これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「んー、ふふ」
「?」
早速刀を腰に据え、満足そうに歩くタスク。
そのすぐ隣を、まだ紅く頬を染めながら続くシノン。
彼らは、先程の進路とは一転、闘技場へ向かっていた。
すると、タスクは手を後頭部で組んで、空を見上げてふと呟く。
「あれが……ユウキさん、ですか」
「……なにかあったの? タスク」
ユウキのことを考えているタスクを見て、シノンは不思議そうに覗き込む。
「いや、なんか……ね」
「?」
「
「懐かし……い?」
意味がわからない、と言いたげなシノン。
相変わらず空を見上げるタスク。
「どういう……意味?」
すると、シノンもタスクにならい、空を見上げつつタスクにそう問う。
ただ、その瞬間。
「……あ」
シノンは、タスクがただ空を見上げていた訳では無いことを知る。
そこに浮いていたのは、「
タスクは、GGOでたまに見せる、暗い目をしていた。
✣
午前に行われる予選A・Bブロックは、ほぼ予定通りに、滞りなく進み、そして終わった。
大方の予想通り、Aブロックはキリトが、Bブロックはユウキが優勝し、明日の本戦の準決勝への切符を手にしている。
そして昼休憩を挟み、午後。
「ついに……来たね」
「うん」
いち早く観客席に着いていたユウキは、アスナとそう、息を飲んだ。
Cブロック予選、第一回戦。
タスク vs ルージアである。
✣
オオオオオ!!!!
「うわぁ〜お……すぅごいすごい」
Cブロック予選開幕のファンファーレが響き渡ると同時に、観客席は大いに沸き立つ。
それを、選手控え場所の観客席の真下の部屋でタスクとシノンは聞き、感嘆しつつ笑っていた。
「大丈夫なの? そんな悠長な……」
「んぇ? ああ。さすがに……ですよね」
すると、タスクの余りの悠長さに心配を隠せないシノンが、ついそう言ってタスクを急かす。
タスクは、それにハイハイ、と言わんばかりにまた笑って、選手入場口に向かった。
✣
「プレイヤーネーム、タスクさーん?」
「はぁーい!!」
入口直前の係員のキャラクターが、タスクの名前を声高に呼ぶ。
それに反応し、ぴょんぴょん跳ねながら選手の中から出ていくタスク。
心なしか、他の選手の視線が異様に集まっている気がする。
「ちょ、ちょっとタスク!! TPOってものを……!!」
「ええ〜いいじゃないですかぁ。楽しみなんですもん!!」
シノンが必死に諌めるが、タスクはウズウズが止まらないらしく、まだかまだかとそわそわしてる。
「あと1分後、名前が呼ばれますから、タスクさんのみが闘技場内へ入ってください」
「りょーかいです!!」
「付き添いの方はこちらへ」
「ああ、いえ。私は見送ったあと、観客席に戻ります」
係員のキャラクターがテキパキと指示を飛ばし、二人はそれに聞き入り、了解する。
……そして。
「あ……」
オオオオオ!!!!
タスクの名前が呼ばれ、タスクが振り返る。
そんな彼の背中を、シノンはグイと押した。
「いってらっしゃい、タスク」
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