バカとテストとウチの弟   作:グラン

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KYゴリラが登場
誰の事かな?ww


第九十八問 空気の読める子と読めないゴリラ

  SIDE 海人

 

 

「遅くなっちゃったわね」

 

「そうだね」

 

 

雨が止むまで待っていたら夕方になってしまった

そして思ったより近くに流れ着いていたゴムボートを返却して更衣室へ向かう

もうみんな先に戻ってるかなぁ

 

 

「あ、海人!」

 

「遅かったわね」

 

「優子も、どこに行ってたの?」

 

 

更衣室の近くにみんなが集まっていた

みんな待っててくれたんだ

っと、それより・・・

 

 

「みんな、色々心配かけてごめんなさい。でももう大丈夫。今は思いっきり遊んで、また来週から練習をがんばるよ」

 

 

みんなに向かってそう言った

 

 

「せやな、来年こそ甲子園出場や!」

 

「バカが、何を言っている?狙うのは・・・全国制覇に決まっているだろう」

 

 

英雄君の言葉に対して智也君はそう言った

 

 

「よし、じゃあ気を取り直して飯でも食いに行くか」

 

「え?旅館で食べるんじゃないの?」

 

 

詳しくは知らないけど旅館って食事もセットなんだと思っていたんだけど違うのかな?

 

 

「海人、本当に話を聞いてなかったんだな?あそこの旅館、数日前に料理長が入院してしまって料理を出せないんだ。だからそれが理由で今回は格安で泊まれるんだ」

 

 

へぇ~そうだったんだ

完全に聞き逃していたよ

 

 

「みなさん、どうやら近くで夏祭りをやってるようなのですが、よかったらそっちに行ってみませんか?」

 

「夏祭りか・・・面白そうやな!よっしゃ!坂本君!早食いで勝負や!」

 

「おもしれぇ、返り討ちにしてやるぜ!」

 

「楽しみです!」

 

 

みんなどうやら行く気満々のようだ

まぁ面白そうだし、断る理由はないかな?

 

 

「それじゃ、まずは旅館に戻って着替えましょう」

 

 

  ※数分後※

 

 

「おまたせ~!」

 

 

工藤さんが元気よく襖を開けるとそこには浴衣を着た女性陣の姿があった

 

 

「お兄ちゃん!葉月の浴衣姿はどうですか?」

 

「よく似合ってるね。可愛いよ」

 

「えへへです」

 

 

勢いよく抱き着いてきた葉月に僕はそう言う

 

 

「優子お姉ちゃんもこっちに来るです!」

 

「ちょ、葉月ちゃん、引っ張らないで」

 

 

葉月に引っ張られて優子さんが登場

・・・うわぁ・・・凄く綺麗だ・・・

 

 

「・・・また何も言ってくれないんだ?」

 

「え?あ、いや、これは・・・」

 

 

ちょっと不機嫌そうな顔をする優子さん

ど、どうしよう。本当にそんなつもりじゃなかったのに・・・

 

 

「ははーん。さては海人君、優子の浴衣姿に見惚れてたでしょ?」

 

「うぇ!?あ、う・・・」

 

「え?そうなの?」

 

「・・・」(コクッ)

 

「そ、そうなんだ・・・」

 

 

顔を赤くする優子さん

僕の顔もおそらく赤くなっているだろう

 

 

(おぉ!いいムードだね♪)

 

(お兄様、初々しいですわ)

 

(こんな表情の姉上は初めて見るのう)

 

(お兄ちゃん、お顔が真っ赤です!)

 

(海人、可愛いわ)

 

(・・・シャッターチャンス!)

 

(いい雰囲気だし、ここはしばらくそっとして・・・)

 

 

「よし、じゃあさっさと行こうぜ!」←雄二

 

 

((((((空気読めこのバカゴリラ!))))))

 

(・・・雄二、この状況でさすがにそれは無い)

 

 

「そ、そうだね!」

 

「は、早く行きましょ!」

 

 

僕と優子さんは雄二君の言葉に助けられ、外へと歩いて行った

 

 

『『『『『このバカゴリラ!!』』』』』

 

『ぐあああああ!俺が何をしたぁぁぁ!?』

 

 

背後から叫び声が聞こえた気がするけど、きっと気のせいだろう

 

 

  SIDE OUT

 

  SIDE 優子

 

 

「思ってたより人が多いわね」

 

「そうだね。葉月、はぐれないように近くにいるんだよ」

 

「はいです!あ、お兄ちゃん!アレ食べたいです!」

 

 

葉月ちゃんに引っ張られていく海人君

ふふ、ホント仲が良いのね

 

 

「優子」

 

「ん?どうしたの?美波」

 

「海人の事、ありがとね。優子のおかげですっかり元気を取り戻したみたい」

 

「アタシは何も特別な事は・・・・・・してないわよ」

 

「その間は何?そしてなぜ顔を赤くするの?」

 

 

だって・・・胸を見られたなんて言えるわけないじゃない

 

 

「?まぁいいわ。これからも海人の事、よろしくね」

 

「もちろん。友達だもの」

 

「・・・はぁ」

 

「なんで溜息!?」

 

(ここまで鈍感だと海人も苦労するわね)

 

 

なにかしら?美波が失礼なことを考えている気がする

 

 

「ぎゃあああ!!」

 

「ん?アキの声?」

 

「熱っ!水!水!」

 

 

視線を向けると吉井君と坂本君と中島君が口にタコ焼きを詰め込んで悶えていた

 

 

「はぁ、なにやってんだか・・・」

 

 

やれやれといった表情を浮かべながら美波は吉井君の元へと向かう

近くには代表と友香もいる

 

 

「ムッツリーニ君!チョコバナナ買って♪」

 

「・・・なんで俺が・・・」

 

「えーいいじゃん。エロい食べ方してあげるからさ♪」

 

 

愛子ってば相変わらずね

ん?

 

 

「ほれ、これでよいのかの?」

 

「あ、ありがとうですわ」

 

 

向こうでは秀吉が清水さんに射的の景品のぬいぐるみを渡していた

そういえばあの子、昔っからこういうゲーム得意だったわね

前にコツを聞いたら『西部劇のガンマンを演じるのじゃ』とか意味不明のことを言ってたけど

 

 

「あれ?みんなは?」

 

 

海人君が葉月ちゃんを連れて戻ってくる

 

 

「吉井君達ならそこに・・・っていない!」

 

「アキ君なら美波さんと手を繋いでどこかに行きましたよ」

 

「ってことは代表たちも恋人同士でデートかな?」

 

「英雄君と北条君、それに小山さんと姫路さんもいないね」

 

 

さらにさっきまでそこにいたはずの秀吉と清水さんまでいなくなっている

 

 

「あ、メールが着てた。『30分後にイベント広場に集合』だって」

 

「玲お姉ちゃん」

 

 

葉月ちゃんが玲さんに何かを耳打ちしている

どうしたのかしら

 

 

「海人君、優子さん、葉月ちゃんがおトイレに行きたいそうなので少々席を外しますね」

 

「あ、それなら僕が・・・」

 

「いえ、海人君は浴衣の着付けがわからないでしょうし、おそらく女子トイレは混んでるので男性の海人君は気まずいでしょうから。すぐには戻ってこれないでしょうからここで別れて30分後にイベント広場に集合と言うことで」

 

 

そう言うと玲さんは葉月ちゃんを連れて歩いて行った

 

 

「・・・どうしようか?」

 

「まぁじっとしてても仕方ないし、一緒に回ろうか?」

 

「そうね。それじゃ、しっかりエスコートしてよね♪」

 

「う、うん」

 

 

アタシが笑顔でそう言うと海人君はなぜか顔を赤くした

どうしたのかしらね?

 

 

  SIDE OUT

 

 

 

 

  ※おまけ※

 

 

「これでよかったのですか?」

 

「はいです!ありがとうです!」

 

(お兄ちゃん頑張れです)

 

 

島田葉月は兄想いの空気の読める小学五年生である

 




兄想いの妹のサポートによって、海人と優子のデート?が始まりました
さて、二人は距離を縮めることができるのか?

次回も頑張ります

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