彼を応援してくださいね。
社長たちを食堂に案内する。
廊下ですれ違う艦娘たちが敬礼をするので、軽い敬礼で返す。
「中佐の許でもここは海軍なんですね」
「いやぁ、しっくりこないというか不思議な感じですな」
「なんだよ、ふたりとも俺をなんだと思ってたんだよ?」
「本人には言えませんわ」
「僕も遠慮します」
「ひでぇな」
全く失礼な業者だ。
客の質が悪いんだろう。
あ、俺か。
「中佐だから聞きますけど、艦娘は怖くないですか?」
「こうポンと武器がでてくるんでしょ?」
「ああ、ひとたまりもない。
外れたから生きてるが、撃たれたしな」
食堂の扉をくぐる。
「間宮、お客さんにコーヒー2つ」
入り口の脇のテーブルで眼鏡が寝ていた。
「午後、執務室に来ないと思ったら・・・・。
後で
眼鏡と反対側のテーブルが開いていたので、そこに座った。
大食いたちから離れていてちょうどいい。
社長たちを壁際に座らせ、食堂を見渡せるようにした。
「気に入った艦娘を持って帰るか?」
「お! ブラック」
「うんうん、ブラックですな」
「だろ。こういうのを狙ってたんだ、クヒヒ」
背中に大食いたちの視線が刺さるのが判った。
携帯が鳴る。
「ちょっと、失礼」
席を立ち、廊下に出る前に眼鏡の頭にチョップを入れてから出た。
間宮が、コーヒーを
「お待たせしました」
「「ありがとう」」
≪コトッ、コトッ、コトッ≫
ソーサーの上には、フレッシュとスティックシュガーが置いてある。
「えーと、間宮さんでいいのかな?」
「・・はい」
「気を悪くしないで欲しい。
僕たちは、ほかの鎮守府にも出入りしているんでね。
他の
「中佐、提督は悪い人だろ?」
「そうそう、極悪人くらいかな?」
「・・・・何をおっしゃりたいのか、わかりません」
「言葉そのままさ」
「困った人ってこと」
2人は、提督の悪口を嬉しそうに話していた。
「なんだよ、
提督が電話が終わって戻ってきた。
「あ、まずいことを聞かれた」
「隠してたのに」
「間宮、コーヒー下げていいぞ」
3人は、楽しそうに会話をする。
間宮は丸トレーを抱えて、その様子を見ていた。
そのあと、俺は業者二人から、最近の鎮守府の情報を聞いた。
大本営に上がってくる着任直前までの情報は、数字だけ。
なので、戦術的な内容が含まれていなかった。
時々メモを取り、聞きかたを変えて質問する。
「強力な化物は、1匹だけかもしれないか」
「何体かがローテーションしているかもしれませんよ」
「遭遇した艦隊が壊滅してしまうんで、まだ、遭遇2回目の鎮守府はないですわ」
= = = = =
「悪かったね、得にならないことまで」
「中佐の仕事でしたら、いつでも受けますよ」
「長い付き合いですからね。
今後ともごひいきに」
「眼鏡、玄関で見送るぞ」
「・・・・」
「仕事さぼりやがって」
「ハヒィーーー」
「やっぱり中佐だ」
「提督になっても中佐だ」
= = = = =
俺は、玄関で眼鏡と一緒に社長たちを見送る。
「雨も弱くなってきたから、一安心」
「提督、明後日には、すべて納品しますから」
「あんまり艦娘をイジメたらあきませんよ」
「逆らうのは、解体するからいいの、な、眼鏡」
『ヒィーーーー』
= = = = =
間宮は思い出していた。
「他の間宮にも会っている・・・・か。
【提督も】ってことよね」
その言葉の意味が、この時点ではまだ解らなかった。
シャッチョサンのお持ち帰りはありませんでした。