忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜   作:妄猛総督

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海王龍編あと1つとなりました。感想、評価、ありがとうございます。


沈め海神、さよならとはいわないで

《グアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!》

 

 

 

「く、拘束用バリスタをもっと打ち込め!!自由にさせるな!!」

 

「衛生兵!!凍りついたハンター殿たちを救出せよ!!」

 

「鎮静石をもっと打ち込め!!破壊の鉱石も準備せよ!!」

 

絶え間なく行われる15隻からなる飛行船団の空中支援。

 

海王龍を縛る拘束用バリスタはまるで木乃伊なようにグルグル巻きにして、絶島地下より運び出した支援用の鉱石をありたっけ積んだ飛行船より打ち出される。

 

 

睡眠効果を持つ青い鉱石が打ち出されると拘束を外そうと暴れる海王龍の動きが鈍くなる。

 

更に白い鉱石が飛ぶと翼の一部に着弾。凄まじい爆発と共に海王龍の翼を一部ボロボロにする。

 

《ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッ!!!!??》

 

 

「翼、翼膜破壊確認!!更に胸元から核と思われる宝玉の露出を確認!!破壊の鉱石を装填願います!!」

 

 

「破壊の鉱石を装填!!目標、胸元の核、コアだ!!」

 

 

「装填完了!発射します!!」

 

バシュウっ!!

 

ズドンっ!!!

 

「コア、破壊至らず!!されどコアの欠けに成功!コア再び肉体に埋まりました!!」

 

海王龍は多大なダメージを負うとおそらく弱点であろう胸元のコアが露出すると確認された。そのコアこそ大海嘯を制御する力のみなもとであると。

 

「なら、もう一度やるまでだ!!旋回せよ!」

 

「アイサーーーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

ガンっ!!

 

「硬い!荒療治だが。大タル爆弾持ってこい!連鎖起爆で氷を砕く!!」

 

「しかしそれではハンター殿たちが危険では!?『馬鹿野郎、ハンター殿たちも危険なのは承知だが!!我々もずっと居られるわけではない!!』了解っ!!」

 

幸いにしてハンター殿たちは密集して凍りついていた。

 

衛生兵達は大タル爆弾を規則正しく並べて中央に小タル爆弾をおいて爆発の範囲外に退避する。

 

数秒数えて響く爆音。

 

 

 

「「「「「ゲホゲホ!!助けるのになんで爆弾なんだよ(なのよ)!!!???」」」」

 

「それしか手っ取り早く済ます方法がなかった。すまん。」

 

「「「「軽くねっ!!!??」」」」

 

「ほら、隊長、怒ってるじゃないですかぁ!!」

 

「大丈夫だ、叫べるならば元気に決まっている、だってハンターだから!!」

 

妙なサムズアップが殺意を加速する。

 

あれ?この人こんな人だったけ?

 

 

「取り敢えず秘薬配るからなーー、飲んだらさっさと奴さんのしてこい!!」

 

 

‥‥‥‥‥‥‥もう何も言わない。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー

ーー

 

 

 

 

絶え間なく我が身を打つ小さきもの達の猛攻。

 

怒りに身を任せようにも、青い鉱石が我が身の怒りの熱を奪う。

 

暴れようにも幾重にも重ねた拘束用バリスタが身動きを封じてくる。

 

他の駆けつけた小さきもの達が凍らせた武器持つ小さきもの達を救出し、再び我が身をえぐる矢じりが此の身から血を吹き出させていく。

 

 

だが。

 

時は満ちた。

 

 

 

何処かで誰かが、この力を食い止めているがもはや止められぬ。

 

《ウウウウウウウウウウゥゥゥゥガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!》

 

 

空気を震わす我が咆哮。

 

空間を砕き、空間の断層により空気の地震が起こる。

 

それに引き寄せられるように氷の壁はここ目掛けて接近する。

 

 

凍りついた、世界を覆う白い影である大海嘯はここ海王龍を最終地点として目指していた。海王龍の頭上にやってくればあとは、落とすだけだ。

 

 

ならばこの煩わしい拘束も我慢することもない。

 

ブチ、ブチブチブチ‥‥‥

 

 

ギリギリ‥‥‥ブチブチブチ‥‥‥‥‥‥!!!

 

「っ!拘束用バリスタを引きちぎるつもりか!!なんて力だ!」

 

「もっと打ち込め!!鎮静の鉱石を打てぇぇ!!!」

 

ドォォォン!

 

シュゥゥゥゥ‥‥‥‥!!!

 

 

「っ!?効いてないっ!?さっきまで効果があったじゃないか!!?」

 

「観測班、何があったか報告せよ!!」

 

 

「海王龍、拘束用バリスタを引きちぎりこの場を離脱する模様!甲殻のいたるところから属性エネルギー観測!特に翼に属性エネルギーが集まってます!!これは‥‥‥‥‥‥飛翔するつもりか!?あの巨体で飛行するというのか!!?巨戟龍もそうだがあれを上回る巨体でどうやって!?」

 

 

「なんだとっ!!?」

 

 

吹雪が吹き荒れる中、肉眼でも見える海王龍の放出する属性エネルギー。

 

あれほどの巨体で飛行するなど到底考えられなかった。

 

鎮静の鉱石が効かないというのも驚きだが、海王龍が飛翔するという事実の方が遥かに衝撃的だった。

 

しかし、なぜ今になってと疑問が浮かぶ。

 

「っ?!皆、上を見ろっ!!」

 

「「「「「‥‥‥‥‥‥?‥‥‥‥‥‥っ!!???」」」」」

 

 

白い壁がもう海王龍のすぐ真上まで来ていたのだ、制限時間である二時間はすでに超えていた。

 

白が世界を覆い尽くした。

 

天を仰ぐように海王龍は空に向け大きく吠える。

そして翼を羽ばたかせてゆっくりと地上からいや凍りついた海上から飛び立った。

 

そうはさせじと左右から飛びかかった二体の精霊、アマノヌボコヌシとキリン。

 

だが、海王龍は3つのうち1つの首が真下に向け極寒のブレスを放つ。

するとどうだろうか。四方八方、上下斜めから氷の槍が高速で海王龍を中心に展開される。

 

それは空を覆う白い世界からも展開される。

 

まさしく氷槍の檻。

 

圧倒的というには生ぬるい大質量の氷槍。

 

これは事実無限に展開される。なぜか。

 

世界中を覆う白い世界、それは全て水であるということ。海王龍が立っていた場所は凍りついていたとはいえ元は海。

 

海全てを枯れ果てさせぬ限り止める術はないに等しい。

 

圧倒的な質量に弾き飛ばされる精霊達。

 

精霊だけではない。上空を飛んでいた飛行船も氷槍が貫き、力なく墜落する。支援用の鉱石を積んでいた飛行船は墜落と同時に大爆発を起こした。

 

移動できず、砦と化していたヴァルキュリア号も氷槍が貫き、船体が引きちぎらんとしていた。

 

「化け物めっ!!」

 

吐き捨てるオルト。今にも吹き飛ばれそうになるがなんとか耐えている。

 

歯噛みするオルトを、トリヴィス、レガリアその他のハンター達を他所に遥か上空を目指して飛翔する海王龍。白い世界が海王龍を覆い、滝のように流れるーーー世界の終わりに。

 

 

鈴の転がす声が聞こえた気がした。白く視界が塞がっていて確認もできない。

 

 

 

「させるわけないじゃないか。海王龍。君が支配するのは海だろう?だからさーーー

 

 

 

 

 

堕ちなよ、ギ●ラもどき!!!」

 

海王龍を上から叩きつける空間が割れる衝撃。

 

《グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァっ!!?》

 

見える人はいないが、この少女は紫がかった銀の髪を揺らして海王龍の背中にかかと落としを敢行したのだ。

 

「流石にその力を解放するのは認めないよ!前は様子見だったけどもう容赦しない!!」

 

こいつはーーあの時襲撃して来た人に化けた龍。いやーーーこの気配はーーー!!!

 

 

我が母君、原始龍『マザー・ドラゴン(・・・・・・・・・)』の分体かっ!!母君から分かたれた祖なる者たち。その一存在。

下手をすれば抑止力の排除対象だ。なぜならこの世の祖なるものはいるのだから。

 

焦りながら、無限に展開する氷槍がこの母君の分体を貫かんと四方八方、上下斜めから檻のごとく乱雑に展開する。

 

 

「ふふん、どこを狙っているんだい?そんなの私には当たらないよ?出直しきてきな!!」

 

少女の拳が胸元をえぐりとる。露出するコア。

 

到達する前に拳を当てさせるのは止めたが、失墜している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堕ちていく、落ちていく。

 

 

多大な衝撃を発生してスノーバーストが発生する。

 

それはなんの因果だったのだろうか。

 

落ちた衝撃で船体のほとんどが吹き飛び、破龍砲は大破、カノン砲も大破している。しかし、最大の武装が残る船首の大撃龍槍がまだ生きていた。

 

衝撃波で遥か彼方に飛ばされたトリヴィスとレガリアはかろうじて生き延びていた。

 

オルトは瓦礫に体を挟まれ、無理に脱出したために足を犠牲にした。

 

「くそ、がぁァァァァァァァァァァァっ!!!」

 

自身に吐き捨てるように叫ぶオルト。

 

そしてオルトに覆いかぶさる影が。

 

起き上がった海王龍が、すぐそばに来ていたのだ。

 

死に体の体で這っていくオルト。巨大な影はゆっくりと大破したヴァルキュリア号を踏み潰さんとしていた。

 

ズン、と衝撃が。凍りついた海上にめり込むヴァルキュリア号。踏まれたのだ。海王龍に。

 

 

絶対危機的状況。

 

けれど、運命は捻り狂う。踏まれたことで船首の大撃龍槍が海王龍を狙うように向きが変わったのだ。

 

ふっ、とほくそ笑むオルトに。

 

ピッケルを握りしめ、そしてーーー

 

 

「オオオオオオオオォォォォォォォっっ!!!!!!」

 

 

『いっけえ!!』

 

遥か上空から少女の声が聞こえた気がしたが今はこれが最後のチャンスだ。

 

振り下ろすピッケル。

 

 

 

 

 

 

白夢の中、海王龍はすぐ近くから起動音を感じ取り眼下を下ろした。

 

そしてーーーー

 

 

ギュイイイイイイイイイィィィィィィィィィィン、ドシュゥゥゥゥン!!!

 

起き上がったばかりで、視界は自身も掴めぬ白い世界。足元を怠った海王龍の胸元目掛けてーー

 

 

ヴァルキュリア号搭載 三連装大撃龍槍が1つの回転する槍に変形して『滅龍槍トリアイナ』が防御する甲殻を突き破り、コアに到達する。

 

 

コアのみならず『滅龍槍トリアイナ』は背中を突き破り、そして機能停止した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、世界が白から青へと変わっていった。




エルが乱入しないといったな、あれは嘘だ。(キリッ

やりたかっただけなんだ、許して?

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