忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜   作:妄猛総督

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エピソード:01 探検、浮遊大陸2

「動物のいない浮遊大陸か。ケルビとかはいそうな感じはあったんだがな。それと持ち帰ったこの鉱石‥‥‥‥。龍属性が活性化されている。俺の武器の属性値が二倍になってやがる。何だ、これ‥‥‥。」

 

 

オルトは夜間のこの時間調査を打ち切り戻ってきた班の報告を聞き、地盤、空中に浮いている時点で地盤が〜はおかしいと思うが地下が空洞だらけなのではないかという割と冗談では済まない仮説が立てられていた。

 

更に地表部分には生物が痕跡すらないと報告を受け、ますます怪しいと感じてきていた。

 

 

様々な班から報告を受け取るとオルトはため息をつく。地図の作成は順調で意外とすんなり進んでいるようだ。

 

あとこれが一番重要なのだが

 

この浮遊大陸は移動する。およそ一時間に200メートルは進んでいる。移動速度は遅いものの無視は出来ない。最悪嵐龍の支配する暴風圏などに突っ込んだりすれば即座にお陀仏である。

オルトは自分たちの知る地図に浮遊大陸が移動する地点を計測をしている。測定器を使い、目に見える見知った場所、狩猟地の距離とここの地点を照らし合わせおおよその移動ルートを算出する。

 

おおよその場所が分かれば気球船に乗っていく必要が減るのだ。

 

 

 

「ハァーーーー、徹夜かなぁこりゃ。」

 

地図と睨めっこしながら盛大に溜息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

「深いぞ、ロープ足すか?」

 

 

「頼む。ロープを伸ばしてくれ。これ以上進めない。」

 

 

重装備な格好ではなく採掘するための装備を着込んだハンターの1人が身体にロープを巻きつけ、鉱石を探す際発生した洞穴に潜入していた。

深い洞穴だが順調に進んでいったが、突如何かに引っかかり、行動出来なくなる。

 

 

 

「どうしたーーー!?」

 

 

「穴が狭くて入らない。ここが限界だ。引き上げてくれ!!」

 

 

洞穴はさらに続いていたが、人が通るには狭すぎる穴になっていたのだ。

 

彼らの洞穴の調査はここで終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜間、誰もいない物静かな浮遊大陸の一画、とある湖で。

 

 

 

ある時間が経過した時湖は急激な変化を見せた。それは湖の中心部で巨大な渦潮を発生しながら周りの水を巻き込み次第にその量を減らしていく。

ゴボゴボとではなくゴゴゴゴゴゴゴと音を立てながら渦を巻く光景はさながら大海原の大渦潮のようである。

 

全てが収まった時、そこには中心部に巨大な大穴が開いており、周囲には魚がビチビチと跳ねていた。

 

中心部にある大穴は何処までも深くて暗く見えづらい。

 

ただ深く暗い底には凍てついた永久凍土から漏れる冷気が穴から吐き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「王よ、お話がございます。」

 

それは赤い服をきた謎の出で立ちをした男。顔はフードに隠れて表情が見えない。そんな彼が見つめる先は古びた塔の頂、その上空である。

 

雲から漏れる木漏れ日を背景に暗闇でもその存在を照らす白銀の体毛と何処までも白な体格をした龍がいた。

 

龍は早くしろというように首を軽く振る。

 

「蒼穹の天帝が目覚めつつあります。このままいけばハンターによって復活してしまい、最悪【三界の龍帝】全てが目覚め貴女様と対を成す【神龍】が目を覚ましてしまいますぞ。いかがなされるのか、お聞きしてもよろしいか?」

 

白い龍はカッと輝くと人、純白のワンピースを着込んだ少女に姿を変えた。そして、重力を感じさせずゆっくりと垂直に降下してくる。

 

トンッ、と軽く地面に着地すると赤い服をきた男を見つめてくる。

 

「天帝が目覚めるの?確かにまずいね。」

 

ならば、どうするのかと男は声を出そうとしたが「でも、」という言葉に遮られて出す機会をなくした。

 

「それはそれ、目覚めたらでいいんじゃないかな。それに、私としては天帝と決着つけたいし。あの戦いは実質相討ちなんだよね。天帝は胸に私の雷を喰らい、私もあいつの雷霆を心臓に当てられたからね。」

 

「ならば、神龍に関してはどうなされるのか。あれが目を覚ませばどうなるかは分かっておられるでしょうに。」

 

 

「神龍は兆候が出たら即対応するよ。あれは文字通り星を食らう。大地の化身のラヴィエンテや天剣のダラ・アマデュラなんか比較にならない。だってそうでしょ?星を卵としてその中で眠り、時が来れば羽化して卵たる星を食らう。そして新たな命の星を目指して星海を彷徨う怪物だ。古から星を知る私たちと精霊が力合わせないとまともに相手にならないよ。」

 

「かの神龍を知る知己は数少ない。人間ですらほとんど知らないんじゃないかな。」

 

「人間であるハンターでは神龍に太刀打ち出来ますまい。神の領域でなければ文字通り紙のように吹き飛ぶでしょうな。」

 

「だろうね、でも今はまだ時期じゃない。もう少し見ているとするさ。」

 

「‥‥‥‥‥っ、では私めはこれで失礼いたします。」

 

モヤのようにまるでいた痕跡がなく、そのまま男は姿を消した。あとに残る少女も光になって消え、残るのは古びた塔のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー

 

 

 

 

 

騒がしい。

 

 

 

 

 

 

 

騒がしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

やかましい。

 

 

 

 

 

これはなんだ。

 

 

 

 

 

静かに眠っているというのに

 

 

 

 

 

 

我が物顔で我が領域に踏み入り

 

 

 

 

 

 

 

 

眠りを妨げるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愚かな。矮小な人の身でありながら

 

 

 

 

 

 

 

分をわきまえぬ愚か者め。

 

 

 

 

 

 

 

 

ならば、

 

 

 

 

 

 

牙を剥くだけよ。

 


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