「磯撫~ヤッホー!」
『ヒナタちゃん、こんにちは。
それから木の葉のみんなも!』
「…三尾…。」
「デカイ…な。」
トゲトゲの甲羅に赤い鯨のような模様の装甲、隻眼の赤い瞳。
後ろ足は確認出来ないものの、恐らく平たく硬い三つの尾がその役割を果たすのだろう。
戦闘スタイルはドン〇ァンのような「転がる」攻撃や、幻術効果のある霧、水遁の術などだ。
また、その装甲は尾獣一の硬さだろう。
ゴツい見た目とは裏腹に、内気ではあるものの心優しい性格だ。
だが、今まで磯撫を見た人間は殆ど怖がって逃げ出してしまって友達にはなれなかったとの事だった。
人柱力になれば、我愛羅の砂の絶対防御ならぬヒナタの水の絶対防御(磯撫並の硬さ)がオートで発動するし、私自身が攻撃に対して磯撫並に硬くなるなど、「防御」に関していえば我愛羅以上では無いだろうか。
それ以外にも、水を「生み出す」事も出来てしまう。
水の無いところでも大規模な水遁を使えるし、砂隠れで水を売ればノーコストでかなりぼろ儲け出来るのでは無いだろうか。
影分身から入ってきたそれらの情報は、全て大人に伝えてある。
(…あれ?水の絶対防御って…)
もしかして:組手不可能
磯撫の装甲並の防御を抜ける事は不可能に近い。
組手をしようにも水に阻まれるし、私自身も攻撃に対しては磯撫並の硬さとなる。
水の絶対鎧だ。
つまり、第一防衛壁を抜けるにはリーやガイ先生並の早さが必要で、抜けたとしても私自身が見た目通りの硬さでは無いのだ。
絶対防御を抜ける速さで私に攻撃すれば、殴った方が骨折では済まないレベルだ。
柔拳も然り。
日向家にリー以上の速さを出せる人は居ないだろうし、いたとしても、柔拳は通用しない。
つまり…
(白眼の持ち腐れェ…)
感知も水を使えば白眼より広範囲に行えるし、戦闘で柔拳を使わなければ勝てないレベルの相手であれば、逃げるが勝ちだろう。
近接戦闘をすることになると言うことは、水が通用しないのと同義だからだ。
…1人での修行を行わなければ無駄な怪我人、もしくは死人が増える。
タダでさえ、木の葉崩しが起きたら人手不足になる事は分かっているのだ。
組手で人が死ぬなど無駄な事はしていられないのだ。
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「それでネジ兄さんが怒っちゃってさー」
『そうなんだ~』
セミロングの紫紺の髪をハーフアップにしているヒナタと、ヒナタの封印の中から口寄せされている磯撫(膝乗りサイズ)。
封印から2日ほどは様子を見る為、護衛や封印術の忍と共に野営をする事になっている。
里へ帰ってから人柱力となったヒナタが暴走すると、大変なことになるのだ。
抑えることが出来ないとは言わないが、九尾の二の舞になるのは里としてもゴメンだし、宿主のヒナタは日向宗家の娘だ。
死んでしまえば後々問題になる為、下手に手を出せない。
そこは2人とも分かっている。
だから、大人しく待っている。
まぁ、何もしない訳でもないが。
水の絶対防御の精度や水を生み出す能力などのテストを行う。
そして、1番大切なことは「尾獣化しても本当に自我を保てるか」だろう。
そもそも人柱力とは、里の最大戦力─核兵器に近い─だ。
三尾はヒナタと仲がいいとは言え、人柱力としての相性の問題もある。
自我を保てるかは「兵器」としても「仲間」としても無視出来ない事だ。
現在、ヒナタは1部尾獣化─3本の尻尾─を成功させている。
「では…行きます…磯撫!」
『うん!』
合図と同時に、尾獣化が始まる。
チャクラの衣を纏い、1本、2本と尻尾が増えると同時に磯撫の亀に似た体を形作っていく。
3本目、完全尾獣化。
護衛の人が身構えているのが分かる。
「大丈夫みたいですね。」
私がそう言うと、みんなホッとしたように警戒を解いた。
人間では到底たどり着かない程の高い視線からは、木の葉の里が小さいながらも見ることが出来る。
尾獣化を解いた私は、テストの中で仲良くなった護衛の人の方へと足を向ける。
「ヒナタ様、テストはこれで終了ですね。」
「はい。」
「では、帰還の準備をお願いします。」
※作者の妄想です。
我愛羅のパクリじゃねーかなどの苦情は受け付けます。
この作品うんこすぎwwとかは受け付けません。泣きます(作者が)。