今日も1日何もなく、仕事ももうすぐ終わり後は帰るだけなのだが……
「叢雲。コーヒーを入れてくれ」
「アンタの手にあるコップの中の黒い液体は何かしら?そしてこのやり取りはさっきから5分おきにやってるわ」
「そ、そうだったか?」
「落ち着きなさい」
「これでも落ち着いているつもりだ」
「どこがよ……まぁ、気持ちはわかるけどね」
机の上にある書類と一つの指輪。そう、ケッコンカッコカリの書類だ。
数日前に若葉がついに最高練度になりケッコンカッコカリの条件を満たした。後は指輪を渡して書類を書くだけなのだが、当の俺たちはここ数日顔を合わせていない。初春達が準備がいる!と言って若葉とともに休みを取りどこかに出かけてしまった。
「戻ってきた時若葉にどうやって渡すか悩むんだよ」
「簡単よ。膝ついて俺と結婚してください!って言えばいいじゃない」
「うーん……ポーズというかなんというか……心構え?が出来てないんだよ」
「さいで。若葉は幸せ者ねこんなに思ってもらえるなんて」
「お前にはいないのか?」
「酸素魚雷をぶち込むわよ」
「わ、悪かった……」
「ったく……」
「不安なんだよ……」
「……」
「俺は若葉を幸せにできるのか?若葉は俺の事を永遠に思ってくれるのか?と」
「……はぁ。バッカじゃないの!」
「なに?」
「アンタそんな事でウジウジ悩んでたの?」
「そんな事とはなんだよ!俺は若葉の事を思って…」
「それが若葉を信じきれていないって言ってんのよ!そうやって若葉の愛を疑うこと自体が若葉を信用していない証拠じゃないの!?」
「なっ!?……」
「…………今日の仕事はこれで終わりよ。後は自分でどうにかしなさい」
と叢雲は俺に書類を押し付けて出ていった。
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「…………しっかりしなさいよ。私の…する司令官」
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俺は一人執務室にで暖炉にあたりながら指輪の入った箱を見ながら考え込んでいた。
叢雲の言ったことは正しい。恐らく、いや絶対に若葉を俺を永遠に愛してくれる。俺のもちろんそのつもり。だが何かが足りない。その何かが分からない……。誰かに相談はできない。叢雲は自分でどうにかしろと言った。すなわちこれは俺一人の問題なのだ。
そう悩んでいたが、どうやら時間のようだ控えめにドアをノックする音が聞こえた。
「提督?私だ、若葉だ。」
「あ、ああ。今開ける」
そう言ってドアを開けて若葉を部屋に招き入れる。
若葉は服こそいつもの制服だが、シャツのボタンもキトンととめ、ネクタイもしめてある。
「……似合ってるぞ」
「初霜にやられたんだ。あいつは私の世話を焼きすぎる」
「いいじゃないか、それだけ愛されているんだよ」
俺が「愛」と言った途端に若葉の顔から火で出るほど赤くなりモジモジと照れてしまった。それで俺も意識してしまい。二人の間に妙な時間が流れた。
ゴーンゴーンゴーンゴーン
と時計が12時を知らせる金を鳴らした時に二人は文字通りに飛び上がるようにし、ぎこちないまま俺は若葉を暖炉の前に座らせた。
「……」
「……」
しかし、相変わらず沈黙のみが流れる。
「そ、そう言えばこの数日何をしていたんだ?」
「初霜たちに連れられていろいろ買い物だ。式場を見に行ったりもした」
「し、式場……」
「あとはウエディングドレスとかな」
「見てみたいな」
「正式な結婚はまだだ。この戦いが終わってからだから。私はまだここで止まるつもりは無い。今の先、明日の先に向かいたい」
そう言われて俺はハッとした。
「そうか、そうだったんだな……」
「提督?どうしたんだ?」
「若葉はケッコンをただの儀式でその先を見ていた。戦いが終わり、その先を……。俺は、今しか見ていなかった。ケッコンの事を気にして、若葉は俺の事を愛してくれるかなんて下らないことを気にしていた。分かっていたんだ。若葉がケッコンの事をあまり気にしていないことを。」
「提督……」
「いや、大丈夫だ。若葉の姿をみてふっきれた」
「そうか、ならもう心配いらないな」
俺は若葉のシャツのボタンをいつものところまで外し、ネクタイも緩めた。
そして若葉の前で膝をつき指輪を取り出した。
「若葉、その格好。いつものその格好で聞いてくれ。俺は若葉のそのままの姿を愛する。若葉も俺のそのままの姿を愛してくれ。お互いを大きくも小さくも見ない。ありのままの姿を愛し合おう。そして、ともに明日のその先に向かおう。その為に、この指輪を受け取ってほしい」
「提督、そのまま。そのままで聞いてください。私はあなたの全てを愛します。あなたは私の全てを愛してください。周りなんて見ずにお互いの全てを愛し合いましょう。そして、あなたと共に明日のその先に向かいたい。その為にあなたからその指輪を受け取ります」
「若葉」「提督」
「「ケッコンしてください」」
俺は若葉の左手の薬指にケッコン指輪をはめて若葉を抱きしめた。若葉も俺の背中に腕を回してヒシと抱きしめてくれた。
どのくらいそうしていただろうかどちらともなく離れて見つめあっていたら……
「いけ!そこでキスするのよね!」
「ハラショー。それは見てみたいね」
「はわわ。や、やめた方がいいのです……」
「でも気になるじゃない!」
「ポイー!よく見えないっぽいー!部屋の中に突撃っぽい!」
「夕立。だめだよ。そっとしておかないと」
「青葉見ちゃっています!」
「あ、青葉…怒られるよ?やめなよ」
「ちょっと、不知火。やめなよ!」
「そういいながら陽炎もバッチリ見ていますよ?」
「いいねーわびさびだねー」
「北上さん、流石に若葉さんに悪いんじゃないですか?」
「ご主人!そこでベッドに押し倒すのです!」
「ちよっと漣、やめなさいよ!流石にクソ提督が可愛そうよ」
と、隠す気もないような奴らが扉の前でひしめき合いながらこちらを除いていた。
「…………あいつらはあれで隠れているつもりなのか?」
「さあ?」
「まぁ…いいか」
と言いながらドアを勢いよく開けると暁、響、雷、電、夕立、時雨、青葉、衣笠、陽炎、不知火、北上、大井、漣、曙が雪崩のように倒れ込んできた。
「……………し、司令官?もしかして怒っちゃってたりします?」
「……………いや、怒ってないよ」
「おや?意外ですねてっきり青葉は覗きのお仕置きを食らうと思っていましたのに」
「……………まぁ、それについてはちょっと怒ってるけど。今日はめでたい日だからな。ちょっとくらいは許すよ。夕立、時雨、不知火、3人はパーティの準備をして来てくれ」
「はーい」
「ぽーい」
「了解」
「暁達は皆を呼んできてくれ。せっかくだから皆で祝おう」
「任せといて!」
「青葉、記念に写真を撮ってくれ」
「了解です!青葉におまかせ!衣笠、ちょっと手伝って?」
「分かったわ」
「北上!お前も手伝わないとパーティの飯抜きにするぞ」
「え〜、めんどくさい…」
「北上さん?一緒に準備しましょう?」
「ま〜大井っちが言うならしょうがないか〜」
「後の皆は食事の用意を手伝ってくれ」
「「「はーい」」」
と、おおまかな指示を与え皆がめいめいに動いていたら若葉が俺の袖をキュッと掴んだ
「うん?どうした、若葉?」
「提督。私はいまとても幸せだ。月並みの言葉だがそれしか思い浮かばない。とても、悪くない。いや、とても、いいものだな」
「ああ……そうだな。仲間がいるというのはこんなにもいい事なんだな」
俺は若葉をもう1度抱きしめて
「若葉、これからもよろしくお願いする」
若葉も俺も抱きしめ返して
「提督、これからもよろしくお願いします」
お久しぶりです、keykaです。生きてます
今回も非常に投稿が遅れてしまい誠に申し訳ございません。理由としては、実は11月には若葉とケッコンカッコカリはしており、その時の達成感で一時的に艦これ自体もやめていて(今もリハビリ状態でやっています)そのまま小説のモチベーションも途絶えてしまったという始末です
モチベーションが維持出来ないならこれで最終回でもいいかなと思いましたが、まだまだ抱きしめたい娘がいっぱいいるのでやめられませんね(笑)
さて、辛気臭い話はここまで!友人から「お前はまだ若葉の話ばっかり書きすぎだ」と怒られたのでまたいろんな娘の話を書いていろんな娘に抱きついてやろうと今からワキワキしています。
それでは次回もよろしくお願いします。
コメント、マイリスト等々をして頂けると作者は尻尾を降って喜びます。また、Twitterでもボソボソ進捗をあげていますので(Twitterでkeykaと調べていただければ若葉マークの人が出てきます。9割近くはくだらない雑談をしていますが)そちらも是非。