新しい人生は新米ポケモントレーナー   作:とぅりりりり

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めちゃくちゃ勢いとノリでやりました。かなり適当なので大目に見てください。


序章
17歳にしてようやく思い出した


 

 突然だけど俺は今ポケモンの世界に転生したらしい。

 

 ぼんやりとした記憶を思い返せば前を見てなかった子供が車に轢かれそうになったところを慌てて助けようとしてそれきりだ。

 多分あの時死んでしまったんだろう。

 俺はゲームのポケモンが大好きだった。子供の頃から当たり前のようにやっていたし、高校生にもなってもまだやってるのかと言われても楽しいから!と最新作が出るたびにワクワクしていた。

 そんな俺ことヒロは、今。

 

「ぶい?」

 

 目の前に本物の、イーブイがいて、それを撫でないでいられようか。嬉しそうにするイーブイを見て抱きしめたくなるに決まっていた。

「はああああ~!! イヴかわいいなお前~!!」

「ぶいー!」

 もふもふの毛並み。自分が死んだとか転生したとかそんな前世のこととか一気にどうでも良くなった。

 子供の頃は本気でポケモンの世界に行きたいと思っていたがこんな形で叶うなんて。

「よーしよしよしよしいい子でちゅね~」

「ぶい? ぶいー、ぶいっ!」

 はぁ、かわいい。最高。何? もうずっと撫でていたい。

 このメスのイーブイは俺の誕生日に姉が捕まえてきてくれたイヴだ。

 そうだ、この世界について再確認しよう。

 

 俺のゲームで知っている地方ではない。前世の記憶を思い出す前にテレビとかでカントー地方やイッシュ地方だのの話題は聞こえてきたがこの地方は「アマリト地方」なる俺の知らない場所だ。

 自然豊かな北側と開発の進んだ南側があり、俺の住んでいるこのコマリタウンはその北と南の中間くらいにある場所だ。つまりとっても都合のいい場所。

 そして、前世の記憶が戻る前の俺と今の俺は正直言うと大差がない。というかまあ、前世を思い出しただけでほぼ同一人物だし。

 家族構成は両親と姉が1人――が、その姉がとんでもなかったりする。

 イヴを抱きかかえてテレビの前に移動し、適当にチャンネルをつけると見知った姉の姿が映った。少し気の強そうな金髪のポニーテール。きちっとした派手すぎない衣装に身を包んだ18歳ほどの美人。

 

『カリスマコーディネーターでもあり、四天王の一人でもあるアリサさんの独占取材!』

 

 そう、この地方の四天王をやってる姉のアリサは最近あんまり家に帰ってこない。忙しいことはわかってるし仲は悪くないけどまあ……姉に勝てない弟とは世の常。

 それにまあ、前世の記憶を思い出す前は優秀な姉に多少なりともコンプレックスを抱えていたのもあって俺は旅立っていない。父の仕事であるきのみハウス兼毛並みサロンの手伝いをしている。

 まあ冷静に考えるとポケモントレーナーとして旅するのって結構アレだよな……収入とか諸々。

 だが今の俺は絶好調! 姉へのコンプレックス? 美人で実力もあるパーフェクトシスターに今更嫉妬とかめんどくせぇ! 実家に帰れば仕事はある!

 なにより今の俺はたくさんのポケモンを愛でるという使命がある! いや、もちろんイヴはかわいいんだけど元々図鑑をコンプして前世ではグッズもたくさん集めてた俺としては本物のポケモンをたくさん撫でたい。あわよくば抱きつきたいしバトルもしたいしコンテストもちょっと興味がある。

「よし、ちょっとそのへんで野生のポケモンとバトルしてみるか」

 ふぁとあくびをしていたイヴがこてんと首を傾げている。そういえば俺、イヴにバトルさせたことないんだよな……。ていうかこのままだとイヴエーフィになるんじゃね? 充分なついてるだろうし。

「あ、そうだ。かあさーん」

 仕事場の方へ顔を出すと年の割には若い顔をしている母がなーにー?と返してくる。

「かわらずのいしある? ちょっと貸してほしんだけど」

「えぇ? いいけどなににつかうの?」

「ちょっとそのへんでバトルしてくるわ」

「…………あ、あなたー! ヒロがついにトレーナーになるわよ!」

「なんだと!」

 慌てて店の外の鉢植えに水やりをしていた父が駆け寄ってきた。

「16歳のときみんなが旅立つっていうのにバトルしたくないっていって聞かなかったヒロが……」

「ついに……ついに……」

 まさか家業継ぐつもりだったのにこんなにトレーナーにならないことを心配されてるとは思わなかった。まあ通過儀礼みたいなものなんだろうな……。

 そういえばゲームとかアニメとかと比べてこの地方の旅立ちは16歳と少し遅い。まあ冷静に考えれば10代で一人旅とか正気の沙汰じゃないよな。

 ちなみに今俺は17なのでほかより1年遅れている。その分はまあ、前世のポケモン知識と店の手伝いで培った体力がある……はず。

「その辺散歩してくるだけだから! イヴにバトルさせたことないからちょっと試すだけだから! ……まあ、多分近いうちに旅に出てみようかな」

 後半小声で付け足すと母も父も慌てて色々持たせようと何か引っ張り出してきた。

「ほらカバン! 去年買っといたやつがあるわ! ボールと傷薬とええっと……」

「きのみ! きのみ持たせろ! オボンにラムにヒメリにあとチイラと――」

「散歩行くレベルで何もたせようとしてんだよ」

 チイラとか旅立ちに持たせるものじゃないだろ。

 ああ、そうだ……期待っていうかこういうのしんどくて旅に出るの嫌だったんだよな……前の俺。

 まあ素直にカバンをもらって上着を着て外に出る。ここは小さめの町だが隣町が結構大きいところできのみハウスも盛況だからか結構人がいる。

 近所付き合いでも顔が知れているし店番をしていたこともあって俺が明らかに旅衣装をしているからか視線が突き刺さった。

「はぁ……ちょっと散歩するだけでこれか……」

「ぶーいー……」

 イヴが大丈夫?と前足でつついてくる。くそ、かわいいなほんとお前。

「大丈夫大丈夫。さて、さっさと草むら行こうぜ」

 

 

 

 このへん何が出るんかなー! 楽しみだはっはっー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、聞いた? 例のナントカ団の噂」

「あの人のポケモンを奪ったりする組織のこと?」

「そうそれ! 黒い服でこの辺にも出たらしいわよ」

「物騒ね……ええっとたしかレグルス団、だったっけ?」

 

 

 

 


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