忘れられた龍の秘跡 〜MonsterHunter Legend 〜 作:妄猛総督
モンスター生態編 未知なるモンスター、滑空の鳥竜種エルドゥス!
鬱蒼と茂る大森林のとある場所で、丸々としたガーグァが何故か1匹で雷光虫を食べていた。おそらく雷光虫を食べるのに夢中になり群れからはぐれたのだろう、これをこれまた大きく育った木の上から見つめる影があった。
龍歴院が見つけたマッカォに似ているが、何より特徴なのが翼としか思えない、いや翼に進化しかけている腕を持っているのだ。
全身がカラフルな羽毛に覆われ、尾は鳥類の尾翼に進化しかけている。
足は掴むことと走ることに重点に進化していてこれも鳥類によく似ている。
異なる世界の化石として鳥類の始祖と言われた始祖鳥、それに極端に酷似していた。
それは身体を揺さぶり、カラカラと微小な音を発生させた。獲物を捕捉されないように静かに仲間に合図を出す。
《アゥオォーーウォォーーーー!!!》
突如として茂みから木の上にいる個体より少し小さいけれど同じ種族であろうモンスターが走り出してくる。
《クワァ!?クゥワァァァ!!!》
驚いたガーグァは走って逃げようとするが、小型のモンスターがガーグァの周りを包囲していて逃げ場がない。
一定の距離から近づこうとせず、けれど行きたい場所へ行かせない見事な包囲網。
そして、木の上にいたソレは、包囲しているガーグァにむかって滑空、そのまま組み伏せてしまう。
暴れるガーグァを頭から押さえつけ足の握力でガーグァの首をへし折る。
《クワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!》
大きく吠えて、獲物を仕留める宣言をする。
ドスエルドゥス。
エリエンテ地方において、中小型の鳥竜種でありながら後述する連携性、凶暴性により上位からしか受けれない珍しいモンスター。
大きさはドスジャギィより小さいものの手下であるエルドゥスに獲物見つけると獲物を包囲させ、滑空して致命的な一撃を加えるという。
翼は進化途中なのか滑空しか出来ず、羽ばたくことは出来ない。その代わり滑空できる距離内であれば自在に移動でき、およそ5トンに及ぶ握力で獲物を確実に捉える。
このモンスターは、ギルドが絶滅種であるイグルエイビスによく似ているため、極めて原始的なモンスターであるとして積極的な調査を続けている。
そもそもエリエンテ地方はギルドが把握している地方から隔絶されていた。そのため今日まで原始的な姿を留めていたと思われている。
事実、調査員として送ったリッカートの資料によれば、かなり、原始的なモンスターが数多く生息していると言われ、なんとかのセルレギオスの先祖と思われているシェルレウスと思しきモンスターも確認されているという。
これが事実であれば、モンスターの生態の歴史、その常識を打ち砕いてくれる原石であるとし、さらなる調査を求められている。
「リッカートの旦那!エルドゥスの一体を仕留めてきたぞ、調査にいるんだろ?傷は少ねえ、満足してもらえると思うぜ。」
「ありがとう。早速。資料室に運んでくれ、私も手伝おう。」
「ん?早速解体か?」
「うん。今までの調査では、外から観察、外見の特徴を既に出来上がってる。あとは解剖で調査だね。あと1人はハンターさんの協力が欲しい。」
「任せろ、確かエリスの奴が酒を飲んでたな。呼んでくるわ。」
頼むよ、リッカートはそう言ってシートをエルドゥスのしたいに被せてカートで自分の研究室兼資料室へ持っていく。
「お待たせ〜、んで何手伝うの?」
「ああ、解剖したいから、解体をお願いしたい。一応、未知のモンスターだからね。小さければ自分でも出来るんだけど、ここまで大きいと少しね。」
「りょーかい、内臓は傷つけないんだよね?解剖しやすいように不要な部分だけ取ればいいのかな?」
「ああ、頼むよ。」
ハンターの協力で、エルドゥスはその構造を知ることができた。
やはり、進化途中のモンスターで、資料で見たことがあるイグルエイビスから鳥類に近い進化へいたる中間の生物であること。
羽ばたくための胸の筋肉が途中まで発達していて、腕は爪の痕跡はあるものの大部分は翼骨に変わろうとしている。
これで、群れを統率するドス個体がいるというのだから鳥竜種の特徴も持っているのだろう。
「実に興味深い。ここまで原始的なモンスターがいるなんて。噂ではシェルレウスに酷似しているモンスターまでいるというじゃないか。調べて見たいな。」
「だったらよ、今度狩猟場一緒に行こうか。あんたはキャンプで待っていていればいいからよ。終われば合図を出す。来てもいいが絶対守れるという保証がないからな。」
思わぬチャンスにリッカートは学者として二つ返事だった。
未知なるモンスター、太古の証明に立ち会える喜びにリッカートは一晩中、ガッツポーズを取っていたという。