Fake/startears zero   作:雨在新人

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すまない……クリスマスネタなのにクリスマスに間に合わなくて本当にすまない……


12/23 ジングルベルの音色と共に・2

『ということで、プレゼントの時間だよ!』

 何処か疑問を抱えつつも、時は過ぎ

 夜が来る。時は過ぎてゆく。止まることもなく

 そうして、多くの者が寝静まっただろうその時。俺の横でホットミルクを飲んでいたミラは、突然立ち上がってそう告げた

 「なんだ、いきなり」

 『何だじゃないよ、クリスマス』

 「いや、イブは明日だろう?」

 違和感、記憶の欠落。それらを解決出来ず、けれども甘えから、ミラの言葉通り教会で厄介になっている

 それが本当に正しいのかは分からないが、それでも

 『まっ、それはそうなんだけどね』

 単なるシスターの少女時代には良く見た明るい笑みを、かつて裁定者だった少女は浮かべる

 『まっ、ある意味慌てん坊のサンタクロースがクリスマス前にやって来るってのは、お約束も御約束だからね』

 「いや、どうなんだそれは……」

 『そもそも、今からプレゼントを配るのは、かつてのサーヴァント達だからね

 一日じゃ終わらないのですよ』

 サーヴァント……言われ、少しだけ思い浮かべてみる

 炎を纏った槍を。あの気の良い兄ちゃんを。結局の所バーサーカーに邪魔だと討たれていたらしい少女を

 「確かに、な」

 大人しく、俺は頷く

 それはそうだ。あんなものへのプレゼント、一筋縄では行かないだろう

 「というか、サーヴァントは退去していないのか?」

 『してるよ?今からプレゼントを渡しに行くのは、その残留思念さんへだからね』

 「……酷い話だな、それ」

 『まっ、正直終わらせ方雑だったからね。尚も敗北を認めない頑固な聖杯を黙らせて、だし

 それを正式に終わらせる感じかな』

 りん、と鈴を鳴らし、ミラは立ち上がる

 その姿は、シスターとしての姿ではなく、いつの間にかあの日々で見掛けた赤い帽子を被った姿、つまりサンタクロースへと変わっている

 「それじゃ、行こっか、マスター」

 そのまま、ミラは手袋に包まれた右の手を差し出す

 「……俺も行くのか」

 『うん、当然。だってマスターはわたしのマスターだからね』

 「契約した覚えは無いんだが」

 『まっ、そこはあのアサシンちゃんと同じような感じかな

 空でならお話出来るから、早く行こっか』

 だが、疑問は却下され、手を掴まれる

 そのまま、外へと引きずり出された

 抵抗は……しない。結局、俺は何も分かっていないから

 「というか、プレゼントって……」

 『うん、今日は三人、明日も三人、合計六人がマスターと配るノルマかな』

 「待て、六人なのか?」

 『うんうん、六人だよ?』

 どうして?とばかりにミラは首を傾げる

 「いや、サーヴァントにならば、そもそも七じゃないと可笑しくないか?」

 ふとした疑問。バーサーカーでも欠けているのだろうか

 だが、サンタクロースの少女は首を振る

 『おかしくないよ?シークレットな一人、セイバーさん、アサシンちゃん、ランサーさん、あのチート、キャスターさんで六だからね

 バーサーカーは完全破壊されたし、ライダーさんは、わたしが代わりのライダーとして居たいかなって頼んだら、プレゼントと引き換えにささっと退去してくれたからね』

 うんうん、こんなの、とミラはいつの間にやら持っていた小さな袋から、一つのカードを取り出す

 それは、概念礼装と呼ばれるだろうもの。一つの概念を魔術的に切り取り、物理的に固定化した神秘の塊。正直な所、ばら蒔いて良いのかそんなもの、と思ってしまう、そんなブツ

 だが、まあ……サーヴァントにならば、良いかもしれない

 『それじゃ、行こっか』

 だが、自身もアーチャー並に可笑しなその少女は、自分が何処か可笑しい事も全く気にせず、外で口笛を吹く

 綺麗な音色が、雪でも降れば幻想的だろうが、特にそんなことは無い少し曇った寒空に響き……

 鈴の音を響かせて、ん、まあ……考えてみれば居るわな、な存在が空から舞い降りる

 即ち、神獣とも言えるだろう、ソリを引き空を駆ける二匹のトナカイ

 「……何でもありだな……」

 『まっ、今のわたしはライダーだからね。ルーラー時とは、使うスキルは一部別かな

 使おうと思えば使えるけどね。わたしはサンタクロースの伝承の大元だもん』

 笑いながら、少女は軽くソリへと乗り込む

 そして、此方に再度手を差し出した

 「……分かったよ、ミラ」

 そうして、俺はその手を取った


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