問題児と力を受け継いでしまった者が異世界から来るそうですよ?   作:皐月の王

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長い・・・ガルドのところは


第5話フォレス・ガロに戦線布告するそうですよ?

「なるほどね。大体理解したわ。つまり"魔王"というのはこの世界で特権階級を振り回す神様 etc.を指し、ジン君のコミュニティは彼らの玩具として潰された。そういうこと?」

 

「そうですレディ。神仏というのは、古来、生意気な人間が大好きですから。愛しすぎた挙句に使い物になら無くなる事はよくあることなんですよ」

 

ガルドはカフェテラスの椅子で手を広げて皮肉げにいう

 

「今や名誉も誇りも失墜した名も無きコミュニティの一つ。名乗ることを禁じられたコミュニティに、一体どんな活動ができます?商売ですか?主催者ですか?しかし名も無き組織など信用されません。ましてやギフトゲームに参加しようにも優秀な人材が失墜したコミュニティに加入すると思いますか?」

 

「そうだな、思わないだろうな」

 

「そう。彼は出来もしないコミュニティ再建を掲げている過去の栄華に縋る亡霊でしかない。もっと言えば、彼はリーダーとは名ばかりでリーダーらしい活動はしていません。そのコミュニティの実態は黒ウサギにコミュニティを支えてもらうだけの寄生虫」

 

ピチピチのタキシードを破きそうな品のない、豪快な笑顔でジンとコミュニティを笑う。ジンは顔を真っ赤にして両手を膝の上で悔しそうに握りしめていた

 

「………っ」

 

「私は本当に彼女の不憫でなりません。ウサギと言えば"箱庭の貴族"と呼ばれるほど強力なギフトを数々を持ち、何処のコミュニティでも破格の待遇で愛でられるはず。コミュニティにとってウサギを所持しているという事はそれだけで大きな"伯"がが付く。

なのに彼女は毎日毎日糞ガキどもの為に身を粉にして走り回り、僅かな路銀でやりくりしている」

 

「………そう。事情は分かったわ。それでガルドさんは、どうして私達にそんな話を丁寧に話してくれるのかしら?」

 

飛鳥は明らかに含みのある声でガルドに問を投げた。ガルドもそれを察して笑う

 

「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティに来ませんか?」

 

「な、何を言い出すんですかガルド=ガスパー!?」

 

ジンが怒りのあまりテーブルを叩いて講義するが、ガルドは獰猛な瞳で睨み返す

 

「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェが最低限の人材は残っていたはずだろが。それを、お前の我儘でコミュニティを追い込んでおきながら、異世界から人材を呼び寄せた」

 

「そ………それは」

 

「何も知らない相手なら騙せれると思ったのか?その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら・・・・・・こっちも箱庭の住人として通さなきゃならねぇ仁義があるぜ」

 

先ほどと同じ獣の瞳に似た鋭利な輝きに貫かれて、ジンは僅かに怯む。だが何も言い返さない、おそらく、俺達への後ろめたさがあるのだろう。

 

「どうですか?返事は直ぐにとは言いません。あなた達は箱庭で三十日間の自由が約束されます。1度、自分達を呼び出したコミュニティと私達"フォレス・ガロ"のコミュニティを視察し、十分に検討してからーーー」

 

「その必要は無いぜ?俺はジンのコミュニティに入るつもりだからな」

 

「「はっ?」」

 

ジンとガルドの声が重なる。

 

「耀と飛鳥はどうする?」

 

紅茶を飲んでいる耀と飛鳥に聞く。

 

「私もジン君のコミュニティで間に合ってるわ。春日部さんは?」

 

「私はどっちでもいい。私は友達を作るためにここに来たから。でも、竜輝がジン君の所に行くのなら私もそっちにしようかな」

 

「あら、随分、竜輝君と仲が良いのね。なら、私とも仲良くしてもらえるかしら?もちろん、友達としてね。」

 

恥ずかしかったのか髪を触りながら言う。耀は少し考えた後、小さく笑って頷いた

 

「・・・うん。飛鳥は私の知る女の子と少し違うから大丈夫かも」

 

『よかったなお嬢……お嬢に友達できてワシも涙が出るぐらい嬉しいわ』

 

ガルドは全く相手にされなかった事に顔を引き攣られ、それでも取り繕う様に大きく咳払いをし俺達に問う

 

「失礼ですが、理由を教えてもらっても?」

 

「私、久遠飛鳥は、裕福だった家庭も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる全てを支払って箱庭に来たのよ。

それを小さな一区画を支配してるだけの組織の末端として迎えてやる、などと慇懃無礼にと言われて魅力を感じると思ったのかしら。だとしたら自身の身の丈を知った上で出直してきてほしいものね、紳士さん」

 

「お、お言葉ですがレディ

 

「『黙りなさい』」

 

ガチン!とガルドは不自然な形で、勢いよく黙り込んだ。これが飛鳥のギフトか

 

「私の話はまだ終わっていないわ。貴方からはまだまだ聞き出さない事があるの『大人しくそこに座って私の質問に答え続けなさい』」

 

ガルドは椅子にひびが入るぐらいの勢いで座る。その様子に驚いた猫耳の店員が慌ててやってくる。

 

「お、お客さん!当店での揉め事は控えてくださ―――」

 

「ちょうどいいわ。猫耳の店員さんも第三者として一緒に聞いて。多分面白いことが聞けるはずよ」

 

飛鳥は悪そうな顔をして言う。

十六夜然り、飛鳥然り、耀然り、そして黒ウサギ然りここには面白い奴が多い。本当にそう思った

 

「さっきこの地域のコミュニティに両者合意で勝負をしたと言ってたけど

コミュニティのゲームとは"主催者"とそれに挑戦する者が様々なチップを賭けて行うもののはず。コミュニティそのものを賭けるゲームはそうそうあるのかしら?そのへんはどうかしら、ジン君」

 

「や、やむを得ない状況なら稀に。しかし、コミュニティの存続を賭けたゲームなんてかなりのレアケースです」

 

「そうよね、訪れたばかりの私達でさえそのぐらいわかるのも。なら、どうして貴方はコミュニティを賭ける大勝負ができたのかしら。『教えて下さる?』」

 

「相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫し、徐々にほかのコミュニティを取り込んだ後、ゲームに乗らざるを得ない状況に圧迫していった」

 

「まあ、貴方のような小者らしい堅実な手です。でも、そんな方法で吸収したコミュニティが貴方の下で従順に働いてくれるのかしら?」

 

「各コミュニティから数人ずつ子供を人質にとってある」

 

ピクリと飛鳥の眉が動く。飛鳥の雰囲気には顔言葉や表情には出さないが嫌悪感がにじみ出ている。耀も不快そうに目を細めている。俺も表情を表に出していないが拳を握り我慢しているが

 

「………そう。ますます外道ね。それで、子供たちは今どこに幽閉されてるの?」

 

「もう殺した」

 

瞬時に空気が凍りつく。俺も、耀も、ジンも、店員も、そして、飛鳥も一瞬耳を疑って思考が停止する。ただガルドだけは命令のまま言葉を紡ぐ

 

「始めてガキ共を連れてきた日、泣き声が頭に来て思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、父が恋しい母が愛しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降、連れてきたガキは全部まとめてその日のうちに始末することにした。けど身内のコミュニティの仲間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が食」

 

「『黙れ』」

 

ガチン!!とガルドの口は先ほど以上に勢いよく閉ざされた。飛鳥の声は凄みをまし、まるで魂ごと鷲掴みにする勢いだ。

 

「素晴らしいわ。まさしく絵に描いたような外道ね。さすがは人外魔境の箱庭ね」

 

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

 

「いたらもっと酷い事になってるだろうさ。んで、ジン。今の証言でコイツは箱庭の法で裁けるか?」

 

「厳しいです。吸収したコミュニティから人質をとったりするのは違法ですが、裁かれるまでに箱庭の外に出られたらそれまでです」

 

「そう、なら仕方がないわね」

 

飛鳥が指を鳴らすとソレを合図にガルドの体を縛り付けていた力が解かれた

 

「こ・・・小娘がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ガルドの体が激変し、タキシードは弾け、体毛が黄色と黒の縞模様になった。ガルドバはワータイガーなんだ

 

「テメェ、どういうつもりか知らねえが・・・・俺の上に誰が居るかわかってんだろうなぁ!?箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!!

俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が」

 

「『黙りなさい』。私の話はまだ終わってないわ」

 

先ほどと同様にガルドの口が閉じられる。しかしガルドの怒りはそれでは収まらずガルドの腕が飛鳥を襲う。

耀と共に飛鳥とガルドの間に割って入った。

 

「喧嘩はダメ」

 

「安いメッキが剥がれたな、虎紳士」

 

ガルドの手を捻り回転させ、そのまま地面に押し倒す。

 

「さて、ガルドさん。私は貴方の上に誰が居ようと気にしません。きっとジン君も同じでしょう。だって彼の最終目標は、コミュニティを潰した“打倒魔王”だもの」

 

飛鳥の言葉に驚きつつも、しっかりと決意をした目でジンは答える。

 

「・・・・・・はい。僕達の最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。いまさらそんな脅しには屈しません」

 

「そういうこと。つまり貴方には破滅以外のどんな道も残されていないのよ」

 

「く・・・・・・くそ・・・・・・!」

 

俺と耀のせいで身動きが取れないガルド。やつはもうこうして悪態をつくぐらいしかできない。

 

「だけどね。私は貴方のコミュニティが瓦解する程度の事では満足できないの。貴方のような外道はズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきよーーーーーーそこで皆に提案なのだけれど」

 

飛鳥の言葉に頷いていたジンや店員達は、顔を見合わせ首を傾げる。

飛鳥は悪戯を思いつた少女のような笑みを浮かべている。

 

「私たちと『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の“フォレス・ガロ”存続と“ノーネーム”の誇り と魂を賭けて、ね」

 

 




疲れたーwwww

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