「はぁー。」
青葉の事があってから3日。俺は誰にも言えずにいた。
あの日からも青葉は相変わらず元気に写真を撮っている。いや、違う。青葉は今もあのカメラの裏で苦しんでいるんだ。
だが、俺には何も出来ない・・・
などと思っていたら
「司令官!どうしたのよ?何か困ったことがあったの?私に相談してみて!」
「雷か。いや、何でもないよ。大丈夫だ。」
「だめよ。司令官。あなた何か悩み事があるわ。私達に出来ることなら何でもするから言ってみてくれない?」
「そうなのです。私達、精一杯頑張りるのです!」
「私達に話してみてくれないか?司令官。」
「おまえら・・・」
そこにいたのは雷の姉妹である暁、電、響だ。暁はレディーを目指しているらしく。日頃から周りに気を配ってくれる四姉妹の長女だ。
電はすこしおっちょこちょいだが、精一杯頑張ってくれるいい子。
電は誰かに頼られるのが好きらしい。誰かに頼られると元気になる。
響は大人しいが、周りのことをよく見てくれている。よく暁と一緒に雷の暴走を止めてくれる。
4人ともいい子なんだが・・・
「いや、本当に大丈夫だから・・・」
あの話は誰彼構わず話すものじゃない。特にしっかりしているとはいえこの子達はまだ幼い。
「そうなのね・・・」
「すまない、そうだ!せっかくだから4人で秘書官をやらないか?」
「「「「え?」」」」
「俺も若葉は叢雲以外にも色んな人と関わらないといけないからな。だからやってみてはくれないか?」
「お願いね!任せて!司令官。」
「そうね、面白そうだし、やらせてもらうわ。」
「頑張るのです!」
「分かったよ。やってみるよ。」
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[本日より暁、響、雷、電の4名を秘書官とする]
「4人とは、思い切ったな。」
「ああ、もっとお前達の事を知らないとな・・・」
「・・・提督、何かあったのか?」
「どうして?」
「いつもより元気がないからな。若葉にはお見通しだ。話してくれ。」
「・・・青葉の事だ。」
「青葉?」
「ああ、あいつは・・・」
と、青葉の事を若葉に話した。
「・・・という訳だ。」
「にわかには信じられないな。」
「だが、本当の事なんだ。」
「それで悩んでいたのか。」
「ああ、なんとかしてアイツを助けてやりたい。」
「そうか・・・」
と、話していたら
コンコン
「司令官、暁、響、雷、電4名到着したわ。」
「ああ、入ってくれ。」
ガチャ
「さあ!司令官、お仕事は私に任せて司令官はお茶でも飲んでおいて!じゃあまずはお茶をいれるわね!」
「雷、いきなりはレディーじゃないわ。ごめんなさいね?司令官。この子そそっかしいから。」
「いや、大丈夫だ。4人とも、楽にしてくれ。」
「じゃあ若葉はこれで。」
「ああ。」
トコトコ
ガチャ
パタン
「さて、とりあえず今は特に忙しくもないからのんびりだな。」
「そうね、急いで攻略しなきゃいけない海域もないし、とりあえずは演習と遠征の手配かしら?」
「流石だな暁。」
「これくらいレディーとして当然よ。」
「それじゃあ雷と電はこのリストにいる奴を呼んできてくれ。暁と響は演習の手配を頼む。」
「まっかせて!」
「分かりましたのです。」
「了解。」
「分かったわ。」
うん。なかなか皆テキパキと動いてくれて本当に俺のやることはなくなったな。まあ、書類は溜まってるからそれでもするか。
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コンコン
「司令官、入るわよ。」
と言って暁と響が帰ってきた。
「ああ、お帰り。どうだった?」
「無事に向こう側に本日ヒトヒトマルマルから演習を開始すると連絡してきたよ。」
「そうか、お疲れ様。」
「電と雷はまだなの?」
「ああ、全員に連絡するのに手間取ってるみたいだ。」
「まあ、あの子達なら大丈夫でしょ。」
と、話し、少し書類を手伝ってもらっていたら。
コンコン
「司令官。雷、電、戻ったわ。」
「お疲れ様、入って休んでくれ。」
ガチャ
「司令官。ただいま戻りましたのです。」
「ああ、助かったよ。」
「司令官。他にすることは無いかしら?もっと頼っても良いのよ?」
「そうだな・・・じゃあ、全員分の紅茶を入れてもらえるかな?そこの戸棚にある。」
「分かったわ!雷に任せて!」
「皆いい子だな・・・」
「自慢の妹達よ。」
「そうだな。」
「司令官?」
「どうした?暁。」
「・・・いえ、何でもないわ。」
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その日の夜、俺はまた青葉のことを考えていた。
(青葉・・・どうすれば・・・クソッ!)
「司令官?」
「誰だ!」
「わっ!急に大声出さないでよ。私よ。暁よ。」
「ああ、暁か・・・すまないな。どうしたんだ?こんな所で。」
「夜のお散歩よ。」
「流石、レディーだな。」
「今はそんなこと関係ないわ。」
「ん?」
「目の前の悩んでいる人1人助けられなくて何がレディーよ。今の私はただのおこちゃまよ。」
「そうか・・・・・・」
暁は俺のことが心配で様子を見に来てくれたらしい。だが・・・
「・・・すまない」
これは拒絶だった。俺の事を本気で気にしている暁に向かってこの返答はもはや失礼だ。だが、俺自身まだ整理が付いてない。そんな話は暁達には出来ない。
「そう・・・分かったわ。もう寝るわね。お休み、司令官。」
「ああ、お休み。明日も4人だから頼むな。」
「ええ、任せて頂戴。」
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(今日のやることは・・・あれとあれと・・・後あれもするか・・・)
と考えながら執務室を開けると
「司令官!遠征の準備と演習の手配は出来てるわよ!他になにか頼りたいことはある?」
「今電が皆に連絡事項を伝達しているよ。司令官はそこで休んでて。」
「お、おう・・・?」
「司令官。今日中に提出する書類終わらせておいたわ。後は司令官のハンコだけよ。」
「あ、ああ。・・・よし、これでいいぞ。」
「はい、ありがとね。」
ガチャ
「司令官。皆に連絡事項を伝達してきましたのです。」
「あ、ああ。ご苦労。」
「他になにかすることはあるかしら?」
「いや、遠征組が帰ってくるまで暇だが・・・」
「それじゃあ海に行かない?気分転換になるわよ。」
「わ、分かった。」
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「・・・なあ、皆。」
「何?司令官?何かして欲しいことがあるの?」
「いや、そうじゃなくて・・・今日はどうしたんだ?」
「最近司令官が元気なかったからね。私達で出来ることを探したのさ。」
「そうか・・・」
「司令官さん・・・最近時々とても怖い顔して悩んでいるのです。電達は司令官が笑っているのが好きなのです。」
「そうか・・・皆、心配かけたな。」
「これくらいレディーとして当然よ。ところで司令官。今夜暇かしら?お部屋にお邪魔してもいいかしら?」
「ああ、構わないぞ。」
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コンコン
「司令官、暁よ。」
「入ってくれ。」
ガチャ
「お邪魔するわね。」
「あれ?1人か?」
「あんまり大勢でお邪魔するのは迷惑だと思ったのよ。」
「そうか、気遣い感謝するよ。」
「このくらいレディーとして当然よ。」
「そうか。そうだ、ちょっといい酒を手に入れてな・・・飲むか?」
「ええ。戴くわ。」
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「・・・・・・ねぇ。司令官?」
「どうした?」
暁は酔ったのか俺の膝の上で酒を飲んでいる。
「司令官は1人で背負い込み過ぎなのよ。雷じゃないけど、もっと周りを頼っていいのよ?」
「・・・・・・」
どうやら、暁には何から何までお見通しらしいな。
「司令官。私達には荷が重いって考えているでしょ。」
「・・・ああ、そうだ。」
「そこよ。その話、若葉には話したんでしょう?」
「本人から聞いたのか?」
「女のカンよ。」
「ふっ、そうか。」
「同じくらいの若葉は信頼しているから話すの?私達は信頼できないから話さないの?私達だけじゃダメなの?私達だけじゃない。他の皆もあなたの事が大好きよ。後はあなたの気持ち次第。皆あなたを待っているのよ。」
そう言いながら俺にもたれてきてくれた。
「ありがとうな、暁。」
そういいながら俺は、後ろから暁を抱きしめた。
「俺・・・色んなものが見えなくなっていたな。これからはお前らにもっと頼らせてもらうな。その分。もっと頼りがいのある司令官になってみせるよ。」
そう言ったら
バンッ!
「そうよ!司令官!もーっと私に頼っていいのよ!」
「電も本気で頑張るのです!」
「私も、司令官のために全力を尽くすよ。」
「お前ら・・・ありがとうな。俺、もっと頑張るよ。」
「まだ話したくないなら、それでもいいわ。でも、ずっと私達は待っているわ。それだけ覚えておいてね。」
「ああ。もう大丈夫だ。」
そう、俺だけじゃない。皆で青葉を救ってやる。
俺はそう心に誓った。
更新遅れて申し訳ございません
暁を立派なレディーにしたら、バブみ感じるいい子になった。まぁいいか。