バカとテストとウチの弟   作:グラン

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第百一問 変態に裁きを

  SIDE 明久

 

 

僕は出番を終えてみんなの元に戻ると美波がべったりくっ付いて離れない

話によると、自分と別れてあの解説者と付き合うんじゃないかと不安だったらしい

そんなわけないのに、変な心配しちゃって・・・

まぁそういうとこが可愛いんだけど←バカップル

 

 

「洪雄麗デス。ヨロシクオ願イシマス」

 

 

おっ、雄二の番だ

 

 

『中国から参加の洪さんです。これはまた背が高い方ですね。どうですか小畑さん』

 

『素晴らしいですね。個人的には私、背が高い女性が大好きなんですよ』

 

 

あ、雄二の顔色が真っ青だ

まぁ男からそんなこと言われても気持ち悪いよね

 

 

(バキッ)

 

 

ん?

 

 

「き、霧島さん?」

 

「・・・何?」

 

「その・・・壁が・・・」

 

「・・・手抜き工事」

 

「いや、今、霧島さんの拳が・・・なんでもないです」

 

 

見なかったことにしよう

だって命は惜しいし

 

 

「ったく、なんなんだあの審査員は」

 

「あ、雄二おかえり。災難だったね」

 

「全くだ。こんなのはもう二度と・・・(ギュ)・・・っておい翔子!?」

 

 

などと話していると雄二の腕に霧島さんが抱き着いた

 

 

「な、何やってんだ!離れろ」

 

「・・・嫌」

 

 

雄二は顔を真っ赤にして叫ぶ

全く、素直じゃないなぁ

 

 

「あっ!アキ!海人の番よ!」

 

(美波、『海人』って呼んじゃあダメだよ。今は『美海ちゃん』だよ)

 

(あ、そっか。ゴメン)

 

 

僕はこっそりと美波に注意する

相変わらずの弟大好きっ子だ

ちょっとテンションが上がり過ぎちゃったね

 

 

「土屋、準備はいいわね?」

 

「・・・万全。このチャンス、逃すわけにはいかない」

 

 

そう言ってムッツリーニはカメラを構える

ああ、可哀想に

黒歴史が写真として残されるのか・・・

 

 

「アキの写真と海t・・・じゃなくって美海の写真はウチが買うわ。支払いはアキから没収した本(エロ本)で」

 

「・・・任せろ」

 

 

・・・どうやら僕の写真はすでに撮られていたようだ

っていうか、僕から没収した聖典はそんな使われ方をされていたのか・・・

 

 

「し、島田美海です!よ、よろしくおねがいしましゅ!」

 

 

あ、噛んだ

それも盛大に

海人は恥ずかしさで顔を真っ赤にしている

だが、そんな海人の姿を見て、ここにいる全員の想いが一つになった

 

 

((((((か、可愛い))))))

 

 

誰もが見惚れていて会場は静まり返っているのだが、海人はどうすればいいのかわからずオロオロしている

その姿もまた可愛らしくて・・・「アキ?」・・・もちろん美波の方が可愛いけどね

 

 

『・・・ハッ!え、えー緊張しているのかな?リラックスしてくださいね』

 

「は、はい」

 

 

我に返った司会者がそう言って海人をフォローする

 

 

『今日はお友達と海水浴ですか?』

 

「はい。姉と妹と友達と一緒に来ました」

 

『妹と言いますと・・・1番の島田葉月さんは・・・』

 

「はい、ぼk・・・私の妹です」

 

『これはかなりの美人姉妹が登場しましたね。もしかしてお姉さんも美人だったり?』

 

「はい。姉は私より数倍美人です」

 

『それは楽しみですね。小畑さん、何か質問は?』

 

『妹さんと一緒に僕の愛人にならないかい?お小遣いならいくらでも・・・(シュ!)・・・グハッ!』

 

 

海人に迫る小畑さん

あまりの気持ち悪さに怯える海人

その姿を見た美波が飛び出そうとしたその時、小畑さんの額にフォークが刺さった

 

 

「エントリーナンバー13番清水美春。趣味はフォーク投げとお姉さま方に纏わりつく悪い虫の排除ですわ!」

 

 

清水さんが割り込んで自己紹介を始めることにより海人の出番を強制的に終了させた

 

 

「ナイスよ美春」

 

「あの審査員、一回捕まった方がいいんじゃないかな?」

 

「だな、そしてもう二度と出てくるな」

 

「・・・雄二は渡さない」

 

 

すでに僕達の中で小畑さんの評価は最悪だ

これでもし美波に指一本でも触れてみろ

血祭りにあげてやる

 

 

「うぅ・・・恥ずかしかったよぅ」

 

「ふふ、海人君、可愛かったわよ」

 

「嬉しくない!」

 

「美春、よくやってくれたわ」

 

「友人として当然のことをしたまでですわ」

 

 

戻ってきた海人と清水さんに声を掛ける

 

 

「お、ムッツリーニの番だな」

 

 

『・・・チャイナドレスやナース服レースクイーンにチアガールセーラー服巫女服メイド服・・・・』

 

 

壇上ではムッツリーニがコスチュームについて熱く語っていた

 

 

「・・・あいつ予選落ちする気あるのか?」

 

「ムッツリーニにコスプレの話題を振っちゃダメだよ。スイッチが入るから」

 

 

可哀想に・・・決勝進出ほぼ確定だな

 

 

「・・・なんでこうなった」

 

「ご愁傷様」

 

 

戻ってきたムッツリーニに海人が声を掛ける

『ご愁傷様』なんて言ってるけど海人も決勝進出は確定だと思うなぁ

っと、美波の番だ

壇上には工藤さんと美波、一人挟んで木下さんが並んでいる

他の子には悪いけど、やっぱりウチの学校のメンバーの方が可愛いよなぁ

もちろん一番可愛いのは美波だけど←大バカップル

 

 

「ムッツリーニ、撮影頼むよ」

 

「・・・任せろ」

 

 

「工藤愛子です。特技は水泳です」

 

 

さすがに『パンチラです』とは言わなかったか

 

 

『スポーツ少女か。いいねぇ。引き締まった良い身体をしているよ』(じゅるり)

 

 

「・・・」(プチン)

 

 

「島田美波です。先ほど登場した葉月と美海の姉です」

 

『・・・ちっ、期待ハズレだな』(ボソッ)

 

 

「・・・」(プチン)

 

 

「ムッツリーニ」

 

「・・・明久」

 

「「殺るぞ!」」

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

次はアタシの番だ

緊張するなぁ

 

 

「木s・・・」

 

「おおおおるっぁあああああ!!!」

 

『ふげぶ!』

 

 

アタシが自己紹介を始めようと思った瞬間、吉井君が小畑さんに飛び蹴りをかました

 

 

「僕の美波が期待外れだと!?ブチ殺すぞ!!」

 

「・・・工藤に色目を使うな。殺すぞ」

 

 

土屋君もスタンガンを持って参戦

さらに・・・

 

 

「ふははははは!!この溜まりに溜まったストレス、今ここで全部放ってやるぜええええ!!」

 

 

坂本君も暴走

これ・・・どうするのよ・・・?

 

 

「優子さん」

 

「あ、海t・・・じゃなくて美海ちゃん」

 

「ここは危ないからこっちに」

 

 

海人君に連れられてアタシは乱闘の外に

 

 

「ごめん、一応止めたんだけど・・・」

 

「海人君のせいじゃないわよ。それに、なんだかんだで見世物にならなくて済んだから正直ホッとしてるのよね」

 

「そっか。それより、『アレ』どうしようか?」

 

 

海人君が指差した先には

 

 

「アキってば『僕の美波』だなんて・・・」(モジモジ)

 

「ム、ムッツリーニ君ってば・・・」(プスプス)←オーバーヒート

 

「・・・雄二は渡さない」

 

「お姉さまを侮辱するなんて万死に値しますわ!!」

 

『やっちまえ!!』

 

『変態を駆除しろ!』

 

 

・・・なんだろう?このカオス

 

 

「・・・先に帰ってようか?」

 

「そうだね。って、着替えどうしよう?」

 

「車に積んでるんでしょ?だったら後で回収すればいいじゃない」

 

「でもここから旅館までは・・・」

 

「そのまま帰るしかないわね」

 

「や、ヤダよ!」

 

「いいじゃない。誰も気付かないわよ」

 

「で、でも恥ずかしいし・・・」

 

「アタシも胸を見られて恥ずかしかったな~」

 

「・・・このまま帰ります」

 

 

うん。素直でよろしい。え?脅迫?ナンノコトカシラ?

こうしてアタシ達は乱闘に背を向け旅館へと歩き出した

・・・あれ?そういえば秀吉は?

 

 

 

  ※一方その頃※

 

 

「葉月よ、あれは見てはならぬのじゃ。あっちでリンゴ飴でも食べようではないか」

 

「はいです」

 

 

ちゃっかり葉月を避難させている秀吉だった

 

 

 




  ※おまけ※


智也「結局あいつらから連絡は無しか。まぁいい。そろそろ旅館に戻るか」

瑞希「そうですね」

?『おおおおるっぁあああああ!!!』

智也「ん?」

?『僕の美・・・が・・待外れ・・・!?・・・すぞ!!」

智也「随分盛り上がってるな」

瑞希「そうですね。ここからじゃあ何も見えませんけど・・・あ、あの、北条君もこういった催し物に興味があるんですか?」

智也「いや、特にないが、どうした?」

瑞希「い、いえ、何でもないです!さ、早く戻りましょう!」


二人はミスコン会場を横目に旅館に向かった

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