ブラック鎮守府で我が世の春を   作:破図弄

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天候が下り坂です。

洗濯機その他は安く買えるのでしょうか?

彼を応援してくださいね。


第25話 物資の調達

「これでひと段落だな」

書類が片付き、ソファを含む応接セットが使えるようになった。

 

柱時計を見ると12時40分。

「急いで食えば、余裕だな」

 

俺は食堂に足を運んだ。

 

 = = = = =

 

「間宮、熱湯」

もう単語だけになってきた。

 

「・・・・どうぞ」

気のせいか、間宮が落ち込んでるように見えた。

 

「大食い以外の食事は、お前の判断で通常に戻していいぞ」

ヤカンを傾けつつ、間宮に指示を出す。

 

間宮の表情は、変わらなかった。

(調子でも悪いのか?)

 

「・・・・提督、お食事は・・・・」

「今から食うが、それがどうかしたか?」

「・・・・なんでもありません」

 

熱湯を注ぎこんだカップ麺を持って、食堂を出た。

今日のは、きつねうどん。

そろそろ備蓄が無くなる。

育ち盛りではないが、昼飯にカップ麺だけというのは、事務仕事とはいえ、やはり足りない。

「次の給料日まで、凌がないとな」

私室に入って、7分後にきつねうどんを食べ終えた。

 

 = = = = =

 

「間宮さん、知っている範囲で教えてください」

「何ですか?」

「てーとくは、食堂(ここ)で食事をしていないのですか?」

「ええ、朝食は召し上がっていません。

 お昼はカップ麺。

 お夕食は召し上がらず、おつまみとお酒だけみたいです。

 大淀さんは何かご存知ですか?」

「・・・・わたしの前で何かを口にすることはありません。

 今朝、ビールが数個、ゴミ箱にツナの空き缶1つがあっただけです」

「・・・・」

 

「・・・・倉庫と貯蔵庫にある物資が、私物ということはありますか?」

「・・・・鎮守府からの依頼書なしに補充があったのでおかしいと思っています」

「あれだけの量を個人で準備したんですね」

「それも鎮守府(ここ)の状況を確認してすぐに」

 

 = = = = =

 

海と空が灰色になってきた。

海の匂いが薄まり、水の匂いが漂って来たと思ったら雨が降りだした。

 

「社長たちが着く前に降り出したか」

俺は、海の匂いが好きじゃないが、眺めるのは結構好きだった。

この鎮守府は艦娘だけ配置されてるので海岸線の汚れが皆無なので、眺めはいい。

それを付き合いの長い社長たちに見せて少し自慢したかった。

 

遠景に光を見つけた。

雲が垂れ込め、少し暗くなったのでヘッドライトを点けたのだろう。

光が別々に動いたので、2台だと判った。

まもなく敷地に入ってきた。

 

 = = = = =

 

「やあ、いらっしゃい。

 屋根があるから、車寄せに置いておいていいよ。

 誰も来ないしな」

「じゃあ、ここに」

「お言葉に甘えて」

 

2人を執務室に案内する。

 

「提督自ら出迎えは、恐縮します」

「他所だとこうは、いきません」

「そう、じゃあ、大サービスを頼もうかな」

ブラックな俺は、早速、業者いじめをする。

 

「ええー、中佐の仕事は、儲け抜きですよ」

「ウチも管理費だけです」

「この鎮守府は、提督が出迎えないといけないくらい貧乏ですよ。

 社長、毎日食べてるステーキの厚みを5cmから4.5cmに減らしてくれたらいいんです」

「敵いませんなぁ、そのまま提督様にお返しします」

「「「アハハハ」」」

 

2人は、俺が大本営で使いっぱしりをしていたころからの付き合いで、色々世話になってきた。

調達品の見積もりは、ほぼ予想通りだったので、在庫を抱えても捌ける品目に振り分けて発注をした。

 

「食堂だけど、コーヒーでもどう?

 貧乏で水も出なかったって言いふらされても困るしな」

「高いコーヒーになりませんか?」

「それが心配」

「美人艦娘が出すから、テーブルチャージ400万でいいよ」

「「ぼったくりもびっくりや!!」」




提督、実は金策に苦労していました。

鎮守府の場所が辺鄙でなければ、水商売まで視野に置いた

多角経営を狙っていたのですが。

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