これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
4月1日。
店主の店のカウンターにタスクがひとり座っている。
「まさか、と思ったけど」
「いやぁそのまさかでしょう」
奥から出てきた店主。
苦笑するタスク。
二人の前に浮かぶホロウィンドウ。
その中にデカデカと表示された、とある『お知らせ』。
「『SJⅡ 延期』ですか」
「延期と言っても、微々たるもんだけどね。どっちかっていうと……」
「日程調整、ですね」
「……だね」
そうか、とタスクはどこか安堵の顔を浮かべる。
SJIIは本来、4月3日の夜に予選、その後4月4日昼過ぎに本戦の予定であった。
しかし。
突然、キャンセルを申し出るプレイヤーが続出。
その理由は。
「そりゃ、ユウキさんの名前はALO外にも知れ渡ってますからね」
「はは……とは言うけどまさかここまでとは」
そう。
実は、今度の土曜日4月4日のSJⅡの本戦の日程が、かの剣士
ALOとGGO、世界観にしろ運営にしろ、全く違う無関係の存在ではあるのだが。
一部、という名のかなりの数のプレイヤーにとっては無関係というわけにいかず。
これを受けて運営は、3日の予選と4日の本戦の全ての日程をずらし、5日の日曜日に詰め込む形で予選と本戦を行うこととしたのだ。
「まあ僕らとしても?」
「助かるよね、よかったよかった」
安心したように笑う二人。
彼らも例外なく、二つの日程の狭間で悩んでいた当事者だったからだ。
当然、悩むも何もSJⅡが優先であり、出ることに変わりはないのだが。
心持ちというか、なんというか。
なんだか気が向かないでいたのである。
「ただ」
「?」
すると、タスクがトーンを落とした声で呟く。
「キリト君に関しては、まだ安泰とは言えませんね」
「……うん」
「告別式の日、おそらく接触するでしょう。その日に」
「分かった。アスナさんは頼むよ」
「ええ、おまかせください」
店主は当然、タスクの言わんとすることを察する。
二人の顔は、終始穏やかだった。
✣
同刻。
「こんにち……は」
からんからん。
ベルが鳴る。
「……おや」
「!!」
かつんかつん。
靴が鳴る。
不安げな顔をした少女の前に現れたのは。
「……ようこそおいでくださいました」
「……」
「セニョリータ……シノン」
「!?」
スーツに身を包んだ、
✣
「本日はどのようなご用件で」
「え、と……」
気品溢れる、なんだか落ち着かないザ・社交界のような雰囲気の店内に通されたシノン。
頭を丸め、細めのスクエアタイプの眼鏡を掛けた先ほどの紳士に誘導されるがまま、大きな全身鏡の前に立たされる。
「新しい……」
「お召し物ですね」
「は、はい」
さも分かっていたかのように微笑む紳士に、緊張した顔で答える。
「お作りになるのは移動用でしょうか? それとも会議用?」
「えと、い、移動用……」
「お召しになるのは朝でしょうか夜でしょうか」
「……朝です」
紳士からの質問に答えるシノン。
ミーシャルに言われた通りの答えを返す。
「お召しになられた先でシャッターは浴びますか?」
「浴び……ます」
「舞台には……?」
「立ちません」
まるで女優か何かに質問するような言葉が出てきて、シノンは少し興奮する。
ほんとにこう聞かれるんだ、と。
「その場所は暑いですか? 寒いですか?」
「暑い、です」
「お食事は……」
「多少、
「……なるほど」
すると、肩幅や足の長さ背中の幅などを測っていた紳士がふっ、と身を引いて微笑む。
「かしこまりました。セニョリータ シノン」
「……」
「お召し物はどちらまでお届けにあがれば」
「えと」
「……」
「
時系列改変に癖強新キャラ。
繋ぎ話で全部ぶっ込むなって(笑)
お待たせしました!!
ーーーーー
【作者Twitter】
https://mobile.twitter.com/P6LWBtQYS9EOJbl
作者との交流、次話投稿の通知、ちょっとした裏話などはこちら!!
【作者 公式LINE】
https://lin.ee/wGANpn2
公式LINE限定セリフ、各章あらすじ、素早い作中情報検索はこちら!!
【今作紹介動画】
https://youtu.be/elqnCcV7R_0
この動画にしかない物語の鍵があります……。
【感想】
下のボタンをタップ!!