これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「はっ……!はっ……!」
一人の少年が、すっかり日の落ちた夜の住宅街を走る。
黒いフードつきのパーカーに、カーキ色のズボン。
右耳には、今ではすっかり主流になったマイク付きの無線イヤホンが付いていた。
《タスクくん!》
「はい!?」
そこに、店主の声が聞こえてくる。
《アスナさんは予定通り、キリトくんの元に行かせた!》
「シノンの住所は……!」
《もちろん持たせたよ!もうすぐキリトくんと死銃の決着もつきそう!間に合う?》
「なんとか……間に合う!」
《よし、キリトくんたちがログアウトしたらまた知らせる!僕も今から
「了解……!」
そんな会話しつつ、その少年、タスクは走り続けた。
一刻も早く、待ちわびていた、「この瞬間」のために。
そんな感情からか、その背中はどこか、高揚という感情が滲み出ていた。
「やっと……!やっとだ!」
そんな、呟きもまた然り。
✣
「行っちゃっ……た……!」
時は少し戻って、ALOの、例の個室。
クリスハイトにシノンの住所を聞いたタスクは、そそくさとログアウト。
まだついていない、死銃とキリトの……はたまたBOBの決着など目もくれず、颯爽と光の粒子になって消えていった。
「……アスナさん」
「……!はいっ?」
そんな彼の行動に意表を突かれ、ポカーンとしていた妖精たちの一人、アスナに、店主がいきなり声をかけた。
その声にまた意表を突かれたのか、少し驚きつつ答えるアスナ。
すると、
「これを、キリトくんへ持って行ってあげて」
「……!」
「ちなみに、キリトくんのいる病院はここね」
そう言って、店主は自分の目の前にあった、それぞれ違う地図が表示されている2つのウィンドウをアスナの目の前へと飛ばす。
「これは……!」
「そう。シノンさんの家とキリトくんの病院のそれぞれの住所」
「……!」
「キリトくんも喜ぶと思うよ?戦場からの帰還に、
「「「〜!!」」」
「これはそのついでのお願いさ。……っ!おっと」
いきなり飛んできた爆弾発言に、アスナは苦笑いして、シリカやリズ、はたまたリーファまで、発言の主である店主を睨む。
「あっはは……キリトくん……、モテるんだねぇ」
「そりゃ、あいつぁーね?」
睨まれた店主の逃避の呟きに、今度はクラインが乗っかった。
「……はぁ」
そんな中、クリスハイトがため息をついて、ディスプレイに向き直る。
「そ、それじゃあ……」
「うん。行ってらっしゃい!」
流石に居心地が悪かったのだろうか、アスナがそそくさと苦笑いで光の粒子になって消える。
「……よし」
すると、店主がまたディスプレイを展開し、誰かへと電話をかけはじめた。
それと同時に、
「クリスハイトさん!それじゃ、また今度ね」
「えっ、ちょっ!待っ!」
そんな声をクリスハイトに掛けて、店主もまた、光の粒子になって消える。
激戦を繰り広げているBOBを映し出したディスプレイなど、目もくれず。
✣
「はぁ……はぁ……ついた!」
そう言って、その少年、タスクは、
そして月を見上げると、
「……オセロット。所定の位置に到着。待機する」
右耳のイヤホンに、声を送った。
《了解。
するとすぐに、返事が返ってくる。
タスクはその返事に促されて、周りを見回した。
「えっと……あれか。コンビニに止まってるな」
《そう。よし、視認を確認。
「了解」
《あとは、ボスのタイミングで突入、
「
《それは、
「なるほど、分かった」
そこまで話して、話は途切れる。
……と思った矢先。
《ふう……いよいよだな》
「ああ」
オセロット、もとい店主が、どこかしみじみと呟く。
すると、
「任せておけ、オセロット」
《……!》
「野郎、ぶっ殺してやる」
《……はは、ほどほどにね》
「分かってるさ」
そういって、いつの間にかつけた眼帯と、本物の、そして
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