これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「タスク!!」
「!?」
不意に、聞き覚えのある声で名前を呼ばれたタスク。
反射的にぱっと振り返る。
するとそこには……
「行くなら言ってよ……私も行ったのに……」
少しご立腹気味のシノンと、
「あー……はは、こんにちは、店主さん」
少しお疲れ気味のキリトがいた。
「……あれ、二人とも。 こんにちは」
「こんにちはじゃないわよ……!!」
驚いた顔をするタスクに、シノンはため息をつく。
その横に並ぶキリトは、愛想笑いを浮かべている。
「その様子だと……大変だったみたいだね、キリトくん」
「ま、まあ……はい」
そんな様子を見て、店主は微笑みを彼に向けた。
「どうやら、シノンさんに締められた感じだね、その顔は」
「そ、そうです……」
「あんたは余計なこと言わなくていいの!!」
「あっ……て!!」
すると、キリトの腹にどかっ、とシノンの拳が食い込む。
そんな彼らを見て、店主は相変わらず笑っていた。
「御三方……仲が良いのは結構ですけど、試合の方が……」
「あっ……!!」
そんな中、タスクがディスプレイを眺めつつ、三人に横槍を入れる。
三人は、その声にはっと我に帰り、ディスプレイの方を向く。
そしてちょうどそのタイミングで……
✣
タァン…‼︎
「がはっ!?」
二チーム間の激しい衝突の末、唯一生き残ったプレイヤーが、背中にたった一発の銃弾をうけ、死亡する。
「いくら手負いとは言え……流石に一発でやられちゃうとはな……」
そしてその様子を、平屋建ての建物の窓から見ていたプルームが嘆くように呟く。
するとその隣のライトが、構えていた銃を下ろしつつ……
「相当な乱戦だったんでしょうね……」
そう呟いて、ゴーグルを外した。
この瞬間、漁夫の利と言うにはあまりに寂しい結果で終わったが、彼らは作戦を成功させた。
乱戦に乗じ、お互い損耗した二チームを一気に叩いて殲滅する。
結果的には、その場に着いた頃には乱戦は既に終わってしまい、生き残ったのは体力ミリのプレイヤー1人だけだったのだが。
「他には?」
「いない……かな。デッドタグは12個全部確認できた」
さらに奥の窓から銃を覗かせていたベネットが、隣で顔だけ出しているタウイにそう尋ねる。
それに対しタウイは、淡々とタグの数だけ数えて答えた。
「一応、リロード挟みますねー」
「はいよー」
そしてその声を聞いて、最後の一人を屠ったライトが、自身の構えていた銃、【H&K MP5】のマガジンを差替える。
それを見つつ、プルームが代わりに銃を構えるが、どうやらその必要もなさそうだった。
「ここからどうする、タウイ」
「んー……」
それでも、万が一に備えてしっかりと警戒の目を光らせるプルームは、タウイにそう尋ねる。
すると、リロードを終えたライトも、プルームと反対側を見る役割に入る。
「こっち側見ときますね」
「おう、頼んだ」
そんな会話をしつつ、ピッタリと背中を合わせて窓から覗く2人。
「スキャンまで後数分かぁ……微妙だね」
「そうなんだよ……」
その後ろで、時計を眺めつつため息をつくレックスと、それに相槌を打つタウイ。
ベネットとギフトは、いつの間にか建物の2階に上がって、少し奥まで見渡せる大きな窓から、周りを見ていた。
「……よし、決めた」
「お?」
すると、突然タウイがそう声を上げて、立ち上がる。
その声は、通信アイテムを介して、皆の耳に入る。
「我々は、居住区に入る」
「居住区……というと、ここから西の?」
「そうだ。都市にいると死角が多すぎるからな」
そしてその声に、疑問調で言葉を返すベネット。
タウイは、立ち上がりつつ、その声に返事をした。
「なるほど……適度な遮蔽物を求めてってことか」
「待ち伏せかぁ、楽しみだ」
すると、ギフトとレックスがそんな反応を見せつつ、各々準備を開始する。
それを見たタウイは、プルーム達や2階にいる2人に指示を出しつつ、自分も出口へと歩き出した。
「よし、移動開始。プルーム、ライト、頼んだぞ」
「了解」
「はーい!!」
「ベネット、ギフト、後ろを頼む」
「了解、すぐ行きます」
「はいよー」
そして、出口からゆっくりと、かつ一人づつ、大通りへと出ていく。
ただ……次の瞬間。
✣
一方、少し時を戻して、大型酒場。
何とか落ち着き、カウンターから個室へと場所を変えたタスク達一行である。
彼らは、中型のそれなりに大きなディスプレイを眺めつつ、広々とした個室の中で、各々好きな所でくつろいでいた。
タスクとシノンは中央のソファ。
店主はその右にあるクッションに腰かけ、クッションを抱いている。
キリトは、奥についている小さなカウンターに座っていた。
「……して、タスク君」
「はい?」
すると、不意に店主がタスクを呼ぶ。
タスクはその声に答えて、前かがみになり店主の方を向く。
そしてそれを見た店主は、少しニヤけながら、タスクにこんな質問を投げかけてきた。
「
「……はは!!」
対して、それを受けたタスクは、彼も彼で楽しそうに笑うと、どっかりと背もたれに背中を預けて、ディスプレイを睨むように見る。
そして少し笑みを保ちつつ……声のトーンを変えて、質問に答えた。
「彼らには……決定的に
「……ほう」
その声のトーンは、まさに彼、
ただ、次の瞬間。
その
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