天性の魔術師と王女 作:バロン
昨日の戦闘で分かったことがある
一つ、スキル≪魔術の基本≫はただのスキルではなかった
魔術の基本とは魔術を使える用にするための体の構造を入れ換えるスキルだった。
魔術の基本を使ったあともう一度スキルを確認すると魔術の基本は消えていた
二つ魔術の基本を行使した事によって新しいスキルが手に入った
スキル
魔術 ≪雷≫≪光≫≪炎≫≪錬金術≫
この四つだ魔術を鑑定した結果本当は8つの魔術が存在するようだ
炎・水・氷・雷・光・闇・土・錬金術
俺は一通り魔術を確認した
魔術・雷
(雷魔法を使えるようになる、魔力の増加でより魔力消費の大きい魔法が使えるようになる)
魔術・光
(光魔法が使えるようになる、魔力の増加でより魔力消費の大きい魔法が使えるようになる)
魔法・炎
(炎魔法が使えるようになる、魔力の増加でより魔力消費の大きい魔法が使えるようになる)
魔法・錬金術
(錬金術が使えるようになる、魔力の増加でより魔力消費の大きい魔法が使えるようになる)
そしてもう一つ手に入れたのは
魔力消費減少 レベル C
(魔力の消費が少なくなる、レベルの増加によって消費がより減少)
魔力容量増加 レベル C
(保持出来る魔力を増加させる、レベルの増加によってより増加)
最後にドルドを無力化したとき、俺の頭に鳴り響いた
≪ピロリン!!≫
と言う機械音の正体
ゼロ 10歳 鬼人族 魔術師
レベル 25
HP 2500/2500
MP4000/4000(+1000)
筋力1500
耐久1000
俊敏750
魔力3900
スキル
・経験値5倍
・空間魔力吸収 レベル D→C≪UP≫
・属性無効化 レベル D→C≪UP≫
・魔力消費減少 レベル C ≪New≫
・魔力容量増加 レベル C ≪New≫
固有スキル
・言語理解
・アイテムボックス レベル D→C≪UP≫
・サイレント レベル A
・鑑定眼 レベル S
・伝承 レベル D
・魔術≪雷≫ レベルC ≪New≫
・魔術≪光≫ レベルC ≪New≫
・魔術≪炎≫ レベルC ≪New≫
・魔術≪錬金術≫ レベルC ≪New≫
称号
・転生者
・魔道を歩む者 ≪New≫
(魔力量微回復)
・全能神の加護
(全てのスキルが少し上昇)
「あぁ、レベル上がってるわ」
目を覚ますと素振りをするドルドを見つけた
「おはようございます、早いですね」
ドルドはニヤッと笑うと手に持っていた大きな木刀を俺に降り下ろした
それを俺は見ながら避ける
昨日とは全然違う体が軽い、昨日は速くて何とか避けていた剣もまるでスローモーションのように見える
俺は敢えて剣の方へ向かいその剣を握る拳を掴みこれ以上下がることを許さない
「アッハハハハ、やはり昨日は手を抜いていたか!」
全然そんなことはなかった、確かにさばけない事は無かったが相当洗練された技の数々だった
「いや、ドルドさんの技は素晴らしかったです、今でも勝てたのが奇跡です」
「おいおい、過ぎた謙遜は嫌みだぞ素直になれ、ハハハ!」
ドルドは笑いながら馬車と馬を繋げている
ゆっくりと出発すると言う事なので俺は技を実験する事にした
「ドルドさん、少し俺運動してきます!!!」
俺はドルドに伝えると森へと走った、あんまり遅くなるなと釘を刺された
少し森の奥へ進むと少し開けた場所に出た
俺はまず全ての魔術を試す事にした、前回行った魔術≪ファイアウォール≫
これは前世の記憶にあるゲームであった技だ、イメージしやすかったため試しにやってみた所、イメージ通りの技が地面から吹き出した
「今度は魔術≪雷≫を使ってみるか…イメージするのは雷を圧縮させた玉」
俺はまず前世でよく冬に悩まされた静電気をイメージした
「パチン!」
イメージは出来た、次はより大きな静電気
「パチパチ!」
先程より少し明るい光を放つ、更に大きな電気
「バチ!」
うん、いい感じだ更に大きな電気!
そんなことをひたすら続ける、そして何十回目かの時、イメージは雷
今までよりも多く力とイメージを込める、手からパチンッパチンッと白い光が出始める
もっと強く!更に圧縮!先程よりも大きな音が辺りに響く
「バチ!バチ!」
そして力は限界を迎える、手のひら目の前にある大岩に向ける
「サンダーボール!!!」
一気に放出した
「パンッ……ドッッッゴォーーン!!!」
激しい爆風と雷光の後に残ったのは跡形も無くなった大岩が在ったであろう場所に出来たクレーターだった、多少頭がクラクラしたが直ぐに治る
「あれ……?威力高すぎね?」
所詮C級の魔術の筈だがこの世界のC級はこのレベルなのか?
俺はそんなことは無い筈だと思い他の魔術も試した
前回使った魔術≪炎≫を高圧縮した≪ファイアボール≫
魔術≪光≫をレーザーのように圧縮させた≪レールガン≫
魔術≪錬金術≫を使い鉄の連続生成
とうとう立派な純鉄のオブジェが出来上がる
変わらず他の魔術は最初の魔術≪雷≫と同じ威力、何故だ?
俺は理由を探した
スキル
・魔術
≪魔力の消費量に伴い高威力の魔術を使用、魔力が切れると一定のクールダウンが必要≫
うん?つまり何だ?高威力の魔術を使うためには大量の魔力が必要で使いきるとクールダウンとして魔術が使えなくなると
納得した、俺の魔術が以上な火力がある理由が分かったのだ
だがまだ確証がない、俺はステータスを表示したまま魔力を集中させる
「光魔術…レールガン!!!」
俺は右手の人差し指を銃のように形作り指先から一筋の光を放つ
光は約500メートル程離れた大岩に直撃、大岩は粉々に吹き飛んだ
ステータスに表示されたのは
MP4950/5000
魔力1950/3900
「やっぱり、魔力の注ぎ過ぎか!!!」
その時、体が何かが入ってくる感覚がした
「何だ?体が温かい?」
そしてみるみる内に魔力とMPがたまり僅か数秒で満タンになった
「今のが≪空間魔力吸収≫と悪鬼王のローブの付与スキル≪魔力回復・大≫称号の≪魔道を歩む者≫による魔力回復か、このレベルだと一瞬だな」
俺はそれから何度か技の練習をするとドルドが迎えに来た、訓練現場を見たドルドが、俺は何も見ていない!
と言いながら馬車に帰っていったのは言わないで置こう
「んじゃ、そろそろ王都に向かうか!」
ドルドは馬に鞭を打ち走らせる、この世界の馬車はちょっとした段差でも大きな揺れがおこる、その度に尻を木の板に強打してとても痛い
馬車に揺られ尻を打ち付け約1時間、ドルドさんが何かに気付いた
両脇に生い茂る森の中から聞こえる叫び声と何かの雄叫び
「ドルドさん!」
俺はその声がただ事では無いと感じとりドルドに声を掛ける、勿論助けに行くためだ
「ダメだゼロ…行ってはいけない」
ドルドは今までに無いような真剣な眼差しでゼロを止めた
「この島にはそれぞれ四方の森を支配、守護する種族がいる、東の森、≪桃源郷≫を支配する傲慢なる鼠王≪ベニート≫
西の森、≪天空樹≫の支配者、冷酷なハンター鳥王≪バルドラ≫
南の森、≪薬師木≫の守護神、慈愛の猿王≪セラト≫
そして北の森、≪千年花≫の守護神、暴虐の虎王≪ドラガル≫ここは北の森、千年花の群生地≪ガルドラ≫のテリトリーからは離れているが北の森と言うことは…」
ドルドが口を閉ざすとゼロは迷わず馬車を降りた
「それでも俺は…守れる命は守りたい」
そうドルドに告げると森の中へ駆け出した、ドルドが止めるほどの怪物、今の俺で勝てるのか直ぐ様固有スキル≪サイレント≫を使う
さっきまで逃げ惑っていた森の動物たちは俺が横を通り過ぎても気がつかない
何となく猟師とかになったら楽に稼げそうだな~とか考えてしまう
そうこうしている内に声が聞こえてきた
「はぁ…はぁ、やっと巻いたかしら?」
女だ、紫色のロングヘアーで服装は全身真っ黒のスパイスーツのようだ
俺は慎重に距離を詰めていく、回りにガルドラがいるかもしれない…女は未だ直足を止めず森の中を走っている、俺が声を掛けようとした瞬間、奴は現れた
「グオオオォォォォ!!!」
虎王≪ガルドラ≫全身を漆黒の毛で覆われ両方の腹には赤い爪のような模様が二本ずつ引かれている、体長は3.5~4メートル程だろう大きい
そして長く伸びた爪はまるで鍛え抜かれた名刀のような黒光を放ってる
何よりもこの威圧感を出しているのはその凶暴な顔つき、その頭部には赤い双角が見えた
「キャァァーー!!!」
俺は直ぐ様レールガンをガルドラの頭部に放った、しかし
レールガンが当たる直前ガルドラは後ろに飛んだ、レールガンの白い光線はガルドラに当たること無くその射線上にある木々をなぎ倒した
「ナニモノダ!!!」
突如発せられたの声、今ガルドラ何者だ!と言ったか?
「スガタヲアラワセ!」
どうやらサイレントが効いていて俺の姿は見えていないようだ、だが見えていないのに俺のレールガンを避けたとなると……まず勝てないだろうな
「何?何なの!」
ガルドラに追われていた女性はただ呆然としている、それはその筈、逃げ切ったと思ったら突然ガルドラが現れ殺されると思ったら今度は光の線が森を破壊したのだ
俺は森の木々に隠れながらガルドラを鑑定した
ガルドラ(仮) 15歳 虎王族 守護獣
レベル 120
HP 57000/57000
MP0/0
筋力72000
耐久10000
俊敏50400
魔力0
スキル
虎王の威厳 レベルA
(獣を自分の配下にする、自身のレベルが上がるにつれて配下もレベルが上がる)
集団戦術 レベルA
(集団での戦術が使えるようになる、レベルが上がるに連れてより速くて行動できるようになる)
追跡者(使用中) レベルA
(一度嗅いだことの有る匂いを辿ることが出来る、レベルが上がるにつれて距離も増える)
固有スキル
断罪の剣 レベルA
(自分の持つ筋力・耐久・俊敏すべての数値を足した攻撃を放つ虎王族最強の技)
変化(使用中) レベル S
(自分の体を獣に変える)
「あぁ、こりゃ勝ねぇーわ」
俺は隠れながら戦って勝てない相手だと言うことを理解し覚悟を決めた
「固有スキル≪伝承≫!」
ゼロは迷わず自身のスキル≪サイレント≫を謎の女性に伝承した
その時ゼロの姿はドラガルの前に晒された
「ナニ!キサマドコカラアラワレタ!」
「さぁ、どこだろなぁ?」
俺は震える手を必死に抑え込む…ビビってる訳じゃあない むしろ逆だ!
「久し振りだなぁ、こんなに面白そうな奴と会ったのは」
「ちょっと君!危ないから逃げなさい!」
俺の後ろで騒ぐのは先程からガルドラに追われていた女性だ、面倒だ少し鑑定しよう…名前と職業だけでいっか
時間が勿体ないからさっさと鑑定した
カリーナ 13歳 人間族 泥棒
「は!?お前泥棒かよ!」
「え!あ、いや違うわ!」
完全に嘘をついているのは分かるが…だがここで俺が逃げればこいつは確実に殺されるだろう
「あぁー!もういいから俺の言うことを聞け!心の中でも叫んでも良いから取り合えず≪サイレント≫と叫べ!」
「は?何でよ!良いから逃げなさい!」
「うるさい…さっさとしろ!」
カリーナはゼロの深紅の瞳に睨まれ言葉を失っう、これでもそこそこ修羅場は渡ってきた自信があった、ついこの前だってトレジャー海賊団から逃げ仰せた
しかし目の前に立つ自分より小さいで在ろう少年は、自分よりも大きな怪物を前に一歩も引かずにいる、その瞳にはカリーナとは比べ物にならないほどの修羅が浮かんでいた
「は…い、さ、サイレント!」
その瞬間カリーナの存在を感じなくなった
「今すぐ街道に向かえ、そこに馬車が有る筈だそこの近くにいろ、必ずだぞ!」
見えないカリーナに向かって叫ぶ、同時に後ろの草が揺れる
「キサマ!アノオンナヲドコニヤッタ!」
「それは後で教えてやる、じゃあ始めようか!」
このくらいのペースですね…