これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「れー---ん-----」
「お、終わったよ」
店内に響く二人の声。
「はぁい」
棚の隙間からひょっこり現れるレン。
「会計は?」
「あぁ、まだだった」
「まさかとおもうけど。買いすぎてないよね?」
「ダイジョブダイジョブ~」
レンの不安げな声と裏腹に、あっけらかんとしているフカ。
「……はぁ」
レンは半ばあきらめたかのようにため息をつくと、カウンターに置かれた銃を見る。
全体的に華奢なフレームに、圧倒的存在感を放つ
レン自身、こんなのみたことないが故か、独特、ではなく奇妙、という感想がふさわしいように感じる。
……ぶっさいく。
正直、感想はそれしかなかった。
「気にしないで、ってあまりに言うからほんとに気にしなかったけど」
「はい!!」
「ほんとに払える……? かなり、というか結構な額だよ?」
「大丈夫です!!」
珍しく苦笑が漏れる店主。
レンは店主に同情の眼差しを向けた。
そしてもう一度カウンターを見やる。
下から見ていたから気づかなかったが、よく見たら同じ銃がもう一つ奥にあるではありませんか。
加えて、そこそこいい防弾チョッキはじめ、明らかに高そうな装備品がちらほら。
「いくらMさんにもらったからって……」
「いーのいーの」
「ほんとに足りる? 少しくらいなら……」
「あー!! ダメダメ、そうなっちゃうならツケでもいいから!!」
レンのあきらめた声に、店主が慌てて止めに入る。
「え、でも」
「いやいや!! さすがに」
店主があまりにとめるので、レンは下がるしかない。
フカは二人を見てキョトンとしている。
「て、店主さん」
「あ」
「とりあえず、一旦」
「わ、わかった」
フカの声に、店主が恐る恐る計算を始めた。
なぜかレンが息を呑む。
「えっと……合計が」
「「……はぁ!?!?!?!?」」
……言わずもがな。
起業でもするのかっていうレベルで、桁が違った。
✣
それから、しばらくして。
結局。
あの大金はフカがポン、と払ってしまった。
店主のポカーンとした顔が目に焼き付いている。
その後、銃の説明やら、そもそもこの世界の説明やら。
アフターサービスで色々してもらった後。
色々疲れたのも相まって、店を出るに出れなくなった二人。
店主のやさしさに甘えて少しだけのんびりさせてもらうことにした。
「なぁなぁ、レンさんや」
「はいはい」
フカの声にレンが振り返る。
「……これ」
「ん?」
フカが指差す一つの張り紙。
指先につられてレンも見やる。
「傭兵、だって」
「うん」
「これ、お願いしてみない?」
「うん!?」
またこの子は!!
レンはもう何度目か分からない、ポカーン顔でフカを見た。
「ちょちょちょ、何言ってんの!?」
「いやだってさ、そもそも私ら二人って、厳しくね?」
「そらそうだけど!! お金は!?」
「まだ全然ある」
「え」
「店主さーん」
「ちょ……」
相変わらずフカは話が早い。
ポカーンとするレンを置いて、早速カウンターに駆けていく。
確かに、フカの言う通りではある。
そもそもSJが前回からかなりボリュームもレベルも上がるのは間違いない。
フカがあまりに強力であるが故、あまり意識していなかったが、冷静に考えてやはり2人参戦は無謀に等しい。
GGOに精通したMさんとタッグで、マイナーだった前回であの結果だったのだ。
GGOニュービーのフカと、メジャーなりかけ勢いマシマシな今回で、上手くいくかと言われると。
「う、うぅ……」
フカの意見は、正しい。
「レーン!! は・や・く!!」
「は、はぁい!!」
急かす声に、レンは慌ててカウンターに向かった。
✣
ブーッ、ブーッ
「ん?」
東京は、とある一軒家。
キリト……もとい和人のスマホが、不意に震える。
見慣れない通知に、首をかしげて画面を見つめる和人。
……すると、次の瞬間。
「……!!!!」
和人は思わず目を見開いた。
次回!!!!!!
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