これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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Episode180 確認 ~confirmation~

そんな馬鹿な話があるか。

レンは思わず疑いました。

 

ボスを粉砕し、それどころかクレーターまで作っちゃうなんて。

でその方法が『個人携行できるミサイルシステム』。

 

いやいやそんなのまさかあるわけ。

 

「これだよ」

「あほんとなんだ」

「うん」

 

悪態と疑念が渦巻くレンの前に現れた大きな箱。

その横に立つミーシャル。

 

レンはもう信じるしかありませんでした。

 

 

「ぽ、ぽーたぶる、ヴぁーてぃか、ろーん……え?」

「『ポータブル・ヴァーティカル・ローンチング・システム』、だよ」

 

あからさまに混乱するフカを見て、ミーシャルは笑う。

 

『Portable Vertical Launching System』、通称『P-VLS』。

その名の通り、『携行型垂直発射装置』である。

 

極めて高威力のミサイルを、極めて高速で、かつ極めて正確に叩き込む、遠距離においては『()()』であること疑いなしの代物だ。

 

当然、そんなバランスブレイク甚だしいものを運営が実装する訳もなく。

 

「こ、こんなの一体どこで……」

「どこにもないよぅ?」

「え?」

「自作。ぜーんぶ、私が作ったの」

「はっ?」

 

一から全部、それもかなりの時間をかけてミーシャル自身が独自に開発した固有ガジェットである。

 

大きさはそれほどではない。

だいたい高さは165cm程であろうか。タスクより少し高い、くらいである。

 

「えぇっと? その装置の名前がポータブルなんとかで?」

「そう」

「中身のミサイルは?」

「また別物」

「はぁ、なるほど……?」

 

フカがなんとか理解しようとするが、さっぱり分かってないようで。

どんだけ話を聞いてもやっぱりハテナ顔だ。

 

そう。

『P-VLS』自体はただの機械が詰まった箱に過ぎず。

 

ミサイルそのものはまた別物だ。

そしてそれももちろんミーシャルお手製。

 

試作機含め、今まで数々のミサイルを開発しては打ち上げて来た。

そのミサイルたちはまたいずれ書くとして、ここでは割愛する。

 

「箱の名前がP……えー」

「……」

「ミサイルが……うん」

「……はは」

 

うんやっぱり全然わからんわ。

どうやらレンはあきらめの境地に達したようで。

 

隣のキリトが苦笑いでレンの隣に並ぶ。

 

「ミサイル……なの、これ」

「うん、そうだよ」

 

すると今度はシノンが呟く。

ミーシャルはニコニコで頷いてみせた。

 

彼女の疑問は実に最もだ。

はたから見たらただの異質な箱なのだから。

 

「撃って……みる? あんまバカスカ撃てるわけじゃないけど」

「え……」

「あと一発ならいける、よ」

「……」

 

ミーシャルのにへら……とした笑顔に、一同はタスクを見る。

 

チームのリーダーはもちろんレンだ。

ただこの場合、チームではなく()()()()()()()の場合は話が変わる。

 

「ミィがいいなら、いいんじゃないですか」

「!!」

「せっかくだし、見て損はないでしょう」

「ほんとに!!」

「……なかなか見れるもんじゃありませんし、ね」

「?」

 

皆からの視線を受けたタスクは、迷うことなく答えた。

少し意味ありげな言葉が聞こえた気がするが、フカやレンにはどうやら聞こえていない様子。

 

ただそこはシノン。

タスクの方を少しだけ見やる。

 

すると。

 

 

 

 

 

 

「……はは」

「!!」

 

 

 

 

 

あきらかに微妙な顔で笑うタスクが……。

 

 

「みっ、見せちゃったの!?」

「え、うん」

 

その日の夜。

閉店後の『ガン・マリア』。

 

照明が落ちた店内で、唯一ついたままのカウンター。

そこに、店主とミーシャルが並んで座っている。

 

「何、別にいいでしょ?」

「いやいけないとは言わないけど……」

 

あからさまに驚く店主を、ミーシャルは怪訝な目で見る。

 

すると。

 

「……分かるでしょ店主さん」

「?」

「あなたなら」

「……ああ」

 

ミーシャルが声のトーンを落とし、店主の方へ半身を向ける。

 

店主もミーシャルを見ると、彼女の言わんとしていることを察して息をついて答えた。

 

実はミーシャル。

つい最近、開発志向を大きく転換したのだ。

 

今まで一貫して『対 モンスター』であったのが一転。

() ()()()()()()』、『() ()()()()()』へと。

 

「タスクとか、店主さんとか、相談して」

「うん」

「色々考えた末、決断したよね、私」

「そうだね」

 

机の木目を見つめ、淡々と話すミーシャル。

指を絡めて、眉間に皺を寄せて。

 

店主はそんな彼女の言葉に耳を傾ける。

 

「もう、()()()みたいにはいられない、って」

「……」

「この世界、GGOに来た時点でそうだったけど……」

「……」

「ちゃんと、()()()()にシフトしたよね」

「……そうだね」

 

まるで確認するかのよう。

淡々と話すミーシャルに、店主は頷く。

 

「……で、この任務にアサインした」

「!!」

 

ああ、これは。

店主は気づく。

 

「そういうことでしょ」

「……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

れっきとした、()()、だった。




こんにちは!! お待たせ致しました。
駆巡 艤宗でございます。

もうさすがに、報告するまでも無いかもしれませんが、一応。



『設定集にミーシャルが追加されました!!』



お待たせ致しました!!
色々気になる部分があると思いますが、それも全部設定集で解決!!(かどうかは分かりませんが……笑)

まだ未出の情報もしれーっとのせておきました。
今のうちにご確認ください(笑)

さあ、いよいよですね。
表と裏が交錯するSJ2、まもなく開幕です!!

ではまた。

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