望んだ世界   作:(´鋼`)

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最強巫女は“ただの”人間

 ーーーこの異変が起きたのは、つい先程。

 

 ーーーこの空が赤い空へと変貌し、色々と面倒くさいが魔理沙が勝手に行こうとしていた。

 

 ーーー私は面倒くさかったが、手を引っ張られ連れて行かれた。大事な事なので面倒くさいは2回言った。

 

 ーーー途中から1人で飛び、途中邪魔されながも勘で異変の原因まで辿り着く。

 

 ーーー魔理沙は既に中に入っているのか居なかった。

 

 ーーーだが、館に着けば既に終わっている様だった。

 

 ーーーそれどころか周辺に倒れ込んでいる妖怪を“同じ妖怪”が助けて他の妖怪を目覚めさせている。

 

 ーーー一応この異変に関わる事と考え、誰かを抱えて門の所に依り掛けさせた“妖怪”に話を聞く。

 

 

 この少女、名を『博麗霊夢』という。この幻想郷の神社【博麗神社】の巫女にして異変解決者の1人である。

 

 たかだか14,5年しか生きていないものの、保有する霊力は類を見ない程多い。さらに天性の才能なのか、勘だけで相手の核心を突くなど規格外な者。

 

 しかし彼女を知る者はこれを“天才”と称している。

 

 そんな天才と称されている『博麗霊夢』は“妖力を持つ”人間『矢狙照平』に話しかける。

 

 その照平も霊夢が着地した音に気付いて、霊夢に振り向く。

 

 

「この状態はアンタらの仕業?」

 

「……今動いている妖怪たちは関係ない。それに僕は、この空の原因を突き止めようとしているだけだ」

 

「……あっそ。でも異変解決ってのは、ちょっと可笑しいわね」

 

「……何処がだい?」

 

「アンタから発せられる力が人間の物じゃないのよ。言うなれば妖怪の持つ力、つまりは妖怪としてアンタが怪しいと睨んでる訳」

 

「……随分な言われ様だな、僕は人間だ。普通にお腹も空くし、普通に睡眠も取る。それに人里で教師もしている」

 

「本当かしら?確かに人里でも人間と交流のある妖怪は居るわ。でも、妖怪が持つ力と館……この場合どう考えてもアンタが主犯もしくは関係者にしか見えないんだけど?」

 

 

 溜め息をつき、立ち上がる。照平は立った後、霊夢に向かうように体を回転させ霊夢に向けて冷ややかな眼差しを向ける。

 

 

「……その目は何なのかしら?」

 

「君に呆れた目だ。大して調べようともしていないのに僕を主犯か関係者呼ばわり、これには人間の持つ先入観に呆れて物が言えなくなるよ」

 

 

 そして、照平は霊夢に向ける。あの時に向けた、ドスの効いた黒に近い紫の力を目に宿しながら睨み付ける。

 

 

「こんな奴が巫女?異変解決者?笑わせないでくれ」

 

「その言葉、少しだけ変えてお返しするわ」

 

 

 瞬間、霊夢は周りに2つの玉を浮かばせ空を飛ぶ。手には御払い棒を持ち、完全な戦闘態勢に入る。

 

 一方の照平は、空を飛んでいる霊夢を見上げたままだ。しかし、あのドスの効いた黒に近い紫の目はしていない。

 

 それからは簡単であった。霊夢の周りに浮く2つの玉から霊力で構成された球状の物体【弾】が、照平に向かう。対し照平はポーチからチャクラムを2つ取りだし、放たれる弾を切り裂いていく。

 

 霊夢は向かってくるチャクラムを上に避け、弾を放ち続ける。それを移動しながらジャンプ等の動作を用いて避けていく照平。

 

 照平は、ポーチから【打根《うちね》】を取りだした。

 

 打根──主にこれは戦国時代に白兵戦になった時や、弓兵が矢が尽きた時に使われる投擲武器。小さな弓矢の様な物で、照平はこれに長めのロープ-約10メートル-を付けている。主に拘束用に使われるのが目に見えている。

 

 

 しかし霊夢は上空。抵抗の関係で普通ならロープという制約がある投擲武器は不利になるのが常だ。

 

 そもそも照平は態々自らが不利になる投擲武器を使用しているのにも関わらず、自身の力を遺憾無く発揮出来ている。

 

 照平は上空に居る霊夢に……否、向かっているのは。

 

 

「ッ!?」

 

 

 “周りに浮かぶ2つの玉の内の1つ”を狙った。しかし間一髪の所で霊夢が避け当たる事はなかったが、照平はロープをおもいっきり引いて打根を手元に戻す。

 

 

 ーーー今のは……見落としていた。妖力を持つ相手に霊力で構成した射出機を狙う奴なんて早々居なかった。

 

 ーーーでも、これで少し目が覚めた

 

 ーーー目の前の奴は『あらゆる物を見ている』

 

 ーーー『あらゆる可能性を信じている』

 

 ーーーこれが能力なのか元々の思考なのか……どちらにせよ、今度は細心の注意を払わなきゃいけないわね!!

 

 

 霊夢は今現在出せる最高速で照平の半径10メートル周辺を回り、弾幕を張っていく。端から見れば、確実に3方向から狙って撃っている様に見える。

 

 照平はブーメランを持ち、投げるのではなく『向かってくる弾』を弾く為に振り回していた。投擲武器の本来の用途ではないにせよ、これで弾を防いでいる。

 

 

 ーーー埒があかない。このまま防いでても何時かは当たるし、かと言って能力使用は拒みたいんだが……そうも言ってられないな。

 

 

 照平は、もう一度ドスの効いた黒に近い紫の目をした後ブーメランを放たれる弾幕の一列に向けて投げる。そしてポーチからピックを2本取りだし、それぞれの弾幕に当てていく。

 

 するとどうだろう?投げられたピックは弾幕を全て破壊する様に軌道を描き、ブーメランは弾幕を破壊しつつ霊夢に向かっているではないか。

 

 しかし、これで慌てる程霊夢はヤワではない。ブーメランは一直線に向かってくるのなら、ブーメランを相殺させる様に弾幕を展開すれば良いだけの事。

 

 霊夢は中型弾幕でブーメランの威力を相殺させ、残った弾幕で照平に攻撃する。

 

 ここで予想外の事が起きた。照平がポーチからピックを取りだし投げたと思いきや……“全ての弾幕に向かっていた”

 

 即ち“弾幕を破壊する様に動いている”のだ。

 

 

 ーーーッ!?……これはアイツの能力かしら?

 

 ーーー本来投擲武器なんて一方向しか行かない武器なのに、しかもご丁寧に妖力を加えて飛ばしている。

 

 ーーーアイツの能力……“操作系”かしら?

 

 ーーーでも“操っている素振りも見えない”し……何より、身体能力的に見たら人間だって分かった。

 

 ーーー“人間なのに冷静に考えすぎている”。

 

 ーーー能力者……という一言で済ませれば良いが、妖力という矛盾もある。

 

 ーーーアイツは一体何なの?

 

 

 この考えの間に照平は妖力を用いて、戦闘で投げられた投擲武器を回収していく。回収し終わると、またもコートからカードを取り出す。

 

 

「スペルカード発動!!」

 

「ッ!!スペルカード発動!!」

 

 

 お互いにカードから光が発せられ、消えると同時に技を放っていく。

 

 

   サテライト【ストレンジダンス】

 

       霊符【夢想封印】

 

 

 霊夢の放つスペルは、4色の大型弾を展開し相手に自動追尾する技。それぞれの色にそれぞれの属性が加わっている事から一番扱いやすいスペルとして認定している。

 

 一方照平の放つスペルは妖力で両手では持てない程の投擲武器を持ち、それを一斉に放つのだが……それらの投擲武器は弾幕を優先して狙い破壊していく。その数ブーメラン3つ、ピック48本、チャクラム10枚。

 

 弾幕を全て破壊すると残った投擲武器は霊夢に向かう。霊夢は投擲武器を相殺しようと試みるが、何かによってそれは叶わぬものとなった。

 

 何と、霊夢の周りに浮遊している2つの玉にピックがそれぞれ1本ずつ刺さっていたのだ。何とかして空中でグレイズを狙っていく霊夢。

 

 それもまた叶わぬ夢と成り果てた。“ドスの効いた黒に近い紫の何か”に脚を掴まれ、身動きが取れずに居た。

 

 しかし急に視界がその何かに包まれたかと思いきや、霊夢はその場で意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

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 ーーーッ!?今の力は……何だ?

 

 ーーー外からしたのは分かった。

 

 ーーーだが……あれでは、“異常過ぎる”

 

 ーーーあんな異常な妖力を、私は感じた事がない。

 

 ーーー外で何があった?

 

 ーーー…………これは、男?この男か?

 

 ーーー大して強そうとも感じない“この男”か?

 

 ーーー……この男、何を隠しているんだ?

 

 

 赤い玉座に座る小さな者は、考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、うぷ主の鬼の半妖です。

徐々に徐々にオリ主の能力が判明しつつあるなか、何かまた謎が増えてるし……俺のせいだけど。

またもスペル紹介。

サテライト【ストレンジダンス】
・妖力を用いて普通では持てない量の投擲武器を投げる。
・優先順位は使用者>相手であり、使用者に危害を加えるものから始末するのが特徴。

では、次回もお楽しみに。

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