ヒナタが白眼を発動し、サスケが写輪眼を発動して動き出す。
「火遁・豪火球の術!」
サスケは下忍レベルではない早さで印を結んで豪火球を吹き出す。
「八卦空壁掌!」
手から出された八卦空璧掌で豪火球は打ち消され、空璧掌はそのままサスケに当たり、サスケは吹き飛ばされる。
立ち上がったサスケにヒナタが近づくと印を結ばせない様、柔拳での猛攻が始まる。
一見体術でサスケとヒナタは対等に渡り合っているように見える。
だが、サスケの表情には焦りが見えていた。
素早い動きや正確な突きによって体力を消耗し、ついていくのもやっとと言った所だ。
それ以上に、写輪眼を発動したサスケにはチャクラが止められている所が見えていた。
どうやって、などと考えをまとめる時間をくれるほど楽な相手ではない。
だが、白眼と柔拳の特性を一つ一つ思い出す。
(点穴が…見えている?)
点穴は写輪眼でも見えない。
だが、白眼の練度が上がれば見えると聞く。
そう考えた瞬間、腹に柔拳の一撃を食らい、血を大量に吐き出す。
物理的な打撃力はそんなに無いはずだ。
だが、柔拳は経絡経から内蔵にダメージを与える事が出来る。
血を吐いた時に離れていたヒナタを見ても、白眼を発動させたまま構えて油断一つ無い。
そのまま意識を失ったサスケは倒れ、審判はヒナタの勝ちを宣言した。
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「最後の突きってそんなに力入ってたっすかね?なんであんなに血が…」
七尾の人柱力、フウの疑問に俺は答える。
「日向一族の白眼は視野がほぼ360℃見え、視界も何百m遠くまで見ることが出来る。
白眼では経絡経というチャクラの通り道が見え、柔拳で攻撃する事で体の内側からボロボロに破壊する。
内蔵は鍛えようが無いからね。
ヒナタの白眼は点穴まで見えているし、徐々に点穴を突いて相手の体をボロボロにしてから最後にトドメを刺したんだ。」
説明をすると、近くにいた五影たちや人柱力達はドン引きした様子だ。
「え、えげつないっすね…」
「そんなに遠くまで見れるなら下手に浮気は出来ないわね、水影様。」
二尾の人柱力、ユギトはニヤニヤしながら言った。
「俺はヒナタを愛していますからしませんよ。
やる気も無いですしヒナタ以上の女性は見つからないだろうからやる必要がない。」
「はぁ…何かあってもなくてもいちゃいちゃしすぎでしょ…」
「うざい程のバカップルだってばよ…」
「酷い言い様だね、ナルト。
ヒナタとハナビちゃんにも是非伝えておこう。」
「や、辞めろってば!すまねぇ、済まなかったってば、点穴は…点穴だけはやめ…」
「点穴がどうしたの、ナルト?」
騒ぐナルトに話しかけたのは試合を終えたヒナタだ。
「な、何でもないってば…」
「そう?ならいいけど。
やぐらさん…私、勝ちました!」
可愛い笑顔で俺に話しかけるヒナタの頭を撫でる。
頭を撫でると幸せそうな笑顔になり、可愛い。
「ヒナタ、良く頑張ったね。」
ヒナタの嬉しそうな笑顔に幸せな気持ちになれたのだが、突然悪寒に襲われる。
どこから…と見渡すと、観客席から日向一族が全員白眼を発動させて俺をガン見していた。
特にヒナタの父、当主であるヒアシ殿や妹君のハナビちゃん、幼い頃ヒナタの世話役であったコウ殿の眼力はすごい。
思わず手をヒナタから離す。
ヒナタは不思議そうな顔をしているが、あれは怖い。具体的に言えば一族全員で点穴を突いてきそうだ。
周りにいる五影や人柱力達も固まっている。
それ位迫力があった。
木ノ葉にいる間は下手な事は出来ないと気を引き締める。
肝を冷やしている間にいつの間にか第二試合も終わっていた。
第三試合はヒナタの従兄妹であるネジ殿の試合だ。
気を引き締めて見よう。