「…この子はヒナタ。日向ヒナタと名付けよう。」
「可愛いですわね…。」
「あぁ、良く頑張ってくれたな…。
ヒナタは次期当主候補だ。修行を見てやりたいものだ。」
「でも、子供は子供らしく、ですよ?」
「そうだな…当主になるまでは…。」
あぁ、やっぱり…転生したのか。
上から聞こえる話し声に、今更ながら自覚が出てきた。
もちろん、原作のヒナタのようにモジモジはしないし落ちこぼれで終わる予定もない。
やるならばとことんすべきだろう。
命の軽いこの世界では、身を守る術は多ければ多いほどいいのだから。
とりあえず早く大きくなって、回天や柔歩双獅拳や八卦六十四掌を使いたい。
ひとまずは…チャクラコントロールか。
あとは白眼に慣れて、点穴を見ることが出来るようにすべきかな。
(チートはチャクラ多めと経験値100倍だったっけ?)
チャクラは…あぁ、これか。
身体の中に暖かい物を感じた。
そもそも前世にはチャクラは存在せず、前世との違いを探せば簡単であった。
成長するまではチャクラコントロールの修行を行うしかない。
だが、大きくなればヒナタ誘拐事件やうちは事件などの大きな事件が多いため、忙しくなるだろう。
ついでに呪印制度も無くし、恨まれる要因を潰すか…。
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「だぁ~っマッ~」
1歳の誕生日。
日向家は、それはそれは大盛り上がりだった。
分家も宗家も揃って宴会をしている。
母上も、父上も、私の事を可愛がってくれている。
原作ではヒナタを冷遇し、「要らない」とまで言ってのけたヒアシも、ただ単に不器用さが災いして勘違いやすれ違いが多かっただけでヒナタを愛していた。
そんな不器用で意地っ張りな父上にベッタリ張り付いて甘えると、子煩悩な父上に大変身だった。
そんな変わりように周りはプチパニックになった。
宴会騒ぎも落ち着いた頃、いつもの様に父上の膝の上で船を漕いでいると、上から話し声が聞こえてきた。
「兄上、ヒナタ様の1歳のお誕生日おめでとうございます。」
「あぁ、ありがとう。ヒザシ。」
…!!ヒザシ…だと…!
ネジの父で誘拐事件で父上の影武者として連れていかれて死んだヒザシか…。
「兄上は…昔よりも、こう…柔らかくなられましたね。」
「ヒナタが産まれて、父としての自覚が芽生えただけだ。」
「ヒナタ様とネジ、仲良く出来るといいですね。」
「そうだな。支えあって生きていって欲しいものだ。」
ショタネジか…可愛いんだろうな…。
目標が増えた。
ヒアシとネジの死亡フラグをへし折る。
それが私の身の安全にも繋がりそうだ。