ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

28 / 111
逃げてー、眼鏡、逃げてー

ようやく最初の一人をゲットでしょうか。

彼を応援してくださいね。


第28話 試練と書いてじらしと読める?

途中を覚えていない。

 

気が付いたら、ソファに寝かせられ、泣いていた。

(こんなのイヤ)

 

服の上から、()の手が這いまわる。

 

(どうして、わたしの気持ちを聞いてくれなかったの?)

艦娘は悔しかった。

はっきりとわかった。

裏切られた気がする。

 

もう少し、ほんの一言でも話しかけてくれたら、墜ちたと自覚があった。

どういうバランスに成り立っているか自分でもわからなかった。

ただ、求められたら、拒絶しない程度に許している自分がいた。

 

目を固く瞑り、これから訪れる凌辱の時間に対する覚悟を決めていた。

 

= = = = =

 

「うーん、くたびれ具合が微妙だなぁ」

俺は、眼鏡のユニホームの見立てをしてみた。

 

端々が綻び、表地が擦り切れそうで、裏地に至っては、破けていた。

(スカートだけって、売り物になるかなぁ)

 

無意識の内に下着まで観察していた。

パンツのゴムが伸びかけていた。

眼鏡は尻がでかいのか、かろうじて引っかかっているのかもしれない。

ブラジャーは、大丈夫そうだ。

ホックを弾き飛ばすほど発育していないからだろう。

 

俺は、執務机に戻って、電卓をはじいてみた。

「うーんと、スカートは満額だろ。

 上着は、最悪おまけ扱いかもなぁ。

 パンツは・・・・無理だな。

 ブラは、単品扱いになると古着だな」

 

 = = = = =

 

裏切られた。

また(・・)裏切られた気がする。

 

どういうわけだが、意味が解らず腹が立つ。

 

こやつは、この野郎は、このゲスは、この提督は!

身体を弄ぶかと思ったら、何?

服の具合を見るって!

下着に手がかかったら、さすがに覚悟するでしょ!

それが何?ゴムを引っ張って何?それで終わり?

ブラもよ。

中身に全然触りもしないって、膨らみは充分よ。

形だって、悪くはないはずなんですからね!

 

 = = = = =

 

気が付いたら、眼鏡が鬼の形相で睨んできている。

今まで見た中で一番殺気立っていた。

 

生意気なヤツだ。

大した金にもならないくせに。

 

まあ、今回は先任(クソ)のせいだから、大目に見てやってもいいか。

 

「眼鏡、そんな顔するな。

 お前のせいじゃない。

 せっかくの美人が台無しだぞ」

慈悲深く微笑み(すさ)んだ眼鏡に声を掛ける。

 

「な、何ですか。

 お、お世辞は、わたしに通じませんからね。

 どうせ、わたしには魅力はないですよー」

「いじけるな。

 俺は、揶揄うことはあるが、褒め言葉で嘘はつかねえよ」

「もう、てーとくは、そうやって何人もあしらってきたんでしょ」

「そう見えるか?

 俺ほど女の扱いが下手なやつはいないと思うぞ。

 そう思うだろ?」

「ふん!どうですかね!」

「なんだよ。

 いわれのない批判は、やめて欲しいもんだな」

「扱いが下手だって、口で言ってても、わた・・・・」

「綿?」

 

眼鏡が黙って沈黙が生まれた。

夕方に差し掛かり、部屋が薄暗いせいか、細かい表情が判りにくい。

 

≪ガタッ!≫

「食堂でお夕飯を食べてきます!」

眼鏡が勢いよく立ち上がったと思ったら、飛び出すように執務室から出て行った。

 

俺はひとり残された執務室でショットグラスにウイスキーを注いだ。

「女はよくわからねえな」

 

 = = = = =

 

「オードブルっぽい料理なら、食べてくれるかな」

 

 = = = = =

 

「風呂をどうするかな。

 そろそろ、考えないとなあ」

 

 = = = = =

 

「わたしのことは、心配いらない」

「長門、その自信は少しおかしいわよ」




みんな元気になってきました。

ドタバタになるのでしょうか?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。