「姉様〜お久しぶりです!」
昔使っていた部屋へ通されてスグにぴょんっと胸に飛び込んで来たのは、ハナビだった。
「久しぶりね、ハナビちゃん。
大きくなったわね。」
成長に喜びを感じつつも、その過程を見れなかった事に寂しさを感じる。
「ハナビちゃん、お父様はどこにいらっしゃるの?ご挨拶をしないと…。」
「お父様なら縁側で寛いでいます。」
「俺らも一緒に挨拶に行くか。
世話になるからな。」
「なら、行きましょうか…。ハナビちゃん、また後でね?」
「はい、お姉様!」
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綺麗に整えられた庭がよく見える縁側に座っているのは、日向家当主、日向ヒアシだ。
「父上、中忍試験を受けるため、一時戻って参りました。
突然の事で申し訳ございません…。」
「構わん。例えどこへ行こうとも、ヒナタは私の娘だ。折角実家に一時帰郷したのだから、ゆっくりしていきなさい。」
「はい。」
私達の会話が終わり、外行きモードとなった再不斬が話しかける。
「ヒアシ様、ヒナタさん達の担当上忍をしております、桃地再不斬と申します。
前触れの無い、突然の滞在になって申し訳ございませんでした。」
「いや、大丈夫だ。
…ヒナタは上手くやっておるか?」
「えぇ。ヒナタさんも優秀な生徒です。」
「父上、ハナビとお話をする約束をしているので、失礼致します。」
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「そっか…良かった…姉様の事大事にしてくれてたんだ…ま、冷遇してたら一族全員でやぐら様の点穴突きに行くから安心してね。」
「う、うん…」
一族全員で点穴を突きに来る事が安心出来る事がは置いといて…話になったのは、霧隠れの事や婚約者であるやぐらさんの事であった。
「あ、そうだ!姉様、今から修行付けて貰えませんか!?」
「私は別に良いけど…お父様にも付けて貰っているでしょう?」
「でも、回天も六十四掌も上手く行かなくて…ネジ兄様や姉様が私と同じ年頃の時にはもう出来てたのに…。」
「分かったわ、試験まで時間もあるし…。」
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「八卦掌・回天!」
回天が発動したのはいいが、全体的にチャクラ量にムラがあり、ハナビ自身は後ろに投げ飛ばされてしまった。
…勿論、水で受け止めたが。
「姉様、ありがとう。」
「…やっぱり…ハナビちゃんは焦っているのね。焦りで上手く出来る物も出来なくなることは良くあるわ。
ハナビちゃんは技術的には完璧よ?私よりも才能があるもの。」
これは本当だ。
転生特典で経験値100倍を貰って、影分身で修行を重ねた私と、正真正銘生身で行っているハナビとは違う。
純粋な才能ではハナビが上だ。
「でも…姉様が私と同じ歳の頃にはもう…」
「ハナビ、私ね、誰にも言ってないんだけど…ズルをしているの。」
「…ズル?」
「そう。隠れて影分身でいっぱい修行して…だから、私が影分身をしないで1人でしてたら…ハナビちゃんみたいにはなれなかった。
ハナビちゃんはいい子だから…父上の期待に応える為に努力をするけれど、忘れないで。
例えハナビちゃんが回天や六十四掌を使えなくとも、私も父上もネジ兄さんも…ハナビちゃんの事が大好きよ。だから、今すぐやらないとって焦らないで。」
「姉…様…う、うわあぁあん!!姉様ぁっ…!!」
それから1時間後、泣き疲れたハナビをおんぶするヒナタを使用人が目撃している。