「雷影殿。さっきからヒナタ殿を見つめておりますが…どうかされたのか?」
火影である、猿飛ヒルゼンは雷影を睨みつけながら言った。
…いや、火影だけでは無い。
他国の影達も同じく厳しい目を向けており、特に水影であるやぐらは、視線と殺気だけで人を殺せるレベルに達している。
「いや、日向の姫さんにどう交渉を持ちかけようか悩んでいてね…丁度いい。…
色々と優遇してやれるぞ?霧隠れでは手に入らない物も、見た目が麗しい男も、何人でも紹介できる。」
「お断りします。」
「しかし、」
「お断りします。」
「だから」
「お断りします。」
「話を…」
「お断りします。」
「しょうがない…日向宗家には5歳下の妹、ハナビがいたな。アイツに切り替え…」
ドッカァン!!!
自分の中で何かが切れる音がしたと思ったら、いつの間にか机を殴りつけていた。
机に深く大きなヒビが入ったが、気にしていられるほどの余裕は無かった。
「しつこいんだよ…ロリコンクソジジイ。
去勢されてぇのか。自分が強く言えば女子供は従うとでも思ってんのか?気持ち悪い。
小さい子供しか狙わないのはそう言う事か。気持ち悪い。
だからか、誘拐未遂の時も私は3歳だったもんな。
ロリコンに取っては絶好の餌食だよね、気持ち悪い。
日向家の
…日向は簡単には屈しないぞ。
可愛い妹に手出してみろ…殺すのも生温い程の目に合わせてやる。
去勢したもん貴様に食わせてやる。」
いえば言うほど頭は冷静になっていき、周りを見る余裕が出てきた。
いつの間にか怒りで白眼を発動させていた。
五影…いや、雷影以外の4人、特に水影は雷影に厳しい目を向けているのは変わらない。
雲隠れのユギトは微かに軽蔑の色を目に浮かべていた。…主にロリコンのレッテルのせいだろう。
ビーは…驚いてるな。何に対してとは言わないけれど。
雷影の護衛、ダルイは思案顔だ。
…こちらのほうが雷影に向いている気がするのは気のせいだろうか。
雷影本人は、かなり動揺しているのが見て取れる。…ロリコンだと言った事が当たっていたのか?
そして、思案顔であったダルイがこちらに向けて地に頭を擦り付けた。
俗に言うスライディング土下座だ。
「雷影様が大変失礼な事を言ってしまい、本当に申し訳ございませんでした!」
「貴方には聞いてません。そこのロリコンの問題です。」
だが、ダルイは食い下がる。
「いえ、うちの里の長の失態です。…俺のことは焼くなり煮るなり好きにして構いません。ですが、雷影様は、アニキだけは…」
「私をそこのロリコンと一緒にしないで下さい。気持ち悪い。」
「……申し訳…ございません…。」
殺気を強めた私に、何か言えば墓穴を掘ると思ったのだろう。
それしか言えなくなっている。
(あぁ、雷影のオッサンヒナタの1番でかい地雷を思いっきり踏んじまったってばよ…。)
「…妹君をダシにした事は謝ろう。だが…君ほどの人材にウチの里へ来て欲しい事は確かだ。」
「ダシにしたこと
まだ諦めてねぇのかロリコンクソジジイ。」
「…そのことも含め、謝罪する。
だが、君を霧隠れよりも好待遇で迎えることが出来る。貴重な品、実力者の護衛、何より見た目麗しい男性…君も年頃…興味あるだろう?」
「無いに決まってるでしょう。」
「…な、」
「水影様の顔を見なさい。トップの顔からして月とスッポンでしょ。
こっちはやぐらさんの顔を見るだけで幸せになれるのに…雲隠れに行っても利益が無いどころかやぐらさんがいない分マイナスにしかならない。
私は…100人の見た目麗しい男性より、やぐらさん一人のほうがいい。」
「…。」
「ヒナタ…。」
婚約者にかっこいい、幸せだと言外に言われてやぐらさんが心底嬉しそうな顔をしている。
逆に、〝テメェみたいなキモメン要らねぇ〟とノロケのついでに言われた雷影は顔を引き攣らせている。
「分かった…諦めよう。霧隠れがイヤになれば、いつでも来い。歓迎しよう。」
このロリコン…あれほど殺気とノロケをぶつけても屈しないだと…クレイジーロリコンジジイか。
「ヒナタ…疲れたろ?
ウタカタも一緒に、部屋に戻ろう。」
「はい。」
「…ハァ。」
雷影様 は ヒナタ の 逆鱗 に 触れた !
テッテレー ! 雷影様 は クレイジーロリコンジジイ に 進化した !
本当に申し訳ごさいませんっしたー!(スライディング土下座)
4回気持ち悪いとなじられ、9回もロリコンだとレッテルを貼られ、雷影様の(社会的な)ライフはゼロよ!