バカとテストとウチの弟   作:グラン

102 / 213
みんなお忘れかもしれませんが
優子は海人に前々話で・・・


第九十九問 アタシ、忘れてないわよ?

  SIDE 優子

 

 

・・・さすがに食べ過ぎたかも・・・

焼きそばに始まりたこ焼き、フランクフルト、イカ焼きにクレープ、そしてかき氷

絶対に太ったわ・・・

はぁ、向こうに戻ったらダイエットしなくちゃ

 

 

「そ、そろそろ食べ物はやめない?」

 

「そうだね」

 

 

さて、食べ物以外の屋台は・・・

あれは・・・アクセサリー屋かしら?

あっ、このネックレス可愛いわね

 

 

「優子さん、それが欲しいの?」

 

「ん?ちょっと可愛いなと思って・・・『すいません、これください』って、ちょ、海人君!?アタシそんなつもりじゃ・・・」

 

「悪いね兄ちゃん、それは売り物じゃなくて景品なんだ」

 

「あ、そうなんですか?」

 

「ああ、『ストラッ○アウト』って知ってるかい?野球のボールを投げてあそこの3枚×3枚の合計9枚の的に当てるゲームだ。一回300円12球。やってみるかい?」

 

「はい!」

 

「ちょ、海人君!ホントにいいってば!アタシ、そんなつもりで言ったんじゃないんだから!」

 

「いいからいいから。それに、ちょっと面白そうだからやってみたいんだ」

 

 

そう言って海人君は囲われた網の中に入った

そして海人君は振りかぶって投げた

 

 

(ガンっ!)

 

 

惜しくも上のフレームに当たって外れた

 

 

「・・・そっか、マウンドより近いから・・・」

 

 

海人君は何かを考えるながらブツブツと呟いている

そして第二球・・・

 

 

(パコンっ!)

 

 

見事ど真ん中にヒット!

その後も順調に当てて行き、残りはあと一枚

向かって中段左の的だけ

しかも最初の一球以外は外していない

 

 

「あの子凄くない?」

 

「あと一球でパーフェクトだってよ」

 

 

騒ぎを聞きつけてギャラリーが増えてきた

しかし、それを特に気にすることなく海人君は振りかぶって投げた

・・・ダメだ!ど真ん中、これは外れ・・・

 

 

(クンッ!スパンッ!)

 

 

当たった!今のはカットボール!?

 

 

「「「「「おぉおおおおお!!」」」」」

 

「今、すげえ曲がったよ!」

 

「かっこいい!!」

 

 

周囲からは拍手と歓声が鳴り響く

 

 

「いやー凄いね兄ちゃん、参ったよ」

 

「たまたまですよ。それより、これ貰ってもいいんですよね?」

 

「もちろんだ。でもいいのかい?パーフェクトならもっといい景品があるけど」

 

 

店員さんが指差す先は景品コーナー

海人君が手に取っているネックレスは7枚以上

パーフェクトのコーナーには最新のゲーム機など豪華な景品が並んでいる

 

 

「か、海人君!アタシの事は気にしないで自分が好きなものを選んでいいから!」

 

「いいんだよ。僕は特に欲しいものはないし、優子さんが喜んでくれるならそれでいいよ」

 

 

そう言って海人君はネックレスを手渡す

 

 

「あ、ありがとう。大事にするね」

 

 

アタシは海人君からネックレスを受け取り笑顔でそう言った

 

 

「兄ちゃん、彼女さんにかっこいい所を見せれてよかったね」

 

「か、かの・・・!」

 

 

店員のおじさんに茶化されて海人君は顔を真っ赤にする

相変わらず初心なのね

ここはフォローを入れておこう

 

 

「アタシと海人君は付き合っているわけじゃないですよ。同じ学校の友達です」

 

 

ん?海人君の元気が無くなったような・・・

 

 

(((((この子、絶対に鈍感だ!!)))))

 

 

なにかしら?誰かに凄く失礼なことを言われている気がするわ

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 美春

 

 

「あはは、優子は相変わらずの鈍感だね」

 

「・・・海人も苦労する」

 

「初々しいですわね」

 

「・・・」

 

「?どうかしたのですか?」

 

「いや、姉上のあんな楽しそうな表情を見るのは初めてじゃと思っての」

 

 

気のせいか木下秀吉は元気が無い気がする

実の姉のデートを覗き見するのは気が引けるのかもしれませんわね

 

 

「っと、そろそろ約束の時間だね」

 

「ではそろそろ集合場所に行きましょう」

 

 

美春たちはお兄様たちにバレないようにイベント会場へと向かった

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 海人

 

 

時間になったのでイベント会場へとやってきた僕達はみんなの姿を見つけた

 

 

「ごめんね遅くなって」

 

「まだ大丈夫よ。じゃ、早速準備をしましょ」

 

「準備って?」

 

 

ニコニコしながらそう言う姉さんにアキ兄さんが問いかける

 

 

「これよ」

 

 

姉さんが取り出したのは一枚のチラシ

なになに・・・ミス浴衣コンテスト?

 

 

「へぇーこんなのあるんだ」

 

「そ、これにみんなで参加しようと思ってね」

 

「そっか、美波ならきっといい線行くよ!頑張ってね」

 

 

アキ兄さんは笑顔でそう言う

・・・が

 

 

「何言ってるの?『みんなで』って言ったでしょ?アキも出るのよ」

 

「・・・ゑ?」

 

「・・・もちろん雄二も」

 

「ひ・で・お?さ、お着替えしましょうね」

 

 

顔を真っ青にする雄二君達

 

 

「な、何を言い出すんだお前ら!なんで俺らが・・・」

 

「「「昼の浮気、忘れたとは言わせないわよ」」」

 

 

姉さんと霧島さんと小山さんが笑顔で(目は笑っていない)そう言う

 

 

「くっ!北条!お前からもなんとか・・・って、いない!?」

 

「智也君なら僕が来た時からいなかったけど?」

 

「そういえば姫路さんもいないね」

 

 

二人はデートかな?

姫路さんが積極的に動いているのかもね

 

 

(くっ!お前らよく聞け。翔子達はこうなったら絶対に引かないだろう)

 

(うん、僕もそう思うよ)

 

(友香はけっこう頑固やからな)

 

(そこでだ。こうなったら被害者を増やすんだ。参加人数が少なければ俺達が目立っちまう。だが人数が多ければ観客も審査員もいちいち一人一人の顔を覚えたりはしないだろう)

 

((なるほど))

 

 

なにやら雄二君達はヒソヒソと作戦会議を始めている

そして次の瞬間、ギラリと目を光らせ康太君の元へ

 

 

「ムッツリーニ!僕達は友達だよね!」

 

「一緒にコンテストに出ようじゃないか!」

 

「・・・よ、寄るな。女装癖の変態」

 

「おい工藤、ムッツリーニの女装を見たくないか?」

 

「ん~興味はあるけど、嫌がってるみたいだし・・・『そういえば女子更衣室の前でカメラを持ってウロウロしてたような・・・』・・・康太君、ちょっとオハナシしようか?」

 

「・・・ぬ、濡れ衣だ!」

 

 

康太君が工藤さんに連れて行かれた

可哀想に・・・

・・・ハッ!

 

 

「海人!僕達は友達だよね!」

 

「言っとくけど参加はしないからね」

 

「まぁそう言うなよ。お前ならきっと似合うぜ」

 

「嬉しくない!」

 

「いや、ホンマやって。海人の女装なら俺は口説・・・『ひ・で・お?まだオハナシが足りないのかしら?』・・・なんでもないで」

 

 

くっ、逃げ出したいけど雄二君達が肩を掴んで離してくれない

 

 

「み、みんな、助けて」

 

 

「海人ならきっと似合うわ」

 

「お兄ちゃんは可愛いです!」

 

「お兄様ならきっと美しくなれますわ」

 

「メイクは任せるのじゃ」

 

 

なんてこった

味方がいない

 

 

「ゆ、優子さん。助けて」

 

「吉井君、坂本君、海人君を離して」

 

 

よかった

優子さんは味方・・・

 

 

「海人君の説得はアタシがやるわ」

 

 

・・・じゃない!?

そう言った優子さんは僕の手を引き、みんなから離れる

 

 

「さて、海人君」

 

「な、なんと言っても無駄だよ。僕は絶対に・・・」

 

「アタシ、胸を見られたこと、忘れてないわよ」

 

「喜んで参加させていただきます」

 

 

・・・逆らえませんでした

こうして僕達のミスコン参加は決定したのだった

 

 

 

 

  ※おまけ※

 

 

「すいません北条君。私のせいで・・・」

 

「気にするな。下駄の鼻緒が切れたのはお前のせいじゃない。それに・・・何故だかわからんが集合場所に行けなくて助かった気がするんだ」

 

「?そうなんですか?」

 

「まぁ気のせいかもしれないがな。それよりあいつらにメールは送ったんだろ」

 

「はい、でも返信が無くって・・・」

 

「祭りに夢中になっているのかもな。まぁ旅館の場所は覚えているし、この位ならすぐに直せる。そう遅くならずに帰れるはずだ」

 

(北条君と二人っきり・・・緊張するけど幸せです♪)

 




海人君ミスコン参加決定!
そして運良く難を逃れた北条君でした

次回も頑張ります

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。