やぐらさんの方へ向かうと、頭を撫でられた。
手が暖かく、思わず顔がにやけてしまう。
幸せな気持ちになっている間に、ウタカタの試合が始まった。
泡のウタカタと、砂の我愛羅。
一瞬で決着が付いてしまう。
砂の絶対防御に頼り切りになっていた我愛羅は、無限に生み出される泡の威力を見誤っていた。
泡が時間差で爆発し、砂を突破して我愛羅にダメージを与える。
気を失った我愛羅は医務室に運ばれ、ウタカタの勝利で幕を閉じた。
「…勝った。」
ドヤァと自慢げな顔をしているウタカタ。
「これでもし白が勝ったら上位3名は全員霧隠れか…」
「なんかヤベェってばよ…」
その場には霧隠れは敵にまわすな的な雰囲気が漂っている。
だが、私達が規格外なだけで他の人は…やぐらさん以外は普通なハズ…だ。
やぐらさんは素で尾獣と殴り合えるのではないかと思えるほど強い。
…未だに手合わせはした事は無いが。
やぐらさん曰く「ヒナタを傷付ける訳にはいかない」らしい。
私を壊れ物の様に扱うやぐらさんは、例え手合わせしようとも抵抗せずに私に殴られっぱなしとなるだろう。
やぐらさんの修行風景を白眼でこっそり見学する事は多々あるが、大抵は私が白眼を発動したと勘づかれてしまう。
私の事は何でも分かる…らしい。
白VS春野サクラも白の勝利という形で決着し、勝者は私達チームメイトのみとなった。
…そういえば、木の葉崩しはどうなったのだろう。
徹底的に計画を潰されているから中止になったのか…?
サスケェにも呪印を施された気配は無かった。
観客席の日向一族の方へ視線を向け、ネジ兄さんをチラリと見ると、ネジ兄さんは〝異常なし〟と視線で訴える。
警戒をするに越した事はないが、原作通りには起こらないため、静観するしかないだろう。
私達は前に出て試合の為のくじを引き、結果を待つ事になった。
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白とウタカタが戦って勝った方が私と戦う事になり、私は二人の試合を上から見物することになった。
チームメイトの戦いは、白VSウタカタで幕を開けた。
氷遁で作った氷の鏡を光速で移動する白に、泡やガスで対処するウタカタ。
氷を一瞬で溶かすが、また次の氷が現れる。
何故か原作よりも白のチャクラ量が多く、チャクラ切れを起こす気配はない。
当たる気配が無かった千本だったが、1本の千本が死角に入り、ウタカタの首を貫いた。
原作でも出てきた仮死の秘孔だ。
ウタカタが倒れ、勝者は白となった。
「あの子…人柱力を倒すなんて…。」
「血継限界の氷遁か…昔の霧隠れは血継限界を持つ者は呪われた血族だと言われて迫害されてきたらしいが…。」
「昔の話ですよ。先代の努力によって偏見や差別は無くなりました。
現にヒナタも迫害はされていませんしね。」
そう言って頭を撫でてくれたやぐらさん。
周りは呆れた表情ではあるが、撫でてくれる手が気持ちよく、目を細める。
次は、私と白の試合だ。
…絶対防御を全開にしておこう。