叢雲と仲直り?をしてから数日。この2人の本音を知れたのはいいがほかの人と話すのはまだ少し勇気がいる。
「提督、大丈夫か?」
「あんたのその性格治ってないのね・・・大丈夫かしら・・・」
「う、うるせぇよ。こっちだって好きでコミュ障やってんじゃないんだよ。」
ちなみに若葉の休暇が終わってからずっと2人が執務室にいる。秘書官が2人に増えたみたいだ。だが2人とも優秀で仕事がやりやすくなったから嬉しい限りだ。
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コンコン
ドンッ!
「てーとくさーん!遠征終わったっポイー!」
「提督、戻ったよ。」
「ぐふぉ!?ゆ、夕立。飛びつくのはやめてくれ。」
俺の腰に抱きついてってかしがみついてポイポイしてるのは白露型の夕立。そして後ろに控えてるのは同じく白露型の時雨だ。
「提督さーん!夕立遠征頑張ったからご褒美欲しいっぽい!」
「夕立、あんまり提督を困らせちゃダメだよ。」
「いや、いいんだ。これで間宮さんのところでアイス食べてきていいよ。」
といって間宮さんアイスのチケットを2枚渡した。
「ありがとうっぽい!ぽい?2枚っぽい?」
「ああ、お前と時雨の分で2枚だ。」
「て、提督。僕の分はいいよ。」
「いいよいいよ、姉妹2人で仲良く食べてきなさい。」
「じゃあ・・・お言葉に甘えるね。提督、ありがとう。」
「ああ。」
パタン
「全く。夕立はちょっと激しすぎるな。」
「悩みとか無さそうね。」
「ああ。」
「寧ろ悩みがあるのは・・・」
「時雨の方っぽいな。」
「提督。口癖が移ってるぞ。」
「マジっぽい?」
「移ってる移ってる。あんたホントに大丈夫っぽい?・・・あっ/////」
「叢雲・・・お前もか・・・」
「ち、違うわよ!/////」
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「ねぇ、時雨?」
「どうしたの?夕立。」
「夕立は知ってるっぽいよ?時雨が毎晩「提督。提督。」って言ってるの。」
「ど、どうして知ってるの?/////」
「ルームメイトだから当たり前っぽい。」
「ううっ・・・」
「提督さんの事が好きならもっと提督さんに近づけばいいっぽいのに。」
「無理だよ。提督の周りには若葉ちゃんと叢雲ちゃんがいるもん。僕なんて見てくれないよ。」
「ポイー!時雨は引っ込み思案過ぎっポイー!」
「夕立はもっと大人しくしなよ。毎晩ベットから落ちかけてるよ。」
「ぽい!?なんで知ってるっぽい!?」
「ふふっ、ルームメイトだからね。」
「むー、とにかく!時雨はもっと自分を出すべきっぽい!」
「ううん。僕じゃダメなんだ。僕は・・・」
「ぽい?」
「ううん!何でもないよ。」
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(時雨・・・いつも姉妹の夕立と一緒にいるのを見るな・・・あいつの悩み・・・か・・・うーん。やっぱり俺は頭を使うのは苦手だ。どうしたものか・・・)
「提督?どうしたの?」
「お、時雨か。1人か?夕立はどうしたんだ?」
「廊下を走っていたら叢雲にぶつかっちゃってね。その時に叢雲が持っていた書類をダメにしちゃったからお仕置きを兼ねて書類を書かされているみたい。」
「あいつ・・・何やってんだよ・・・」
「ところで提督、さっき何か悩んでいたみたいだけど、どうしたの?」
「あ、いや、何でもない。大丈夫だ。」
「そう・・・」
(う、ションボリされた・・・)
「提督、何かあったら僕になんでも相談してね?僕でよければ力になるよ。」
「ああ、ありがとう。」
「これからお昼?僕も一緒に行ってもいいかい?」
「ああ、勿論いいぞ。」
「ありがとう。じゃあ、行こうか。」
(うーん。やっぱり時雨の悩みが分からない。)
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「ご馳走さま。」
「ふぅ。美味かった。」
「提督はいつもお昼はお蕎麦だね?」
「ああ、蕎麦好きだし、すぐ食べ終われるからな。」
「ふーん。・・・・・・・・・」
「・・・・・・なぁ、時雨。」
「どうしたんだい?提督。」
「お前。最近悩みとかないか?」
「え?」
「いや、最近お前の事が気になってな。」
「ぼ、僕の事が気になって・・・」
「あ、いや。やましい意味は無いぞ。」
「そう・・・・・・僕は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。今日の演習僕の番だから行ってくるね。」
「ああ、演習だからと言って気を抜くなよ。」
「分かっているよ。」
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(提督への思い・・・・・・・・・分かっているいるけど、提督の周りには若葉や叢雲がいる・・・そして僕・・・僕だからダメなんだ・・・僕がダメなんだ・・・提督・・・)
「ぽい!?時雨!危ないっぽい!」
「え?うわぁ!?」
「ぽいー!時雨が大破したっぽいー!」
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「・・・ううん・・・ここは?・・・」
「ここは医務室だ。お前は演習中に砲撃を受けて大破判定。ダメージが酷かったからこうして休んでいるんだ。」
「て、提督!?どうしてここに?」
「お前が心配になって見に来たんだ。」
「そう、そうだったんだ。ありがとうね、提督。」
「・・・時雨。」
「どうしたんだい?」
「お前やっぱり何か俺に言ってないことがあるだろ?」
「・・・・・・・・・どうしてそう思うんだい?」
「お前は真面目な性格だから演習中に気を散らして砲撃を食らうなんてこと無いはずだからな。」
「僕の事を買いかぶりすぎだよ。」
「いや、そんな事は無い。お前はいつも、どんな任務でも俺のためと言って全力を尽くしてくれた。だから今度は俺がお前の力になりたい。だから、話してくれないか?」
「・・・・・・・・・僕の悩みはね、提督。君の事なんだ。」
「俺の?」
「うん。提督はかっこよくて、僕らの事を気にかけてくれて、いつも最善の指揮を取れるように頑張ってくれて・・・僕はそんな提督の事が大好きだったんだ。でも、提督にはいつも叢雲がいて提督を手助けしていた。その次は若葉だ。彼女はあまり喋らないけど。やっぱり提督の事を思ってくれて行動で示す。僕はあの2人には勝てないよ。だから提督に言われたことは何でもしてきた。演習頑張ったり、出撃もこなした。提督のために。提督に喜んでもらえるために・・・そう思っていた。それでも、提督は僕の事を見てくれなかった。いつも若葉がいて、叢雲も最近また一緒にいる。正直言うとね?僕はあの2人が羨ましい。それどころか、嫉妬すらしているよ。醜いだろう?自分の好きな人をとった人を殺しそうなくらいに嫉妬している。妬んでいる。だから、僕じゃダメなんだ。こんな僕じゃ、いつか提督も傷つけるかもしれない。だから、もういいんだ。もう・・・」
・・・俺は提督失格だな。周りを見ていなさすぎて、こんなに思いつめてる人に気づかなかった。俺の事を思って、俺のために自分を殺してまで献身的に戦ってくれる人の事を・・・気づかなかったなんて。
「時雨・・・」
俺はそう呟いてベットの上の時雨を抱きしめた。
「提督!?ダメ!やめて!」
「どうして?俺の事を思ってくれているんだろ?」
「ダメなんだ!今日の事で提督の事を諦めようって思っていたんだ!こんな事されたら、君のことを諦めたくても諦めないんだよ!」
「いいんだよ、それで。」
「え?」
「お前の尊敬する叢雲と若葉はそんな事では挫けない。お前の愛する俺はそんな事でお前を嫌いにならない。大丈夫だ。もっと周りを頼っても。もっと周りに助けてもらっても。その分誰かを助けてくれれば。」
「提督・・・」
時雨が俺の襟をキュッと握ってくれた。
「・・・僕・・・提督の役に立ちたい。」
「ああ。」
「もっと強くなって提督に頼られたい。」
「なら時雨の演習の量を増やそう。頼むぞ?」
「それから・・・それから、提督の生活を支えたい。毎朝ご飯作って起こしたり、お弁当作ってあげたりしてあげたい!」
「それは助かる。」
「提督・・・提督・・・うわあああああん!」
「よしよし、今までずっと頑張ってくれていたんだな。ありがとう、本当にありがとうな、時雨。」
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コンコン
ガチャ
「てーとくさーん!夕立頑張ったっぽいー!褒めて褒めてー!」
「提督!僕、ボスを倒してMVP取ったよ!」
「お、そうか!よく頑張ったな!お疲れ様!」
あれから時雨は夕立と共によく執務室を訪れて仕事を手伝ってくれる(時雨だけ)。
時雨は宣言通りに毎日朝食を作ってくれて、弁当も作ってくれようとしてくれたのだが、流石に叢雲と若葉がダメだと言った。話し合いの結果、3人の当番制になったようだ。
それにしても・・・時雨がこうなってから、犬が2匹いるみたいだなー。