「のび太君、ここは一体なんの部屋かね……」
「……」
エイフマンの前には無数の腕や足、血などの明らかに人間だったものが散らばっている。いつ見てもこの光景は来るものがある。
あえて彼には伝えてなかったが……無理か。
教授確保から数日前、俺は犯してしまったのだ。この世に開けてはいけない箱、触れてはいけないものがあるように秘密道具にも使ってはいけないものが存在した。
「 水35リットル、炭素20kg、アンモニア4リットル、石灰1.5kg、リン800g、塩分250g硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、
ケイ素3g」
「それは……」
「結果は知っていても挑戦してみたくなってしまったんですねぇ~、これが」
そして使ってしまう、その結果はこれだ。
俺はある映像を教授に見せる。彼はそれを見て顔をしかめた。
ドラえもんの持つ道具で最も恐ろしいとも呼ばれる道具である人間製造機。本来、超能力者たちを作ってしまうこれを俺は材料をとあるアニメよりにしたり、別の道具を加えたりして新たに生物を作り出すことに成功。しかしそれは人間と呼べるものではなくおぞましい怪物を作り出してしまった。いや、最初は人間とも呼べただろう、しかし時間が経つにつれてこれは本性をさらし始める。変化があったのは感情、そして形状だ。
感情は制御不能とばかりの暴走ぶり、形状も人間から離れていきカマキリのような体になっていった。その瞬間、奴の眉間に銃弾を叩き込む。それを俺はただ形状が変わったものを何十、いや何百回と殺し続けた。
しかしそこ果てにあったのは目の前の死骸の山で決して真っ当な人間が生まれることではなかった。
ただ人手がほしい、一人はさみしい、そんな当たり前の感情から始めた作業だったんだが。
「禁忌ってやつに触れた結果ですね」
「しかし、得たものはあったのではないのかね?」
「ええ、その通り」
あのイノベイトですら改造人間である。本当に初めから作り出した人間というものはまともに出来たためしはない。
「故に作業用ロボットを使ってます」
「うむ。これらはよく指示を判断し、速やかに動いてくれる」
「はい、これで十分なんですよ。これでね……」
優秀な人材、個性がある人材はともかくそれ以外、始めから作る人間なんて正直このロボットで十分なのである。ちなみにこれはスペアポケットの中にあったのを発掘して複製したロボットだ。このロボットは人工知能ではなく他の面で優秀な性能を示している。
「でも認められなかったんですよ。あれが人間だなんて……だから」
俺は命は奪っても、人間の命はまだ奪ってない
「しかし目を背けてはいけない。これはどんなに小さな研究でも君がやったことなのだから」
「わかってますよ」
だからこそ、この部屋を残しているのだから。
俺はこの後も、教授を他の部屋へ案内した。
「うーむ、おいしいのだがなにか足りない」
「まぁ、秘密道具で出したものなんで。後は腕のいい料理人との違いということで。今度オススメの料理に連れてきますよ」
「ほう」
「まぁ土曜日しかやってないんで合わせなくちゃなりませんが」
俺と教授はこの空間の食堂で食事を取っていた。
食に関してだが俺は実はある異世界に向かったのだ。まぁあれをいけない異世界と大きくいえるかは分からないが。比較的安全に飯が食えるし、なにより美味しい。トリコの世界も一番に出てきたがあれは魔境だからな。力を付けていない今、とてもではないが行くきは起こらない。
それとこの空間についてだがいつまでも例の空間と呼ぶのも変なので名前をつけることにした。そう……
Nベースと名付けた。
……えっ、ダサい。そこは気にしない気にしない。
とりあえずこのNベースは今ここ食堂に加えて、シミュレーションルーム、戦闘演習場1、2、3、機体の保管庫、研究室、温泉、後は何個か個室があるという形になっている。
演習場は遮蔽物が少ない草原、水の中、宇宙空間というようなところになっていてかなり広く設計されていた。他の施設の増設は教授やこれから仲間になるであろうメンバーと話し合って決めていくつもりである。
「さてのび太君、揃えてもらいたいものがあるのだが」
「じゃあこちらに詳しく……」
着々と専用機について案が組上がっていく。完成するのがとても楽しみだ。
このようにこちら側は向こうで時間を止めて教授と話したり、訓練したりと充実な時間を過ごしていた。訓練の成果については近々に試すことになるだろう。
……実に楽しみだ。
俺は自然と浮かべる笑みを抑えることは出来なかった。
しかし本当に奴の道具は恐ろしい。実はドラえもんは世界を滅ぼすために作られた説。
今回、別の世界の情報もちらつかせました。