集まって作戦会議を始める
「どうしようか?」
「戦力を削られると苦しい。でも逃げてばかりだと点は入らない。攻めと守りのバランスが重要ね」
「まず、リーダーを倒されないように・・・」
「気をつけるべきは北条・・・」
あーでもないこーでもないと作戦は全くまとまらず、とりあえず一年の試合を見て考えようということになった
「へぇ・・・所々に鉄塊とか盾にできそうなものもあるんだね」
「しかも弾が何発か当たったらちゃんと崩れるのね。リアルだわ」
フィールド上にはかなり障害物が散らばっていた
「これをうまく利用すれば行けそうね」
「だね。後は背後を取られないこと。囲まれない事位かな?」
「警戒すべきは・・・やっぱり北条君ね。後は吉井君の操作技術と高得点者の代表や姫路さんかしら」
「雄二君は?」
「無視でいいわ。どうせ放っておいても北条君を意識し過ぎて自滅するだろうし」
(・・・否定できない)
※一方その頃、白組では※
「ぶわっくしょん!!」
「・・・雄二、風邪?」
「いや、これはきっと北条が俺を警戒して噂してるに違いねえ!」
(((違うと思う)))
「くくくっ!今日こそ俺が勝ってみせるぜ!」
(((今日も負けるんだろうなぁ・・・)))
その様子を隣で見ていた翔子、明久、美波は心の中でそう思うのだった
※紅組では※
「で?どうするんや?」
「やっぱりリーダーの北条君がやられないように固まって行動するの?」
「いや、逆だ。全員散開して戦う」
「え?それはリスクが高いんじゃ・・・」
「そうでもない。固まっている方が身動きがとりにくいし、適当に投げた流れ弾に当たることもある。それに生き残りの加点と敵を倒す加点が同じなら一点でも多く稼ぐメリットの方が大きい」
「なるほどね」
「北条君的には要注意人物は誰なのカナ?」
「高火力の代表と技術のある吉井が一緒になっている白組が危険だな。あとは何を仕掛けるかわからない根本だな」
「青組は?」
「警戒度としては他二組より下だが、油断は禁物ってとこだな」
「そっか」
「っと、時間やな。ま、せっかくやから楽しもうや」
そう言って、各組の生徒はフィールド内に入るのだった
SIDE ???
「本当にうまくいったんだな?」
「ああ、教師共は競技に夢中だったからな。忍び込むのは簡単だったぜ」
「くっ、くはは!よくやった!これで俺達の勝ちは揺るぎない!おまけに『あいつ』も潰せるときたもんだ!」
笑ってられるのも今のうちだぜ
覚悟しな・・・島田海人!!
海人ちゃんピンチ!
最後に出てきた人物!
一体誰なんだ!?