天性の魔術師と王女 作:バロン
麦わらの一味を見送って直ぐカエンにスモーカーへの伝言を頼んだ、カエンはこころよく胸を叩き変身し駆け出した
来るときはカリーナを乗せていたから本気で走れなかったがカエンが全力で走れば麦わらの一味より早く着くだろう、ついでに海兵達が乗れる砂ソリを錬金術で作った
「いや、これは良い鍛練になりますな、お任せ下され必ずや麦わらの一味より早くレインベースへ海兵達をお連れします、では!」
キトラは瞬く間に姿が見えなくなった、俺達は一先ずアルバーナへ向かうことにした、手助けは要らないと言われたがここまで話を聞いて黙ってる訳には行かないだろ
話にあったアルバーナへ向かったカルーと言うカルガモが行き倒れて無いか確認だけしてあげよう
俺達はユバのカリーナを連れエルマルに船を取りに向かった、ついでにユバの水脈に鉄の棒を突き刺し少し掘れば水が出るようにしておいた、けっこう深くまで砂で埋まっていたがこれで少しはルフィから聞いていたおじさんが助かると良いんだが
それから直ぐに海軍を乗せたソリを高速で引く深紅の5メートル程の猿が横を通過していった、ルフィ達にバレない様に遠回りしているが早く着くだろう
船に戻るとサンドラ河を遡るため船の船首に取り付けてある二本の鎖をレーナの背中に繋げる、これでレーナがドラゴンに変身し船を引いて貰うと言う作戦だ、最初仲間を道具のように使うのは嫌だと言ったんだがレーナがどうしてもゼロ様の鎖に繋がりたいと言われたためお願いした
レーナは鎖に繋がる瞬間まで息が荒くて怖かった、今はしっかりと船を引いてくれているありがたい
「レーナ!ありがとな!」
「ひゃう!い、いえそんな…全然です!」
レーナは金色の体を赤く染めながら更に走力を上げた、僅か一時間程でアルバーナへ着いた、俺達は隠れながら王宮へと侵入する
俺はサイレントを発動し侵入するが他の仲間は≪擬態≫を使っている
このスキルは俺が森の中にいたフカシナナフシを倒したとき≪伝承≫のスキルで奪って置いたものだ、こんなところで使うとは思わなかったがこれからは着けておくことにしよう
≪ご主人様、前方に二名の兵士です如何しますか≫
≪私に任せて(暗盗術・抜鬼亜死)≫
カリーナは悪鬼王の小太刀を抜き神速で二人の兵士の間を通り抜けた、二人は音もなく崩れ落ちる、ついでにシンが眠毒をあてまるで寝ているかのようにしておいた
≪さぁ行くぞ!≫
俺はゆっくりと王の間への扉を開ける、薄暗い王の間にはレットカーペットが引かれその先には王座があった、しかしそこに居るべき王の姿がない
いや、王だからと言って王の間に居るとは限らないか…俺達が寝室に向かおうとしたときシンが何かに気付いた
≪ゼロにぃ、王座の後ろ何かおかしくない?≫
≪ん?特におかしくは見えないが≫
シンはゆっくりと王座の後ろに回り床を触る、そしてシンが床を軽く叩くとパラパラと音を立てながらまるで土竜の穴のような洞窟が現れた
≪怪しくない?≫
≪怪しいな、行ってみるか≫
シンを先頭にキトラ、レーナ、俺の順に洞窟に入る、カリーナは王座にコブラが戻ってくるかも知れないのでここで見張りだ、俺が光を飛ばしながら進めば洞窟は明るく成った、狭い道を腹這いになりながら進むとやがて光が差し話し声が聞こえた
「本当にのろいねMr.4!このバカ!バ!バ!」
あぁ、一番最悪の展開だな…あそこに縛られているのはネフェルタリ・コブラ、現アラバスタ王国国王じゃないか、んであれがサー・クロコダイル率いるB・W(バロック ワークス)の殺し屋か
≪如何しますかゼロ様≫
≪あぁ、一度俺はスモーカーに伝えに行ってくる、レーナは上空からあの変な女とデカブツの監視、キトラは地上からシンは麦わらの一味を監視しだ、見つからない様にな≫
≪ハッ!≫
俺はスモーカーたちが居るであろうレインベースへ走った、途中念話が入ってきた何とロゼーノの獣王達からだった
≪ガルドラ様、たった今人間族の王であるセリア殿が来て居るのですが何やら報告が在るようです、宜しいですか?≫
≪あぁ、問題ない後城の建築はどうだ?≫
俺は島を出る際に一つお願いしてきたことがあった、それが村を守るための城壁と砦そして城の作成だ
いかに一騎当千の獣王族と言えど守る範囲が多すぎと力が分散してしまう、そのために猿王族と鼠王族を中心に各聖地を守るよう城を作り始めたのだ
その各城を地下に掘った洞窟で繋げる、回りは煌鉄鋼で囲むため外からの侵入と浸水も防げる、城と城壁の為の材料は俺がいた内に作り出して置いた後は組み立てるだけ
城の外壁は世界一固い鋼鉄鋼と衝撃を吸収する吸振鋼を混ぜた合金≪獣王鋼≫、ただこの鉱物には大きな欠点があるそれは≪とにかく重い≫と言う事だ
一度俺が4メートル四方の獣王鋼を運ぼうとしたところ重すぎてギリギリ運べた位だった、しかし俺が島においてきた城壁は高さ30メートル幅7メートルの超巨大サイズだったのだ、それを4つの聖地を囲む様に作るため一つ当たり半径三キロ程の壁が必要に成るのだ
≪はい、ガルドラ様の作り出された獣王鋼が重くはありましたが各種族が手を貸してくれ城壁は全ての聖地を囲み終わりましてございます、城も先ず虎王族から製作し完成今バルドラ殿の城を作っております≫
≪そうか、ありがとう≫
嘘だろ、あんなに重い鉱物を運ぶとか流石は獣王族だな、本当心強い部下達だ
≪いえいえ、ロゼーノ王国全種族ガルドラ様のお元気な姿を見るのを楽しみにしております≫
≪あの、ゼロ様宜しいでしょうか≫
その声は紛れもなくセリアの声だった
≪久しぶりだなセリア、元気だったか?≫
≪はい、ゼロ様もお元気そうで≫
≪で、何の用だ?≫
≪あの、この度私セリア・ロゼーノはある法案を作りました、それが獣王国の独立法案です≫
≪ん?どういう事だ?≫
≪今回ロゼーノ王国の中にあるゼロ様の率いる獣王族の方々に王国を作って頂こうと思います、勿論今獣王族の方々が守っておられる聖域にですが≫
≪でも、そんなことしたらロゼーノ王国の領土が大幅に減るぞ?≫
≪そこでお願いです、私達は領土を差し出します、代わりにゼロ様方の力を貸して頂きたいのです、もし我々ロゼーノ王国に他の国が攻めてきたや海賊が攻めてきた時我々と戦いロゼーノを守って頂きたい≫
≪つまりロゼーノ王国の守護をしろと言うわけだな≫
≪はい、その通りです≫
どうする、確かに俺達の国が出来れば聖域を荒らされる心配は減るだろう、それにロゼーノ王国の人々との何か繋がりが出来るかも知れない
≪四王達はどう思う?≫
≪我々は賛成です、月毎に各種族の戦士を10人ほどロゼーノ周辺の警備をさせれば問題は無いかと≫
≪よし、ではそうするか≫
俺は他の種族長から許可を得て決断した
≪セリア、俺、ゼロ・ガルドラは獣王族の王としてその法案を認証する、ロゼーノ王国の守護は我々獣王族が請け負う≫
≪はい!ありがとうございます、ではこれから王国に戻り法案の認証を得たことを国民に伝えて参ります、建国の日などはゼロ様方の予定にお任せいたします≫
≪あぁ、一つ良いかこれから俺らの国とロゼーノ王国は表向きは同盟国と言うことで良いのか?≫
≪はい、まだ世界政府に申請していないため国とはなりませんがその様になります≫
≪分かった、ありがとなセリア≫
≪いえ、私たちも大きな後ろ楯を得ましたこれからよろしくお願いします!≫
≪あぁ!≫
念話を切りスモーカーの元へ走る、河を越え暫く走ると遠くに土煙が上がっているのが見えたあれは…カニ?
結構な速度で向かってくる巨大なカニ鑑定した結果≪ヒッコシクラブ≫と言うらしい
そのカニの上には見た顔が麦わらの一味だ、だがルフィは見えないどこに行ったんだ?
そうこうしている内にヒッコシクラブは直ぐ近くまで来た、俺は上空に火柱を上げ存在を知らせる
「ゼロさん!丁度良かった」
「ルフィはどうしたんだ?居ないようだが」
「ここに来る途中ビビがクロコダイルに掴まって身代わりに成るように…今クロコダイルと戦っているはず」
ナミがそう言うとビビは申し訳無さそうに項垂れている
「で?俺に何をして欲しいんだ?助けて欲しいのか?」
「え、良いの?」
ナミとビビそしてチョッパーはパッ!と俺の顔を覗き込んだしかしそれを止めるものが居た
「ダメだナミ、ビビ、チョッパー、ゼロあんたの力を疑う訳じゃねぇ、確実に俺達よりは強いだろうあんな化物みたいな子供を部下に持っているんだ、しかもあれがあんたの船の中で一番弱いってんだから」
「そうだな、みんなルフィは何て言っていた?」
「ビビを王宮まで送り届けろと」
一味は静まり返った
「麦わらの一味は船長を信用できないのか?ルフィはみんなを信じてビビを託したんだ、一言も助けて何ては言っていない、なら俺は助けない皆も後ろを向くな船長の命令に従え、必ずビビを王宮へ送り届けろ」
俺がそう言うとゾロは頷いた、他の仲間も覚悟が決まった様だ俺はまた砂漠を駆けた、あっという間にヒッコシクラブは見えなくなったまた暫く走り続けると土煙が見えた
「今度は誰だ?」
よく見ると先頭に居るのはカエンじゃないか、その後ろの多くの土煙は海軍か
「主よおぉぉぉ!!!」
全力で飛び付いてくるカエンにこれまた全力で飛び蹴りを喰らわせる俺、カエンは100メートル程吹き飛んで行った
「ゼロさん、え?スモーカーさんなら海に出ると言ってエルマルに向かいましたよ?」
たしぎにそう言われ俺とカエンはエルマルに向かうことにした、レインベースには寄らずに砂漠を突っ切るコースに変更する
暇だからと走りながらカエンと演武をする事にしたカエンは大剣を俺目掛けて全力で降り下ろす、俺は鬼魔銃で防ぎ続けて大剣を絡めとるように鬼魔銃を回す、カエンはその回転に逆らわず同じ様に地面を蹴り着地する
更に大剣を高速で突き出す、俺は鬼魔銃で大剣の先端を撃ち抜き軌道を逸らし一気に間合いを詰め至近距離で腹部に三発雷弾を撃ち抜く
「ぬぅー、流石は主だ…だが鬼魔銃は我々にはやはり通用しないようですな」
カエンは大楯で防いでいた
「あくまで対人武器だしな、だが弾さえ代えれば殺れると思うがやってみるか?」
「い、いや…大丈夫です」
俺は近くに居るカエンの腕を掴み振り回す、全力で上空に投げ飛ばし俺はその上空に手をかざす
「合成魔術・光帝の槍」
一瞬空が光ったと思った瞬間カエンは地面に深々と埋まっていた
「オーイ、生きてるかー?」
俺が訪ねるとフラフラに為りながらも穴から出てくるカエン、その腹には大きな痣が付いていた
「いやはや、まだまだ見切れませんな」
今のは光魔術と錬金術を合わせた合成魔術、超上空に錬成した煌鉄鋼の槍に光魔術を付与し一気に地面へと打ち出したのだ、本当は地面に突き刺さる迄の技だがそれではカエンが死ぬので地面に当たる直前攻撃を止めたのだ
「だが技の出は悪くなかったぞ、これからも修行だな」
そんなことを言いながら前を見ると土煙が見えた、今度こそスモーカーだ
「スモーカー!!!」
俺が叫ぶがビローアバイクの音が大きく聞こえて居ないようだ、俺は立ち止まり右手をスモーカーに向ける
「光魔術・光帝の終光」
半端じゃない威力の光線がスモーカーの脇を通り過ぎる、その光はどこまでも飛んでいった
「お、おぉゼロじゃないか…いきなりは止めようぜ?」
「お前が止まらないのが悪い」
「何て理不尽な…」
「あの技はどう防ぐか、流石は主だ…」
俺はスモーカーに王宮での出来事を話す、スモーカーは頷き一言
「その件はたしぎに一任している、あいつの考えに任せたい」
そう言うと今向かっている所を聞いた、どうやらダンスパウダーの使用場所に目星が付いたらしい、海で仲間の海兵と落ち合う予定らしい
俺とカエンはスモーカーに着いていく事にした、スモーカーは反対したがカエンが睨むと手伝う事を条件に連れていってくれる事になった
「じゃあ走るか!」
俺が笑いながらスモーカーに言うと、二つ町離れてた筈なのに追い付いてきたお前達と走るってか?死ぬぞ?
カエンは片手にスモーカーをもう片手にビローアバイクを担ぎ俺と走り出した、スモーカーは煙になって逃げようと暴れたがカエンの属性無効化が発動し逃げることが出来ず諦めた
全力で俺とカエンは走る、時々スモーカーの触れていない所が煙となってちぎれたがまぁ気にしない方向で
暫く走るとエルマルの港が見えた、そこには軍艦が5隻も停まっている、スモーカーは軽く震えながらカエンから降りて軍艦の前へ出た
「おいヒナ!」
スモーカーが軍艦に向かって叫ぶと一回り大きい軍艦の甲板から誰か出てきた、女?
「スモーカー君、ヒナを呼び出して置いてその呼び方は何?ヒナ心外」
結構スタイルが良い海兵だな、ただうちの女性陣よりは低いな
「その人は?見たところただ者ではない様だけど」
「ふむ、主よあの女見る目が有りますな」
「ヒナ、こいつはゼロ今回の作戦の助っ人として連れてきた」
するとヒナはヒラリと甲板から飛び降り俺達の前へと出てきた
「まぁ、確かに強そうではあるわねでも…」
ヒナは俺の方へ近づいて来ると
「子供を戦場に出すと言うのはどうなんでしょ、ヒナ幻滅」
…ん?どういう事だ?
「あの?」
「大丈夫、君は何も心配しなくて良いわあの赤髪の大男がゼロね、如何に強かろうが何も出来ない子供を戦場に出す何て最低よ!」
「む?何故かは知らぬがここまで言われては引けぬ!」
カエンは腰の三メートルは有ろう大剣を抜き背中の大楯を左手に付けた
「そんな盗賊見たいな成りをして、子供に悪影響でしょ!」
「何を!ロゼーノ王国最強の獣、赤牙獣の毛皮で作ったこのローブを侮辱するか!」
「何よ!」
「何じゃ!」
こうしていきなり始まったヒナとカエンの戦闘、また波乱が有りそうだ…