ハクトウワシは正義を求める   作:ベルマッキャン

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この作品はとりあえず劇場版までやる予定です。
それと第一期の最終話は原作と違った感じになります。


新たな日常

フレンズ達による反撃作戦はほぼ成功した。

その要因の一つにセルリアンの存在もあった。

当然だがネウロイとセルリアンは別物である、無差別攻撃を繰り返すネウロイに流れ弾の一発がゆきやまちほーを直撃。

温泉の源泉で漬け物のように封印されていた超大型セルリアンが飛び出し小型ネウロイの殆どが誘因、機動戦力の無い大型要塞と化しスマートにやっつけようとしていた。

 

「留鳥グループは引き続き遠距離攻撃を続行、狼集団は敵のヘイトを撹乱!」

 

タカに自信を取り戻させる為に作戦はタカがしていた。

立案者と言う重圧は確かに重いが、それでも上手く進んでいる。

 

「包囲網が完成した」

「...殲滅して」

 

ハヤブサの報告にチェックメイトを入れるべく決断し、ネウロイ達は案外呆気ない終わりを迎えた。

最も補給するにしても巣がないネウロイ達はいずれ日干しになっただろうが、事は一刻を争うしそもそも彼女たちには分からない。

 

「綺麗...」

 

砕け散るネウロイ達の結晶を眺めながらミライは思わず呟く。

だがその時だった、突如コアがあった部分から黒い球形の何かが生まれたのである。

包囲殲滅を終えて集まって居たため呑まれかけたフレンズ達は何人も居たが、殆どは助かった。

...虚無感と自己嫌悪で動けないタカと、タカを助けようとしたハヤブサを除いて。

 

 

心地の良い太陽がゆっくりと昇る。

午前6時頃だろうか、ハクトウワシはベッドを出て夜が明けつつあるのを知り熟睡したのに気づいた。

それとベッドの隣にある机におにぎり、沢庵が置かれていた。

慣れていない英語と、料理の内容から宮藤だと気づく。

 

「ん?」

 

窓の外を見ると、坂本少佐が剣の素振りをしている。

あのネウロイが真っ二つなのを見るに本当に凄い人なのだろう、しかし物理的に切れる長さでは無いような。

そんなことを思いながら、何か必要な物が無いか考えてみる。

目覚まし時計が無いのは問題だ、それに腕時計もいる。

あと日記帳が欲しい、何かを書き留め誰にも知らなくても良いから心を吐き出す貯水地が必要だ。

ハクトウワシはさしあたってそれくらいと思い、今度チャリントン氏に伝えておこうと覚えておく。

中身は焼かれたスパムのお握りを食べて腹も膨れ、図書室にでも行こうかと思っているとドアが開かれる。

誰か部屋を間違えたと思っていると、入ってきたのはデスマーチを終えた社畜の眼をしたサーニャであった。

 

「リトヴァクさん部屋間違えてますよ」

 

ハクトウワシの言葉を右から左へ無視し、サーニャはハクトウワシのベッドに倒れ伏した。

まあ、騒ぐほどでもないし夜間一人で回りに気を配って飛ぶと言う精神的磨耗はこうでもしなきゃ快復出来ないのだろう。

ハクトウワシにもそれくらい理解出来たし、そっと笑顔でお腹だけ毛布をかけ、即刻足で蹴飛ばして取っ払う姿に思わず失笑した。

探検ついでに基地内を歩き、ストーブの暑さで喉が乾いて飲み物でも飲もうと食堂に歩く。

 

「~♪」

 

bigironを鼻歌で歌いながら、湯を沸かせて間にミルクとシロップを取り出す。

コーヒーは素晴らしいことにタンポポの代用コーヒーではなく本物だ!。

砂糖は軍需物資として政府が徴収し、サッカリンは発ガン性を向上させる、それ故ペブシはシロップで代用したと言う逸話がある。

ゆっくりと砂糖とミルクが入ったカフェオレを堪能していると、廊下でエイラがキョロキョロと回りを見ていた。

 

「サーニャ見てないか?帰ったのに部屋に戻って無いから倒れたかと」

「私の部屋で寝てますよ」

 

ハクトウワシはありのまま脚色せずに事実を伝えた。

だがエイラはありのままに受け取り過ぎた、アメリカのスラングに於いてコーヒーと男女が合わさると性的隠喩になる。

詳しく言えないが多少違うだけのパラレルワールドだ、無論リベリオンにも存在する。

寝た、コーヒー、実際としては暖かいコーヒーを味わっているだけだがやけに達観した顔。

ませたエイラはハクトウワシの両肩を掴んで顔を近づける。

 

「エイラ...その、見境なしだったんだな...」

 

引き吊った笑みをしてシャーリーはそう言うと、エイラは顔を赤くして気絶した。

シャーリーは困惑して「冗談言ったのに」と頬を突っついて、ハクトウワシを見る。

 

「でさあ、サーニャとマジなの?」

「いえ...私の部屋に迷い込んで毛布かけて来ただけです」

 

それを聞いたエイラは初代ガンダムめいた立ち上がり方をして、ハクトウワシの部屋へと走っていくのだった。

 

「エイラさんって...」

「へたれ」

「えっ!?」

 

そんな微笑ましい会話が交わされている頃、ガリアのサン・ナゼール方面から大型ネウロイ一体が大西洋に進出するのを大陸偵察中の扶桑伊17号潜が捕捉。

同艦艇のウィッチは被弾したもののヒスパニアに一時退避した。

そして大型ネウロイの進路方向に、扶桑陸軍を載せた扶桑郵船の船団があった。

事を憂慮した扶桑陸軍は501にスクランブルを要請した。

 

 

船団護衛旗艦日進は元々ノイエカールスラントの軍艦だ。

ネウロイの集団的侵略行動以前に扶桑が購入し、今やウィッチ母艦構想の失敗例になって要らない艦艇の掃き溜めと言われる護衛総隊に配属されている。

後部を甲板にしたので一応の離着艦は出来るが事故の危険性によりウィッチなんていない。

それ故ただの無駄である。

海軍の参謀も将軍も皆が皆護衛なんて嫌がって嫌い、花がないと護衛に大型艦艇の援護を着けなかった。

事変だけで9万トン近い商船が沈んで彼らは理解しなかった、国力を投げ込む近代の戦争を。

 

「長門の馬鹿どもめ!軍人が好き嫌いで民間人を助けないってなに考えてるんだ!」

 

全ての艦船の艦橋で同じような言葉が口から飛び出る。

横須賀と呉で高級旅館の戦艦連中や、北海と言う利権も資源もない所に空母を送る癖に駆逐艦すら渋る。

その結果みすぼらしい護衛艦となった。

護衛艦は日進を旗艦に峯風型と言う旧式駆逐艦と、睦月型が四隻のポンコツ旧式駆逐隊。

あとは糞の役にも立たぬフリゲートが四隻、それに申し訳程度の武装した商船や油槽船。

兵員輸送艦油槽船貨物船合わせて40隻、その内五隻は一万トンの排水量をした艦船だ。

 

「敵影捕捉!」

「頼れるのは他国かあ」

 

見張り員の報告を聞いて退避する船団から、何隻かの頼もしそうな軍艦を船団司令大井大佐が見ていた。

ヒスパニアが購入したザラ級巡洋艦のマドリード、サラゴサ、マラガ。

それにリベリオンの駆逐艦フレッチャー、ラフィー、マハンだ。

ヒスパニアは小型艦艇を揃えれる国家的余力が無かったので巡洋艦のみである。

だがリベリオンは近海に居る空母レンジャーと空母フィリピンシーのウィッチを向かわせている、

彼らは大陸間輸送に於ける護衛の重要さに気づいていたからだ。

 

「対空戦闘用意!」

「対空戦闘用意!」

 

復唱と共に前部の主砲が旋回する。

丁字で火力を全力で叩き込んで時間を稼ぐ、足の遅い船団を出来うる限り守るためだ。

双眼鏡で見るとネウロイはシュモクザメのような先端をしていて、それでいて後部には飛行機の尾翼を伸ばしたような翼らしきものや。

主砲らしいのが先端上部、それに真ん中の上下にある窪みにありどれも三連装だった。

 

「各艦装填よし」

 

発光信号をうけ、元々頼りにならない小型艦を無視して巡洋艦達で射撃を開始する。

 

「撃ちィー方ァー始め!」

「テェッ!」

 

号令一下の元に主砲が閃光し、着色料の詰まった各艦の砲弾がネウロイを穿つ。

最も少し揺らいだ位で、すぐに傷口を回復させていき砲を向ける。

 

「あっ、来た」

 

見張り員の素の言葉と共に日進は下から上へ斜めに叩き切られ、煙突とマストが溶断される。

無酸素が生まれたことにより火が消えた日進の行き足が止まり、通信機能は著しく損傷していた。

溶断された煙突が重力に従い後部甲板を叩き潰して発火し出す。

旗艦が呆気なく戦闘、指揮能力を喪失した為三か国艦隊は次の旗艦をどうするか迷い混乱は統制されない射撃を引き起こす。

ネウロイがかっと赤く輝くと共に運良く回避した味方か、真っ二つに轟沈する小型艦艇が出来上がる。

あまりに、無力であった。

 

 

ハクトウワシはF6Fストライカーを穿き、ラダーとエルロンなどの動作を確認し離陸した。

数回基地上空で旋回して高度を稼ぎ、そして空中で編隊を組み上げる。

傘型編隊を形成したストライクウィッチーズは陽動攻撃の危険性からあえてハルトマン、リネットなぜか気を失っているエイラを残した。

型破りに敵を突き崩すハルトマンの相方なら狙撃に秀でたリネットは安全だ、それに明後日から北海で作戦が始まるので手早く片付けて起きたいと言うのがミーナの考えであった。

 

「ベル、お前は私のペアだ。

前は任せたから後ろは頼んだぞ!」

「JA!」

 

バルクホルンは良い返事だと笑い、巡航速度で向かう。

戦闘の閃光が見えてきた頃、坂本少佐と芳佳が高度を下げる。

 

「なんで下げるんです?」

「あのストライカー速度に強くないのさ、空中分解するから動力降下しても大丈夫な位高度を下げてるんだよ」

 

バルクホルンの説明を聞いてふーんと思っていると、ネウロイの姿をはっきりと目視した。

通信で『ペリーヌは後ろから、バルクホルンは上から仕掛けろ、コアを特定しだい私たちも同時攻撃する!』と坂本少佐が伝える。

だが皆が皆、疑問に思っていた。

あれ?ネウロイって基本群れてるよな?と。

どうするか考えていると、ネウロイのビームが油槽船べねぇぜぇら丸を直撃、発火した重油であっという間に船が燃えていく。

炎に追いたてられて海に飛び込む船員たちは、皆浮き上がって来なかった。

 

「...」

 

ハクトウワシの身体が震える、恐れではなく怒りにより。

それを感じ取ったのか、バルクホルンは振り向いて言う。

 

「肩の力を抜け、誤射されたら堪ったもんじゃないからな」

「っ!...はい」

 

深呼吸して、冷静に思考を開始する。

小型の敵はいない、ドッグファイトはないかも知れないが敵の増援もありえる。

上を取られないように周囲を気を配ろう。

そんなハクトウワシを見て落ち着いた事を確信したバルクホルンは、己も心を切り替え安全装置を解除した。

 

 

赤色の光線を受けて駆逐艦がまた吹っ飛ぶ。

 

「神風被弾!戦列を離れる!」

 

見張り員の報告を聞いて神風の方を見ると、甲板上から兵が離艦しようとしている。

竜骨が切断されたようで、神風は数分で波間に消えていった。

 

『こっちの主砲じゃ歯が立たない!』

『マハンイズシンク!マハンイズシンク!エマージェンシー!』

 

無線の声が水蒸気爆発によって途絶し、また赤い光が巡洋艦マドリードを直撃した。

艦首を叩き切られて引くも押すも出来ないマドリードも、数分して逃げ出す兵を巻き込み転覆した。

バラストに注水をしていなかったのだ。

続けて至近弾を受けて駆逐艦ラフィーが左舷外郭に甚大な被害を被りつつ、速度を落としていく。

 

「ラフィー、被害甚大!戦列を離れる」

『ワレ損害確認中、復旧ノ見込ミ遠シ。』

 

発光信号の内容を見て大井大佐は戦闘海域からの退避を命じる。

日進は元戦艦故に頑丈であるし、復旧作業を急がせている。

だが駆逐艦はそうはいかない、幸いラフィー達は機関を分散させて一応動ける位は出来た。

 

「大井大佐撤退しましょう」

 

艦長の意見具申に大井大佐は落ち着いた顔で言う。

 

「非武装の民間船舶守るためだ、第一逃げるったって何処に逃げるんだよ」

 

その時、通信員が艦橋にやって来た。

 

「報告!ストライクウィッチーズです!上空援護が来ました!!」

「よし、全艦は漂流者救出の後脱出!

着いてこれない艦艇と負傷者はヒスパニア方面へ退避だ」

 

最初から軽空母でも居ればマシだったのになあ。

そう思いつつ大井大佐は空をかけるストライカーの軌跡を見上げていた。

 




ー今回のネウロイさんー

イソカゼ型突撃宇宙駆逐艦

ヤマト2199に登場するほとんど水雷艇な奴。
松本零士SFメカでは結構大好きで、80mの設定を思い出して登場させた。
ストライクウィッチーズ2の最後まんま白色彗星で笑いを禁じ得ない、
音響監督後々2199担当してるし。

ー歴史ネター

サン・ナゼール軍港は史実で特殊作戦が行われた場所です。
ビスマルクがここでドッグ入りするかも知れないと言う想定によって港湾施設を粉々にされました。

護衛の少なさはまあ、うん、その、海上護衛戦読もうか。
べねぇぜぇら丸とか史実で燃えましたから...(正直作者は海軍より陸軍派閥)。
なおイギリス、ドィッチュランド級が恐いから戦艦を護衛に出す模様。
これのせいで海運の労働組合と自衛隊が対立していたり、正直国防ガバガバ過ぎて恐い。

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