これは【GGO】であって、【MGS】ではない。   作:駆巡 艤宗

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Episode131 宣戦布告 〜Declaration of war〜

開始のゴングは既に鳴り響いた。

闘技場の真ん中に立つリーファは、前に佇むタスクをきっ、と睨む。

 

「…………」

 

ビーッ、と鳴ってから5秒。

戦うどころか動きすらしない。

 

観客の声援は徐々に小さくなる。

剣すら抜かない二人を、不思議そうな目で見始める。

 

するとリーファは拳を握りしめ、タスクに向かって一言。

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「っ……!?」

 

そう、言い放った。

流石にタスクも驚いたのか、目を見開いてリーファを見つめている。

 

観客はもはや声援など送りもしない。

どういうこと? なんて言いながら、ガヤガヤと音を立てている。

 

「ただっ……!!」

「!!」

 

……が、観客のガヤが、続く一言でピタリと止んだ。

タスクは変わらず驚き顔でリーファを見つめる。

 

そしてリーファはぐっと息を吸い込み、一段とタスクを睨むと……

 

 

 

 

 

「だから私は、思っきりあなたに()()()()()()()()()!!」

 

 

 

 

 

 

そう宣言して、腰の剣を抜いた。

 

オオオオオオ !!!!

「いいぞー!!」「やっちまえー!!!!」

 

観客は、まるで先程までの静寂の反動かのように特段に沸き上がる。

 

彼らは見てきた。

噂の存在でしかなかったタスクの快進撃を。

そして定評通りのリーファの健闘を。

 

これは決してエンターテインメントではない。

しかし、そうでないからこそ得られる興奮も確かに存在するのだ。

 

リーファはそれを一段と引き出したのである。

 

「………なるほど」

「!!」

 

相対するタスクはニコリと笑うとリーファを見やる。

リーファはその視線に警戒の色を隠さない。

 

するとタスクは、そんな彼女の目を見つつ、ゆっくりと()()()()()()()()

観客はさらに沸き上がる。

 

()()()()()()、と思ってましたけど」

「っ……!?」

「流石に()()()()()()()()()

「…………!!」

 

そして彼は、そう言いつつ笑みを一段と深めて、()()()()()

 

《まさか……いや、そんなわけない。私が恐れてるだけよ、大丈夫。》

 

リーファは不意に、そんな思考が頭をよぎる。

 

タスクの言った言葉が、つい先程までの自分を暗に意味しているように聞こえたからだ。

 

そんなわけない。そんなわけない。

リーファは繰り返し頭の中でそれを否定する。

 

いくら彼とはいえ、あんな弱い気持ちは想定できないに決まってる。

少なくとも義兄、キリトは微塵も察してなかった。その隣のアスナでさえ、だ。

 

いくらかのタスクとて同じなはず。

 

「くっ……!!」

「……ふふ」

 

しかし、タスクの射抜くような視線と微笑みに、リーファは動揺の顔を見せてしまった。

 

まさか。いや、そのまさかなのかもしれない。

()()()()()()()()()……!!

 

ギリッ、と奥歯が擦れる音がする。

 

ユウキは何も感じないと言っていたこの目の前のケット・シーが、リーファは今恐ろしくてたまらない。

 

「すーっ……くっ……!!」

「……!!」

 

鼻から息を吸い込み、喉元で止める。

剣を前に、両手で持つ。

 

()()()()()

タスクは明らかに警戒の色を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

そしてついに、戦いが始まった。




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