これは【GGO】であって、【MGS】ではない。 作:駆巡 艤宗
「ふむ……」
薄暗い部屋の中で、2人のプレイヤーがサテライトスキャン端末を眺めている。
1人は、全身が目立つピンクの小柄なプレイヤー。
対してもう1人は、全身が迷彩の大柄なプレイヤー。
そう、レンとエムである。
「……エムさん、どう?」
「うむ」
何やら神妙な顔をして、スキャンされていくマップを見ているエムに、レンは不安そうな顔でそう尋ねる。
するとエムは、淡々と話し始めた。
「まず我々がいないエリアだが……」
「う、うん」
「順調に数が減ってきている。これはいい傾向だ」
「確かに」
エムの言葉に、レンはコクリと頷く。
自分達が戦わなくても、順位という結果で見れば「勝った」ことになる。
ようは何もしなくても勝ち続けているということだ。
広々とした解釈かもしれないが、レンにとってはそうしないとやっていけないのである。
「それで……俺たちの周辺だ」
「う……うん」
「分かるだろ、レン」
「と、
「ああ、起きてる」
すると、エムがすっと指をホログラムの地図に当てて、声を一段と低くした。
それを感じ、レンも息を飲む。
この地図が示す、いつの間にか起こっていた、『
それは……
「まさか
「うむ……」
そう。
彼らが知らない間に、大番狂わせが起こっていたのだ。
場所は、都市部中央。
「恐らくこれが……プロチームのリーダーの位置だったやつだろう」
「……」
エムが、道路脇の点を指す。
「それで……これらが屠られる予定だった3チーム」
「……」
そして次に、少し移動した先の3点が密集している場所を指した。
エムの予想としては、最初に指した道路脇のチームが生き残り、密集した3点のチームが全滅する、というものだった。
……が、現実はそうではない。
「まさか……とは思ってたけど……」
「ああ。どうやったのかは知らないが、プロが漁夫の利チームに負けた」
レンが明らかに動揺し、青ざめていく。
生存を示す光点は、密集した3点のうちのひとつであった。
少し離れて独立した点、要はプロチームを表す点は、その代わりのように、灰色に変わっているのである。
「ね、ねぇ、エムさん」
「ん……?」
「こ、これってつまり……さ」
「ああ……」
「
「そういう事だ」
レンの恐る恐るな質問に、エムは頷いて答える。
そんなエムもどこか、厳しそうな目をしていた。
✣
「それで、俺たちの進路だが……」
それから、数分後。
現状、生存しているチーム全ての予想進路を立てた後。
レンとエムは、最後に自分達の進路を決めようとしていた。
「彼らはおそらく、こちらへ来るだろう」
そう言って、エムは都市部にある光点……『VRF』を指差す。
「なんで?」
そんなこと言えるの?
そう言いたげなトーンで、レンはその言葉に返した。
するとエムは、レンの方を向きもせず、おもむろに室内を見渡しながらその言葉に言葉を返す。
「都市部は不利だろう?」
「確かに……って、それだけ!?」
「いや、問題は……敵の数だ」
「……!!」
なるほどそういう事か。
レンは納得して地図をまた見る。
現状、都市部から見て北の森や南の砂漠、もしくはその周辺地域には、少なくとも敵チームが2チーム以上はいる。
だが、西の居住区にはレン達1チームしかいないし、周辺地域にも敵チームがあまりいない。
さらに奥の沼地の1チームが来ると想定もできるが、マップを見る限り、1か2回前のスキャンの時からずっと宇宙船から離れていない。
さらにはその周辺には全滅を示す灰色の点が複数ある。
これは、ここに陣取っている証拠で、つまりはそこから動きがあるとは考えられない。
「標的を1つに絞れるエリアに進撃してくる……と」
「そうだ」
そこまで考えが至ったレンが、そう呟いてマップを閉じる。
であらば、レンが思いついた行動はただ一つ。
「ねえエムさん」
「ん?」
「もちろん私たちはさ」
「……ふ、その通りだ」
すると、エムもその考えに同意するかのように、少し笑ってレンを見る。
「我々は、ここに潜伏し迎撃する」
「そうこなくっちゃ!!」
レンはつい、嬉しくなってそう叫んでしまった。
「……ただし、だ」
「?」
するとその時、そんなレンを気に求めず、エムが後ろを向ききつつその叫びを遮る。
レンは両手を突き上げたまま、エムの方に胴体ごと向く。
そして次の瞬間。
「普通の迎撃じゃ、つまらないだろう」
「!!」
そう言って振り返ったエムの手には、
新年あけましておめでとうございます!!
駆巡 艤宗です!!
ついに始まりましたね、2020年!!
オリンピックがやって来ることを始め、2010年代からちょっと未来に進んだ感じがして、なんだか楽しみです(笑)
この作品も、あと半年で3周年を迎えるというところまで来ておりますし、今話、記念すべき第100話となります。
これも全て、皆様の応援のおかげです。
改めて感謝を申し上げます。
ありがとうございます!!
本来は年末に後書きにて感謝を申し上げるつもりだったのですが、気づいたら年を越してしまっていたので、新年最初の投稿にて、このように書かせて頂きました。
新しい年、みなさんは何か変わったことがあるでしょうか?
是非、その変化を大切に。
実はこの作品、思いついたのは5年前の年越しシーズンだったりします(笑)
この作品が、どこかの誰かの心にとまっていていてくれれば、僕は幸いです。
今年も僕とこの作品を、どうぞよろしくお願いします。
駆巡 艤宗
【作者Twitter】
https://mobile.twitter.com/P6LWBtQYS9EOJbl
作者との交流、次話投稿の通知、ちょっとした裏話などはこちら!!
【作者 公式LINE】
https://lin.ee/wGANpn2
公式LINE限定セリフ、各章あらすじ、素早い作中情報検索はこちら!!
【今作紹介動画】
https://youtu.be/elqnCcV7R_0
この動画にしかない物語の鍵があります……。
【感想】
下のボタンをタップ!!