これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「うっそ……でしょ?」
ユウキがそう、一言漏らす。
隣に座るスリーピングナイツはもちろん。
アスナたちやキリトでさえも、目を見張って沈黙している。
「……」
ただその中で、唯一。
シノンのみが、少し微笑んで彼を見守っていた。
熱狂する観客の声援を笑って受ける、タスクを。
✣
Cブロック予選は、大方の予想を遥かに超えていた。
大番狂わせが起きた訳では無い。
優勝候補そのものの予想が、遥かに超えていたのだ。
第1試合。
真っ直ぐ突き出してきた槍を右脇に逸らし、受け流したタスク。
するとその槍を左手でつかみ、そのまま右に回って相手の顎に一撃、後ろかかと回し。
首が折れた判定となり、相手のHPは一瞬で0に。
史上最短、3秒で決着が着いたのである。
続く第2試合。
今度は片手剣使いだった相手の繰り出した渾身の上段切り。
羽を使った急降下による、ダメージ増加も加えた一撃だ。
だがタスクは、なんとその相手に背中を向けた。
するとそのまま剣を振るう手を掴んで背負い投げ。
ひっくり返った状態で落ちてきた相手の頭が、地面に着く前に首元に一蹴り。
そしてそのまま、またもや一発KO。
第3試合は相手が善戦した。
双剣使いだった相手は、タスクが懐に入らぬよう、小刻みに位置を変えながら応戦。
さすがのタスクも苦戦したのか、試合時間が前の2つより長引く。
……ただ。
右剣を突き出し、左剣を頭上に添えた、突き構えの姿勢で飛び込んできた相手の隙を、タスクは見逃さなかった。
相手で言う右剣、それ即ち、タスクから見た左側の剣である。
タスクはそれを、またもや右に受け流した。
しかし、今度は脇ではなかった。
……と言っても、飛び上がった訳ではなく。
相手が突進してきた瞬間に、タスクは右足の回し蹴りを繰り出したのである。
通常より少し高めに足を上げていたため、タスクの腹に向けて飛んできている剣は、ゆうゆうとタスクの地面と平行な右足の下を通り抜けていく。
そしてそのまま、ドシン。
相手の顔面に右足がくい込み、そのまま相手は後ろに仰け反りまたもやKO。
そして実に厄介だったのは第4試合である。
さすがに対策を、と思ったのか、相手は常に空中に浮遊し、弓矢を使って応戦してきたのだ。
タスクは前半、相手の撃ち下ろす矢を避けるだけ。
しかし後半に差し掛かったところで、いきなりタスクは飛び上がった。
羽が不慣れなことが伺える、ヨレヨレした急上昇。
だがそれでも、相手の隙を着いていたからなのか、タスクはあっという間に相手の真下へ。
そしてそのまま足首を掴んで地面にドーン。
ついでにタスク自身も自由落下で相手の喉と腹に肘と膝をドーン。
この時ばかりはさすがに微妙な雰囲気が漂った。
そしてCブロック準決勝、第5試合。
ここまでこれば、相手もそこそこ猛者である。
そしてその通り、図体のでかい、ハンマー使いが出てきた。
だがタスクは逆に、そうであるが故の弱点を突いた。
大きく振りかぶり、振り下ろす直前にタスクは相手に
そしてハンマーが地面を叩く直前にすり抜け、そのまま股をくぐり、背中を登って首を固めた。
そして窒息させてなんなくKO。
とまあこんな風に。
もはやチートを疑われるような戦いを繰り返すこと、数回。
ユウキ達は、それはそれは呆然としていた。
アスナたち、そしてキリトでさえ、ポカーンとしている。
だがまあ、それもそのはずかもしれない。
ユウキら、スリーピングナイツはもちろんだが、アスナ達に関しても、彼女らはキリトとの決闘の際、確かに格闘技を見たが、まさかここまでそれのみで戦えるとは思っていなかったのである。
そしてそれは、裏を返せばこれも意味しうる。
『
という事を。
✣
……そして、第6試合。
Cブロック予選、決勝戦である。
この戦いを制した者が、明日の決勝への切符を手にすることになる。
片翼はもちろん、快進撃を見せ続けたタスク。
そしてもう片翼は……。
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