これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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Episode87 雪化粧 〜Snow makeup〜

「ふ、ふえっくしょい!!」

「おーおー、大丈夫?」

 

一面真っ白の雪化粧をした丘に、それぞれ大小のプレイヤーが座っている。

 

くしゃみをした小さな方は、89式5.56mm小銃とM26 MASSを背負い、H&K MP5とベレッタM12の二丁をぶら下げた挙句、右太腿にはデザートイーグルとワルサーPPK、左太腿にはコルトパイソンを取り付けた、STRの暴力な装備。

額にはどでかい赤いレンズのスノボゴーグルがひっついていて、これも装備同等いかつい感じ。

 

それに対し大きい方は、黒いニットキャップに青レンズのスノボゴーグル、さらに口元には青スカーフで、防弾チョッキと海軍迷彩柄のズボンを履いた、身軽な感じの全身青黒キャラクター。

 

手元にはやたらでかめなマガジンを装着したF−2000が携えられ、また後ろ腰には異様な色をした50cmほどの小太刀がついていた。

 

「うぅ〜ん、風邪引きましたかね、僕」

「それか、誰かが君の噂をしてるのかも」

「ええ!? どんな噂だろう……?」

 

そんな会話を、まるでそこが戦場フィールドである事を忘れているかのように、やたらいかついスノボゴーグル兄弟はしている。

 

「ま、ライトくんはかわいいから、きっと悪い噂じゃないよ」

「か、かわいいって……!! 僕、タスクの奴よりは大きいですからね!!」

「ふふ、そこだよライトくん、君がタスクくんよりかわいく見られるのは」

「そ、そこってどこですかレックスさん!?」

 

小さい方のライトは、大きい方のレックスの方へ、勢いよく首を振る。

だがレックスは、いつの間にかゴロンと仰向けに寝転がり、今にも寝息を立てそうな顔をしていた。

 

「ふわぁぁぁ〜……暇だなぁ、任務中って事を忘れそうだよ」

「そうですよレックスさん、今は任務中です!! 早く起きて!!」

 

ライトに無理矢理引き起こされ、レックスは危うく飛んでいきそうになりなる。

 

「まったく……どんなSTRにしてんだか」

「こ、これでも、まだタスクには……」

「はは、あの子はレベルが違うよ」

「むぅ〜!!」

 

すると、レックスのそんな一言に、ライトはプクーっと頬を膨らませた。

 

 

ギィ、ギィ!!

「お、おかえりー」

 

それから、数分後。

 

相変わらず昼寝直前の日向ぼっこに勤しんでいた2人の元に、一匹の()()が帰ってきた。

 

「どうだー? お目当てはいたか? スー君」

ギィー

 

レックスの問いかけに、飛び回って答えるスー君。

全身銀色の、プテラノドンのような姿の彼は、テイム主であるレックスに何かを必死に伝えようとしていた。

 

「ストイフくん、目標を見つけたっぽいですね」

 

そんなGGOでは珍妙な光景を、ライトは眺めつつそう呟く。

 

「そうだね、それじゃ、いこーか!!」

 

そしてその呟きに答えて、レックスは勢いよく立ち上がった。

 

「案内して、スー君。先に行って、上空を旋回飛行」

ギィー!!

 

それに加えて、レックスはそう、スー君……もといストイフという名のテイムモンスターに指示を出しつつ、ゴーグルのスイッチをつける。

 

「さ、行きますか!!」

 

それを見たライトが、楽しそうにゴーグルを額から目元まで下ろしてそう叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

そうして、スノボゴーグル兄弟は立ち上がり、()()()()()()を実体化させると、任務へと向かって白い斜面を滑っていった。

 

 

「僕に何の用だい、菊岡」

 

同刻。

現実世界の、とあるビルの一室にて。

 

店主、もといタモンは、珍しく菊岡に呼び出され、お店を(また)カチューシャに任せて、半ば嫌々ながらここに出向いていた。

 

「いやぁ、すまないね。ちょっと話したい事があってさ」

「話したい事?」

 

菊岡の言葉に、どこか違和感を覚えるタモン。

だからなのか、菊岡に自然と疑いの眼差しを向ける。

 

何だ? 最近は大人しくしているはずだが、また何か言われるのか?

そんな推測が、タモンの脳裏を飛び交っては消えた。

 

「はは、そんな目で見なくたっていいじゃない」

「ふ、こちとら何されるか分かったもんじゃないからね」

 

菊岡はこちらに笑顔を向けてくるが、やはりそこはタモン。

それに隠された()()()()()を、確実に感じ取っていた。

 

「まあ……もう少しだけ待ってくれよ」

「?」

 

すると、菊岡も菊岡で悟られたのを察したのか、息をついて背もたれに寄りかかる。

 

タモンはますます分からなくなってきた。

話したい事があるとかなんとか言っておいて、今になっては待てと言い始める。

 

まだやり残したカスタム依頼やら、今日届く予定のパーツやら、色んな心配事が頭を過ぎってはやまない。

 

「……はぁ」

 

ため息のひとつぐらいつきたくなるのは、実にもっともだった。

 

 

それから、数分後。

 

ガチャ

「いやぁすみません、遅れました」

「お、やっと来たね。」

 

どうやら菊岡が待っていたらしい人物が、そう言いながら部屋に入ってきた。

綺麗に整えられたスーツを着こなし、20代後半くらいの、少し太っていて、身長がだいたい175cm程度の男。

 

タモンはそんな男の姿を見ると、急に何かを思い出したかのように目を見開く。

 

「あ、あなたは……!!」

「こんばんは」

 

 

 

 

 

「三村さん!!」

 

 

 

 

 

「ええ、お久しぶりですね、タモンさん」

 

驚きを隠せないタモンとは逆に、彼に三村と呼ばれた男性は少し嬉しそうだった。




いつもありがとうございます。
駆巡 艤宗です。

やっとですね、やっと!!
キャンペーンキャラ総勢6人、登場させることが出来ました!!

何やら菊岡の策略も動き出したようで……
策略に巻き込まれていくキャンペキャラ達と、その先にまちうける『ピンクの彗星』との決闘やいかに……!?

乞うご期待!!

※設定集に関しては、少し遅れて投稿致します。
今しばらくお待ちくださいませ。

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