これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「ふ、ふえっくしょい!!」
「おーおー、大丈夫?」
一面真っ白の雪化粧をした丘に、それぞれ大小のプレイヤーが座っている。
くしゃみをした小さな方は、89式5.56mm小銃とM26 MASSを背負い、H&K MP5とベレッタM12の二丁をぶら下げた挙句、右太腿にはデザートイーグルとワルサーPPK、左太腿にはコルトパイソンを取り付けた、STRの暴力な装備。
額にはどでかい赤いレンズのスノボゴーグルがひっついていて、これも装備同等いかつい感じ。
それに対し大きい方は、黒いニットキャップに青レンズのスノボゴーグル、さらに口元には青スカーフで、防弾チョッキと海軍迷彩柄のズボンを履いた、身軽な感じの全身青黒キャラクター。
手元にはやたらでかめなマガジンを装着したF−2000が携えられ、また後ろ腰には異様な色をした50cmほどの小太刀がついていた。
「うぅ〜ん、風邪引きましたかね、僕」
「それか、誰かが君の噂をしてるのかも」
「ええ!? どんな噂だろう……?」
そんな会話を、まるでそこが戦場フィールドである事を忘れているかのように、やたらいかついスノボゴーグル兄弟はしている。
「ま、ライトくんはかわいいから、きっと悪い噂じゃないよ」
「か、かわいいって……!! 僕、タスクの奴よりは大きいですからね!!」
「ふふ、そこだよライトくん、君がタスクくんよりかわいく見られるのは」
「そ、そこってどこですかレックスさん!?」
小さい方のライトは、大きい方のレックスの方へ、勢いよく首を振る。
だがレックスは、いつの間にかゴロンと仰向けに寝転がり、今にも寝息を立てそうな顔をしていた。
「ふわぁぁぁ〜……暇だなぁ、任務中って事を忘れそうだよ」
「そうですよレックスさん、今は任務中です!! 早く起きて!!」
ライトに無理矢理引き起こされ、レックスは危うく飛んでいきそうになりなる。
「まったく……どんなSTRにしてんだか」
「こ、これでも、まだタスクには……」
「はは、あの子はレベルが違うよ」
「むぅ〜!!」
すると、レックスのそんな一言に、ライトはプクーっと頬を膨らませた。
✣
ギィ、ギィ!!
「お、おかえりー」
それから、数分後。
相変わらず昼寝直前の日向ぼっこに勤しんでいた2人の元に、一匹の
「どうだー? お目当てはいたか? スー君」
ギィー
レックスの問いかけに、飛び回って答えるスー君。
全身銀色の、プテラノドンのような姿の彼は、テイム主であるレックスに何かを必死に伝えようとしていた。
「ストイフくん、目標を見つけたっぽいですね」
そんなGGOでは珍妙な光景を、ライトは眺めつつそう呟く。
「そうだね、それじゃ、いこーか!!」
そしてその呟きに答えて、レックスは勢いよく立ち上がった。
「案内して、スー君。先に行って、上空を旋回飛行」
ギィー!!
それに加えて、レックスはそう、スー君……もといストイフという名のテイムモンスターに指示を出しつつ、ゴーグルのスイッチをつける。
「さ、行きますか!!」
それを見たライトが、楽しそうにゴーグルを額から目元まで下ろしてそう叫ぶ。
そうして、スノボゴーグル兄弟は立ち上がり、
✣
「僕に何の用だい、菊岡」
同刻。
現実世界の、とあるビルの一室にて。
店主、もといタモンは、珍しく菊岡に呼び出され、お店を(また)カチューシャに任せて、半ば嫌々ながらここに出向いていた。
「いやぁ、すまないね。ちょっと話したい事があってさ」
「話したい事?」
菊岡の言葉に、どこか違和感を覚えるタモン。
だからなのか、菊岡に自然と疑いの眼差しを向ける。
何だ? 最近は大人しくしているはずだが、また何か言われるのか?
そんな推測が、タモンの脳裏を飛び交っては消えた。
「はは、そんな目で見なくたっていいじゃない」
「ふ、こちとら何されるか分かったもんじゃないからね」
菊岡はこちらに笑顔を向けてくるが、やはりそこはタモン。
それに隠された
「まあ……もう少しだけ待ってくれよ」
「?」
すると、菊岡も菊岡で悟られたのを察したのか、息をついて背もたれに寄りかかる。
タモンはますます分からなくなってきた。
話したい事があるとかなんとか言っておいて、今になっては待てと言い始める。
まだやり残したカスタム依頼やら、今日届く予定のパーツやら、色んな心配事が頭を過ぎってはやまない。
「……はぁ」
ため息のひとつぐらいつきたくなるのは、実にもっともだった。
✣
それから、数分後。
ガチャ
「いやぁすみません、遅れました」
「お、やっと来たね。」
どうやら菊岡が待っていたらしい人物が、そう言いながら部屋に入ってきた。
綺麗に整えられたスーツを着こなし、20代後半くらいの、少し太っていて、身長がだいたい175cm程度の男。
タモンはそんな男の姿を見ると、急に何かを思い出したかのように目を見開く。
「あ、あなたは……!!」
「こんばんは」
「三村さん!!」
「ええ、お久しぶりですね、タモンさん」
驚きを隠せないタモンとは逆に、彼に三村と呼ばれた男性は少し嬉しそうだった。
いつもありがとうございます。
駆巡 艤宗です。
やっとですね、やっと!!
キャンペーンキャラ総勢6人、登場させることが出来ました!!
何やら菊岡の策略も動き出したようで……
策略に巻き込まれていくキャンペキャラ達と、その先にまちうける『ピンクの彗星』との決闘やいかに……!?
乞うご期待!!
※設定集に関しては、少し遅れて投稿致します。
今しばらくお待ちくださいませ。
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この動画にしかない物語の鍵があります……。
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