天性の魔術師と王女   作:バロン

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決着

「ウソップしっかりしろ!」

 

そう言ってウソップを抱き起こすサンジ、ウソップはハッキリした口調でこう言った

 

「勝負は一秒で着いた!」

 

「ヴォッ!」

 

寝ていた筈のラクダと共にグーサインを出すウソップ、しかし辺りはそんな明るい雰囲気ではなかった

 

壊された壁、えぐられたような地面そしてその地面に伏しているMr.2ボンクレー

 

「で、何があったんだウソップ」

 

「あぁ、俺もよく分かんないんだあまりに一瞬の事で…」

 

「あ?」

 

「俺とマツゲがMr.2にやられて倒れた後直ぐにあのシンって言う子供が現れたんだ」

 

「あぁ?シン君が?何でだ?」

 

「それからシン君がMr.2と戦う雰囲気になったと思ったら今度は紫色の髪をした美女が現れMr.2を一瞬で倒してしまったんだ」

 

「え!美女だったのか…」

 

「いやそこじゃねぇだろ!まぁ何となく話を聞くとその美女もゼロさんの仲間見てぇだったぞ、それにあのシンって子供より何かあの美女の方が強いらしいし…」

 

「いよいよ化け物だな、あんなのが何人もいるなんて」

 

「本当に何者何だ?」

 

「それよりチョッパーを置いてきたんだ、急いで戻るぞウソップ!」

 

急ぎ先程通って来た道を戻るウソップとサンジ、行き先はチョッパーの援護か

 

≪キトラねぇ、そっちはどう?≫

 

≪えぇ、こちらももう少しで片付きます≫

 

 

 

 

…キトラ…

 

「大丈夫ですか、チョッパー君」

 

Mr.4、ミス・メリークリスマスの完璧なるチームワークそして愛犬ラッスーによる時限爆弾攻撃、なすすべ無く吹き飛ばされ敗北を覚悟したチョッパーの前に一人の女性が立ちふさがった

 

「あなたは…キトラさん」

 

身長約160㎝、艶めかしい黒髪ショートを砂漠の乾いた風になびかせチョッパーの前に立ちふさがる、黒で統一されたメイド服は何か怪しげな雰囲気をかもし出す

 

あまり身長も高くないキトラ、普通なら何も安心出来ないだろう、しかしキトラが来たことでチョッパーは完全なる勝利を確信しその意識を闇へと落とした

 

「お疲れさまでした、後は任せて休んでください」

 

倒れる勇ましいトナカイの頭を優しく撫で口にポケットから取り出した瓶の液体の3滴程含ませる、チョッパーは安らかな顔をした

 

「ちょっとあんた!どこの誰だか知らないけどそのトナカイは私達の獲物だよ!」

 

「かぁ~~~えぇ~~~せぇ~~~~~」

 

ギャアギャア騒ぐモグラとデブを向きキトラは丁寧に受け答えた

 

「お初にお目にかかります、私ゼロ・ガルドラ様に仕えるメイド、キトラと申しますこの度は主ゼロ様の命によりあなた達を…排除します♪」

 

最後を女神のような笑みで締め括るとゆっくりと二人と一匹に近付いて行く

 

「ハッ!あんたみたいな小娘に何が出来るって言うんだいこのバカ!バッ!バ!」

 

「いぃ~~~くぅ~~~ぞぉ~~~」

 

ラッスーがくしゃみと同時に時限爆弾を発射したそれをMr.4がキトラ目掛けて打ち込んだ

 

しかしその弾はキトラに届く事は無い、自分目掛けて飛んでくる弾にキトラを向かっていく

自分の軌道上で時限爆弾を掴むとその走りの勢いを殺さず持ったまま高速でMr.4へ接近右足でバットを蹴り飛ばし勢いそのままMr.4の左頬へ左回し蹴りを叩き込む

 

遺跡を破壊しながら吹き飛ぶMr.4目掛けて右手に持つ時限爆弾を軽く投げつける

爆弾はいとも容易くMr.4に追い付き激しい爆発を引き起こした

 

パラパラと空から舞い落ちる遺跡の残骸と共にゆっくりとミス・メリークリスマスに歩を進める

 

「は…え?み…Mr.4?何が、何が起きたんだい!!!」

 

「さぁ、次はあなたですよ」

 

コイツはヤバすぎる、ミス・メリークリスマスの殺し屋としての経験が全力で警告を知らせる、今すぐこの場所から逃げなければ、間違いなく……殺される

 

「ひぃ!」

 

穴を掘り地下へと潜るミス・メリークリスマスしかしキトラはけして逃がさなかった

 

「…振虎」

 

キトラが地面へと右手を叩く、その時キトラが叩いた地面を中心に砂煙が波紋のように波打った

 

「ギャァァーーーー!」

 

その波に打ち上げられた哀れなモグラは地面にたどり着く前に虎の黒き爪に意識を刈り取られた

 

「さぁ、あなたの主人は敗れましたあなたはどうしますか?」

 

キトラはスキル、虎王の威厳を発動するラッスーは怯えガタガタ震えながら体を伏せた、服従の印だ

 

「宜しい、私たちと来なさい」

 

「ワフッ!」

 

こうしてキトラはラッスーを掴みシン、カリーナの元へと向かった

 

 

 

 

「わぁぁぁ~~~キトラねぇ、そのワンちゃんは何~!!」

 

「敵の仲間だったのですが私達に服従の印を示したので連れてきました」

 

シンが頭や背中を撫でる、そこで先程Mr.4とミス・メリークリスマスが話していた事を教えた

 

「え!銃に悪魔の実を食べさせたの?」

 

キトラの話を聞いてシンが考え込む

 

≪ゼロにぃ聞こえる?≫

 

≪あぁ、聞こえるぞどうした?≫

 

≪僕このワンちゃん飼いたいんだけどダメかな?≫

 

≪う~ん、命を預かっているその意識を忘れずに世話するなら良いだろう≫

 

≪やったぁぁーーー!!!≫

 

≪こっちもほとんど片付いたから今からカエンと向かう≫

 

そう言うとゼロは念話を切った

 

 

 

 

 

…ゼロ…

「な、何者なのあの子」

 

先程降雨船を見つけ戦闘配置に着いたヒナの黒檻部隊しかしその部隊が活躍する機会は無かった

 

「光魔術・光帝の弓」

 

ゼロが右手を空にかざす、同時に空から数多の光矢が降り注ぐ矢は敵だけを貫き物の三秒で蹴りは着いた

 

「流石の魔力操作ですな主よ!」

 

「じゃあさっさと帰るか」

 

「俺達って必要だったか?」

 

 

何故かスモーカーの部隊の海兵達は当たり前といった顔をしていた

 

 

「ちょっと君、今何したの!」

 

ヒナが全力で突っ込んでくる、しかし俺の後ろで控えていたカエンがその進行を妨げる

 

「攻撃手段は問わないという約束だったよなスモーカー」

 

「あぁゼロ、その通りだ」

 

「ちょっと、何が何だか…ヒナ混乱」

 

「無駄な詮索はするな、この私でもこれくらいの戦力ごときものの5分で片付くわ」

 

「そう言う事なんで帰りましょ」

 

ゼロがそう言うと船は降雨船を拿捕した

 

≪ゼロ様、レーナですこちらのゾロ、ナミは敵を撃破、私はやること無いのでお迎えに上がれますが≫

 

≪あぁ、じゃあ頼む≫

 

…15分後…

 

「ギャォォォォォーーーー!!!」

 

「な、何だあれは!?」

 

「総員戦闘配置!!!」

 

静かな海面を揺らす龍の咆哮、その大翼を揺らせば海は荒れ狂う

ゆっくりと11隻の船の真ん中へ降り立つ、その時

 

≪ドドン!≫

 

二隻の船がクロヤリ弾を撃ち込む、しかしレーナの体にキズ一つ付けられず海へと沈んだ

 

「おい!止めさせろヒナ!危ないぞ!」

 

「あのドラゴンが危険なのは見れば分かるわ!」

 

「違う…危険なのはゼロだ」

 

スモーカーの忠告を受けゆっくりと振り替えるヒナ、その瞬間背筋に走る寒気と恐怖

 

「…おい、今レーナに槍を撃ったのは誰だ?」

 

「主よ、私が見る限りあのサングラスの男と鉄の拳を持つ男の乗る二隻かと」

 

「こ、攻撃中止!!!今すぐ攻撃を止めなさい!」

 

ヒナの声が聞こえていないのか攻撃を止めない二隻の船

 

「このデカトカゲめ、俺たちのヒナ嬢には指一本触れさせないぜ!」

 

痛くも痒くもないが少しイライラし始めたレーナ、しかしレーナがキレるより先にゼロがキレた

 

「爆発魔術・雷帝の紅爪」

 

空から雷を纏った炎が五本爪のように二隻の船を抉り取る同時にとてつもない爆発を引き起こした

 

「な、何て事を…」

 

二人はギリギリの所で船から飛び下り難を逃れた様だが船は跡形もなく消し飛んだ

 

「動くな!」

 

「何のつもりだ?」

 

ヒナを始めとする乗組員が一斉にゼロへ銃を向ける

 

「い、一体何をした!」

 

「おい!ヒナ止めろ!」

 

「お前らが俺の仲間を攻撃したから俺も攻撃しただけだが?」

 

「そんな、何をしたか分かってるの!あなたは今海軍の船を二隻潰したのよ!」

 

「それが?」

 

「もういい!大人しくしなさい!」

 

ヒナがゼロを捕らえようとするとカエンが前に塞がる、ヒナは気にせず先にカエンから捕らえようとオリオリの力で通り抜ける

 

「これで一人め確保よ」

 

「ム?何だこれは…バキン!…柔いな」

 

「そんな…バカな…。」

 

「邪魔をするな海軍、次は全滅させるでは俺達はこれで」

 

レーナの背へゼロ、カエンが乗るとレーナはその大翼を羽ばたき大空へ飛び去った

 

「な、何だったの?」

 

「奴等は絶対に敵対してはいけない、どう本部へ報告する?」

 

「そんなことヒナに聞かれても…」

 

 

 

 

 

「ゼロ様…私のために私なら全然大丈夫ですのに」

 

「ん?いいや、俺達は仲間を傷つけるやつを決して許さない、勿論我々の種族もな」

 

「ゼロ様…あ、見えてきましたよ」

 

「あ~あ、やっぱりぶつかったか」

 

下にはぶつかり合う反乱軍が見えた、と同時に空へと飛び上がるファルコンが見えた、その手には巨大な爆弾が見える、しかしそれを持つファルコンの顔に恐怖や後悔等の表情はなく自分の役割を果たせたという安心の表情そして微かに笑みを浮かべていた

 

俺はこの男を殺してはこの国の大きな損失だと感じた

 

「レーナ!奴を死なせるな!」

 

「お任せください!!!」

 

俺とカエンが背から飛び下りるとレーナは全速力を出した、光速で近づいた

 

「私に任せてください」

 

「君は…」

 

ペルから半ば強引に剥ぎ取った爆弾を掴み全力で空へと放り投げる

 

そしてその大翼を命一杯広げペルを包む様に覆い被さる、その瞬間空高くで爆発し襲ってくる衝撃と熱波、あまりの衝撃に地面に叩き付けられたレーナ、しかしペルにダメージが伝わらない様に体を盾に守り抜いた

 

「うぅ~、痛ーい!」

 

レーナは人に戻りペルを揺さぶる、うん大丈夫そうだ気を失ってはいるが特に大きな怪我は無さそうだ

 

「レーナ、大丈夫か?すまないあんな事をお願いして」

 

謝るゼロにレーナは一言

 

「じゃあ今度二人っきりでデートしてくれたら許します」

 

「あぁ勿論、全力でエスコートさせて貰うよ」

 

そして俺はこの無駄な戦争を止めさせるため空に手をかざした

 

「俺の全魔力を持っていけ!水魔術・水帝の祝福」

 

レーナから借りた水魔術で空から雨を降らせた、次第に王国から狂気が減っていく、戦争は終わる

 

「ご主人様~!!!」

 

「ゼロにぃ~!!!」

 

「ゼロ君~!!!」

 

俺の仲間も揃ったし…じゃあ約束を果たしに行こうか!!!


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