天校生
朝、寒さも消え暖かく目覚めがいい。今日もきっといい一日になるだろう。
いつものように朝食を食べ、いつものように仲間との待ち合わせ場所へ行き、いつものように学校へ行く。
まだ転校してきたばかりだが、周りはみんないい仲間たちばかりだ。今日もいつものように楽しく終える・・・そう思った矢先だった。
「職員室の前通った時にたまたま聞いたんだけど、うちに転校生が来てるらしいよ。」
こいつは園崎魅音。俺の同級生で一応ひとつ上の学年だ。そして、
「こんな半端な時期に来るなんて変わってるよね。仲良くなれるかな?かな?」
こう言うのは竜宮レナ。普段はぽけーっとしているがいざとなればとても頭の切れる恐ろしいやつだ。
こうして話しているうちに先生がやってきた。横には知らない人影も見える。
「皆さん、今日は転校生が来ましたよ。さあ、自己紹介して。」
そして横の男子が口を開く。
「初めまして、千葉から来ました岡村俊吾です。よろしくお願いします。」
教室から拍手が巻き起こる。よく見ると、なかなかいいやつそうじゃないか。
「じゃあ岡村君は、前原君の隣の席に座ってください。」
うまく隣に来た。これは話しかけるチャンスに違いない。
そして圭一は先生の話を真面目に聞いている俊吾に話しかける。
「初めまして、俺は前原圭一。よろしくな!」
そう笑顔で話しかけるが、彼は
「よ、よろしく・・・。」
こう素っ気ない返事をするだけだった。
その後もなかなか話は弾まず学校は終わってしまった。
そしていつものように部活が始まる。今日はポーカーだった。
「くそぉぉぉ、折角カードそろってたのにぃぃぃ!」
運がよくストレートフラッシュが出ていたのに、なぜバレたのか。
「へっへーん、圭ちゃんは表情に出すぎるんだよ!」
何をやってるんだ俺・・・、確実に勝てたのに。いや、
「クールになれ、前原圭一!」
そして次のカードが配られる。フルハウスだ。次こそは勝つ!そう思った矢先、
「レナはストレートだったよ~!」
まさかの惨敗。ここまでくると泣けてくる。
「なんでやねん!」
関西人でもないのについ口に出してしまう。結局運が悪いとダメなんだな・・・そう実感した。
そしてふと顔を上げると、転校してきた岡村がこちらを見ていることに気づく。
口元を見ると、何かつぶやいているようだ。
「岡村のやつ、何を言ってるんだ・・・?」
さすがに室内と室外じゃ声を聞き取れない。仕方なく周りの皆にも聞いてみるが、
「圭ちゃん何言ってるの?外に岡村君なんていないけど?」
魅音にそう言われて外を見てみると岡村はいなくなっていた。
何だったんだろうか岡村は。何を言っていたんだ?
「・・・壊したい?」
こうして疑念が残ったまま岡村を迎えた生活が始まることとなった。
ただ俺は、初手から間違えていたのかもしれない・・・。