忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜   作:妄猛総督

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やっと戦闘回に突入出来そうです。

あとはおいおい前書きを書いていきますね。


激震の巨腕と四肢、吠えるは二雄

峡谷を突破した峯陵龍はドンドルマを通る道を何故か通らずシュレイド跡地へと進めていったと観測員よりギルドに、大老殿にもたらされた。

 

それは、かつて黒龍から逃げてきた老山龍とは違い戦うべき敵を察知したと感じたとこぼしていた。

 

「ドンドルマに被害が及ばなかったのは僥倖だが‥‥‥‥、何故シュレイドなのか」

 

ホッととりあえずの安心を取り繕うため大長老は眼下のギルド職員を見つめていた。

 

「あそこは、黒龍の領域です。ですが、今までの経緯から黒龍が三界の敵である可能性は非常に低いかと」

 

「たしか、ケオアルボルが現れた決戦場はシュレイドの近くだったはず‥‥‥!まさか!!」

 

「可能性は非常に高いな、到達時間は軽く見積もっても3日でシュレイド近くの決戦場に到達する!」

 

「あれだけの巨体だ、周辺の村々で集団パニックを起こされたら対処は出来んぞ、3日では避難勧告も通達できまい!」

 

地図をテーブルに広げて模型を用いて状況シュミレーションを行う職員達。

中央の大きな模型が峯陵龍だろうか、他のと比べてかなり大きい。

 

そこへ一人の衛兵が駆け込んでくる。

 

「急報です!シュレイド近くの決戦場に出現したケオアルボルは、突如出現した精霊種と思わしきモンスターに倒され、精霊種はそのままシュレイド跡地方面に向け直進していきました!」

 

ざわっ

 

「つまり、シュレイド跡地にて精霊種と峯陵龍が激突する、と!?黒龍の縄張りだぞ!!」

 

「しいっ!!それは禁忌だぞ、迂闊に何度も言うんじゃない!しかし、そうなれば被害はどれほどになる!?」

 

「もともと、シュレイドには人気はおろかモンスターも近寄らない地よ、仮にそこで激突したとしても廃墟。今までと違って軽微だと思うわ」

 

彼らは地図に置かれた模型を見ながら、今後を話し合うのだった。

 

ーー

 

 

 

 

轟音が、瓦礫を吹き飛ばしながら響き渡る。

 

かつて、国を守る城塞、あるいは砦とされるシュレイド王国跡地の砦エリアにて下手な島々を凌駕するやもしれない巨体が通過していく。

 

歩く振動で、古龍の攻撃に耐えうる城壁は無残に崩れ落ち、その皮膚が触れた建造物は砂のように粉々になる。

 

不幸か幸いか、その周辺には生きるものがいなかった。強いて言えば、植物の類いだろうか。それが踏み潰されると言えば生きるものがいないといえるだろう。

 

目の前には山があり、その向こうには僅かに建造物、シュレイド城が見えている。

いつもならばシュレイド城の上空には暗雲がかかって雷鳴が響き、謎のエネルギー体が収束して時節破裂しているのだが………それがない。

 

実は、黒龍はこの事態をすでに見抜いており巻き込まれることを恐れて一時的に塔に移動していた。

 

当たり前である。

いくら邪龍といえど星の守護者たる精霊と一体で世界を壊せる三界の龍帝との戦いに介入するなど、勇者でもあるまいし無謀であったからだ。

 

曰く、

 

『三界と精霊を一度に相手していられるかっ!』ということだ。

 

無論、祖龍とて避けたはずだ。

超越者であるからゆえに、それに迫る、あるいは超える超越者がぶつかるところに飛び込むのは、今はいない。

 

 

峯陵龍はその大きな前足を山の斜面につけると自重で陥没し山体が崩壊する。本来山はそう簡単に崩壊するものではない。幾重にも年月をかけて蓄積された地層と岩盤、植物の根による張り巡らしで強固な天然の要塞である。

 

しかし、峯陵龍の自重に加えてその周辺の地質は花崗岩であったことだ。花崗岩は脆い。風化でぼろぼろになってしまうほどには。

 

だから、拳で山そのものを殴り飛ばしてくる巨大な影も峯陵龍にははっきりと捉えていた。

 

飛ばされてくる山をその頭を持って砕く。

元より頑丈な身体である。山をいくら持ってこようが堪えることは容易い。

煙が晴れた向こう、姿を現したのは森を背負う、雄牛のごとく立派な角を持つ巨大な獣。

 

 

腕はこれでもかと筋肉で構成されており、ガチムチだ。

胸元は胸筋が凄まじく発達しており、人間であれば鍛え上げられた筋肉美。

 

獣、【森猿 ヒラテヅカミ】。精霊第3位に位置する強大な精霊で、太古の昔陸地と陸地をその手で手繰り寄せ、つなぎ大陸にしたという伝説がある。

 

《ルモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!!!》

 

大きく立ち上がり、胸元を膨らませ特大の咆哮を出す。背後にあるシュレイド城を守るように立つ姿は、かつて罪の国とはいえど星の守護者たらしめる勇姿。

 

《ボアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!》

 

負けじと峯陵龍も咆哮を持って対抗する。二体の人智慮外の巨人の咆哮は大気を震わせ、地響きが轟き、水面が沸騰する。

 

森猿が大きく跳躍し、その巨腕で殴りかかる。

森を背負うといえどその森は軽く樹海二つ分はある。すなわち体高だけで数十キロメートルにも及ぶ巨体。

 

科学的にはありえない運動性を見せた森猿を迎え撃つようにどっしりと構える峯陵龍は大地を踏み鳴らすと凄まじい勢いで木々が成長して束ねられ胴回り50メートルの鞭になり空中にいる森猿に巻きついた。

 

巻きつかれたことで、出鼻をくじかれ落下する。落下の影響で大地震が発生し、ドンドルマには崩落する施設が起きた。

 

しかし、森猿も腕に巻きつくそれを力づくで引きちぎると今度こそ峯陵龍に躍り掛かった。

 

《ルモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオっ!!!》

 

《ボアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!!》

 

手四つのような押し合いになる。

 

大地は陥没し、溶岩が溢れ出し周りは火の海に。

 

峯陵龍は大きく口を開くと、蛇の顎関節のように縦にさらに開き森猿の腕に噛み付く。

森猿も峯陵龍をひっくり返さんと豪腕をもってして足を持ち上げていた。

 

互いに抵抗して大地が、大気が痛がるように震え出す。

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォォン!!!

 

 

響く轟音。

 

揺れる地響き。

 

「きゃっ!?」

 

「あぶねえ!!」

 

あまりの衝撃に立つことさえ難しくなっているジェスト・スレイヤーとエクセリア・スレイヤーはシュレイド城の方へ視線を向けた。

 

「始まったか。古の巨人がぶつかり合う、それがここまでとは‥‥‥‥」

 

「お前ら、もう時間はねえ。すぐ移動するぞ、遅れずについてこい!!」

 

シュッとあっという間に消えたもう一人のジェストを追うように、別の並行世界から呼ばれた二人の勇者は駆け出すのだった。




「ふっふー、妾の立ち姿ももうすぐ終わるのじゃ!楽しみにするがよいぞ!!」

??? cv 丹下桜

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