これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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Episode186 贅沢 〜The luxury plan〜

スキャンを眺めたレンが一言。

 

「とりあえず、南東に行く」

 

続いてタスクが返して一言。

 

「了解しました」

 

レンの一言とタスクの二つ返事で決まった方針により、一行はとりあえず最短ルートでピトの元へ向かうことにした。

 

「一番近くにいるチームまでどれくらい?」

「えーと」

 

すると、端でスコープを覗いていたシノンが目を離して近づいてくる。

 

「1500メートル南。他チームはむしろ離れた」

「ほとんどのチームが中央に向かったみたいです」

「ふぅん……じゃまぁ、初戦は彼らね」

 

そう言ってシノンが指したのは、一番近くに存在を示されている光点。

 

自分たちの前に横たわる大通りを南下した先にいるチームだ。

 

「進む方向にちょうどいるし、変に迂回すると背中を取られそうだし」

「衝突はむしろ避けたくないですね」

 

レンの言葉にタスクも頷く。

 

 

 

 

 

どうやら決まったようだ。

 

 

「うわわっ」

 

その瞬間は、突如やってきた。

 

『フカちゃん!!!!』

「キリトさん!! シノンさん!!」

ドォォォォォン!!!!!

 

 

 

ブービートラップである。

 

 

 

「ミィ!! 彼女を!!」

『おっけいおっけい……!!』

 

無線から聞こえるミーシャルのキツそうな声。

 

それだけでも分かる。

彼女はフカを引きづっている。

 

つまり完全にやられてはないということ。

 

「レンさん!! フカさんがやられた、ミィが側にいるから大丈夫、キリトさんとシノンさんがこっちにダッシュ中!!」

「りりり了解!!」

 

矢継ぎ早に飛んでくるタスクの報告を何とか頭に入れ、レンはすかさず行動に出る。

 

「タスクさん!! 牽制お願い!!」

「了解!!」

 

タスクに一言がなって、レンは道路に飛び出した。

 

フカとミィがいるのは、敵に対して隣の家。

 

敵が待ち構えているのを遠目から把握していた一行は、かなり手前から分散と包囲網を兼ねて横に広がって前進していたのだが。

 

それが災いし、まさか敵の目前で真ん中にいたフカがダウンしてしまった。

 

「しまった……フカをカバーしやすいからって他4人で挟むことばっか考えて……」

 

レンは家を飛び出し道路に踊り出る。

 

「フカが敵の目の前に来るのを完全に忘れてた……!!」

 

敵に目視されたレン。

掃射を受けるが意に介さない。

 

「トラップなんて……目の前の死角に置くに決まってんのに……!!」

 

レンの自己嫌悪が止まらない。

極めて基本中の基本であるが故に、なおさら。

 

すると次の瞬間。

 

『いや……むしろ正解ですよ』

「!!」

 

タスクの一言が、無線から聞こえてきた。

その瞬間、鳴り響く銃声。

 

『1名ダウン、2名負傷。下がらせました』

『シノンよ、位置に着いた。撃っていいなら撃つけど』

『キリトだ。俺も行ける』

 

三人の無線が頼もしい。

 

ミスはともかくとして、レンは一旦退避することにする。

 

無理に突っ込むのはナンセンス。

仲間がいるなら頼るが吉。

 

「……よし」

 

そうして、横の民家に飛び込んだレンは、息をふぅ、と吐き出した。

 

『……どうします、レン』

「……!!」

 

あくまで淡々としたタスクの無線。

 

銃声は変わらず響いているが、どこか消極的だ。

おそらくは牽制射、膠着状態だろう。

 

膠着した状態で最も厄介なのは、その()()()だ。

 

打開すべく動けば必ず相手に隙を見せることになる。

だからと言って待ちの姿勢では消耗するだけだし、第三勢力の誘引もにもつながる。

 

ならばと全方位警戒をすればそもそも相対している相手の隙を見逃しかねないし、かといって全集中は言わずもがな危険。

 

 

 

結果。

弾薬、気力、時間の消耗だけが続く。

 

 

 

続けることによって失われるものと、それを止めるべく動くことによって失われるものが、絶妙に釣り合って歯がゆいのだ。

 

『……レン』

「っ……!!」

 

無論。

そんな状態を続ける意味はない。

 

……それに。

 

 

 

 

 

「頼れることは、間違いないもんね」

 

 

 

 

 

今のレンには、()()()()()()()()

 

『……タスクさん』

『……』

 

自然と無線に手が伸びたレン。

タスクは沈黙を持って答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『贅沢しても……いい?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変わらず沈黙を貫くタスクの無線。

しかしどこからか、笑みを感じた。




ご無沙汰しております。
駆巡 艤宗でございます。

いやぁ、今年ももう終わりかぁ……()

なかなか投稿できない中で、細々と続けてきたこの小説。
年末にあと一話だけ、と頑張らせて頂きました。

次の投稿はあけましておめでとうですね。
良いお年を、と言わねばなりませんね。

私自身の職を色々したり、別名義でYouTubeチャンネルを始めたり(Twitterから飛べます)。
色々大変な年でした、本当に。

この小説はこれからもまだまだ続きます。

が、しかし、今年の更新はここまで。

良いお年を!!
来年もよろしくお願い致します!!

駆巡 艤宗

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