天性の魔術師と王女 作:バロン
「クソ…床が近いな、こんな感覚は久しぶりだ」
俺、黒木 雷 は床に伏していた
周りは俺が流した血で染まり俺を中心に大きな血溜まりを作っている
しかし分かる事が一つある…俺は死ぬ
「ハァハァハァ…やっと黙りやがった、おい!何人殺られた」
血で濡れたナイフを手にしながら数人の仲間に叫ぶ大男
こいつが俺を刺した犯人だ、いや傷は山ほどつけられた、正確には致命傷も何ヵ所か…たまたまこいつから切れた時に限界が来た、それだけだ
「知らねぇよ!三百人いた仲間も残りはこれだけだ!」
今度は小柄な男が両手を広げ辺りを指す周りは俺以外にも多くの死体のが山のように積み上げられて生きているのはここにいる3人のみだった
「クソが!こんなの割には合わないぜ!何が伝説の殺し屋≪雷鬼≫を殺せば十億やるだ!」
今倒れている身長180センチ70歳ほど髪は全て白髪で口元にうっすら髭を生やしている、こいつは殺し屋の世界では結構有名な男だ。
殺し屋専門の殺し屋≪雷鬼≫その名の通り雷のような速度で依頼をこなし今までに殺した殺し屋の数は千人を越える冷酷無比・世界最強の殺し屋、今回は依頼と言うか形で誘き出すことには成功したが用意した何れも一騎当千の殺し屋三百人が残りは俺を合わせて三人、割に合わなすぎる
「あぁー!ん?まだ生きてたのかクソ!」
血の海に寝転がる俺に血に濡れたナイフが降り下ろされ俺のクソみたいな人生は終わった…これで彼女に
「ん?まだ生きているのか?」
俺が目を開けると先程とは少し違う光景が広がる
「誰だあんた?」
目の前にいるのは全身白いローブを身に纏った15歳程の少女、そしてその少女は満面の笑みでこう言った
「おめでとうございます、あなたは異世界への転生権を獲得しました!」
「……は?」
「いや、だからあなたは異世界への転生権を獲得したんです、まぁ審査の基準としては……。」
それから俺は少女から色々なことを聞いた
少女の名前はカルム、この世界の神で全知全能の存在、どうやら数人の居る神の中で頂点に立つ者とのこと。
その事に触れたら≪どうですか私スゴいんです!≫とどや顔をかまされた、腹が立つ
転生の条件は何点かあるらしい
・前世で十人以上の人を殺めた事の贖罪として人成らざる者に転生
・魂の強さが三人分以上の者
・死の予定より早く死を迎えてしまった者
以上のいずれかを満たしていれば転生となる
その内俺は前世で腐っても伝説の殺し屋≪雷鬼≫殺した人の数は裕に千人を越える。
そして俺の魂の強さ、測って貰った所何と十七人分も有ったどうやら生きていく上で自ずと上がって行ったらしい
更に何と俺はあの時死ぬ運命では無かったらしい、本当はあの時生き残った三人が仲間割れを始めて全員死亡、俺だけあの後来た仲間の救出班に助けられる筈だった。
こうして俺は転生権を満点で通過したのだ
≪こんなにヤバイ転生者は私が全能神に成って二千年間始めてですよ≫
全能神からお墨付きを貰ってしまった
さてどうやら俺はこれから異世界への転生を行われるようだ。
転生に当たってやはりスキルと言うものを貰えるらしい、通常≪一つの転生権に一つのスキル≫
と言う事なので俺は何と三つのスキルを貰える、大きな文字でスキルブックと書かれた本がカルムの手元に現れた、この中から三つ選べとの事だった
「ほぉ、結構あるんだな」
ざっと見て約5千以上ある項目から俺は三つ選んだ
「じゃあ経験値5倍・属性無効化・空間魔力吸収の三つで頼む」
俺が選んだのは
経験値5倍
(敵を無力化又は撃破に伴い貰える経験値を5倍にする)
属性無効化
(様々な属性攻撃を無効化する、レベルが上がるに連れ無効化も上昇する)
空間魔力吸収
(大気中に存在する魔力を吸収するレベルが上がるにつれて吸収スピードと吸収量が増加)
の三個だ先ず異世界へ行くと為れば経験値を沢山とって効率よくレベルを上げたい。
そしてこれから行くところは様々な属性の攻撃をしてくる特殊な人もいるらしいので戦うことになれば必要不可欠だろう。
そして最後にやはり異世界へ行くなら魔法を使いたい、早々に魔力切れを起こしてしまっては元も子もないこうして俺は三つのスキルを早速付与して貰う事にした
「んじゃ、さっさとやるよー」
カルムはローブのフードを外した、そこには銀色の腰まで伸びた艶やかな髪、そしてその二つの瞳からは全てを見通すかの如く美しい蒼い瞳が覗いた
そしてカルムの白く透き通るような手の平がうっすら光ったかと思うと俺の胸に手を当てた、少し暖かい感覚がする
「はい、これで終わりだよ~」
カルムが胸から手を離すと体に何かが入ってくる感覚がする、恐らく空間魔力吸収の影響だろう
「あ、あと固有スキルも付与したから確認しといてね~」
何か今爆弾を落としていった気がする、固有スキル?
「あれ?言ってなかったっけ?固有スキルって言うのはあなたが前世で培った技術を今から行く世界の理に変換して使える様にするあなただけのスキルの事だよ、何のスキルが手に入ったかは私も知らない、まぁ知ろうと思えば分かるんだけどね?」
頭の中でスキルと考えれば自分のスキルが目の前に表示された
ゼロ 十歳 鬼人族 魔術師
レベル 1
HP 500/500
MP50/50(+1000)
筋力400
耐久300
俊敏20
魔力50
スキル
・経験値5倍
(敵を無力化又は撃破に伴い貰える経験値を5倍にする)
・空間魔力吸収
(大気中に存在する魔力を吸収するレベルが上がるにつれて吸収スピードと吸収量が増加)
・属性無効化
(様々な属性攻撃を無効化する、レベルが上がるに連れ無効化も上昇する)
固有スキル
・言語理解
(転生者に授ける固有スキル言語を理解する)
・アイテムボックス
(転生者に授ける固有スキル自分のレベル×100個のアイテムを収納可能)
・サイレント
(自分の存在を相手に悟らせない、レベルが上がるにつれてより強い敵にも発見されにくくなる)
・鑑定眼
(目に移る物を何でも鑑定出来る)
・伝承
(倒した敵のスキルを一つだけ受け継ぐ事が出来る、仲間に受け継がせる事も可能)
・魔術の基本
(基本的な魔術を使える様になる、レベルが上がるにつれ使える魔術も高位に替わる)
称号
・転生者
・全能神の加護
(全てのスキルが少し上昇)
名前は俺が思った通りの名前で設定してくれたらしい、そして人を殺めた為人への転生は許されず鬼人族へとなったただなぜ十歳?
「あぁ、あなたのスキルがだいぶチート級なのでちょっとアドバンテージ付けさせて貰ったわ、あと固有スキルは剣術と魔術が有ったんだけどあなたが魔術ばっかり言ってるから魔術に設定しといたよ」
うーん、剣術も捨てがたいがぶっちゃけ前世で死ぬほどやって来たから良いか!
「じゃあそこのガラクタ箱から二つ装備を選んで」
カルムが指を鳴らすと俺とカルムの立っている場所の直ぐ側に絢爛豪華な宝箱が現れた
「こ…これのどこがガラクタ?」
「いやぁ、一時期武具作成に凝った時期があってねその時の余り物や、怪物の体から出てきた魔剣とかいれてたら増えて困ってたんだよねぇ~」
俺は苦笑いしながら宝箱に近づいた
そこには様々な装飾品が飾られた豪華な剣や一見折れただけの剣のような物も有った、前世での目利きには多少自信があったがここはあの世、前世の目利きが正しいとは言えない。
そこで早速一つのスキルを試す事にした
≪鑑定≫
頭の中で唱えると剣の前にスキルが表示された
・全能神の直剣
≪身体強化≫
≪攻撃増加≫
≪破壊不能≫
≪付与属性・氷≫
・全能神の曲剣
≪身体強化≫
≪出血増加≫
≪破壊不能≫
≪付与属性・炎≫
・悪鬼王の小太刀
≪完全切断≫
≪破壊不能≫
≪魔術強化≫
≪剣術強化≫
≪付与属性・時空≫
・ 全能神のフルプレート
≪物理攻撃50%カット≫
≪身体強化≫
≪破壊不能≫
・全能神のマント
≪魔術効率増加≫
≪身体強化≫
≪破壊不能≫
・悪鬼王のローブ
≪魔力回復・大≫
≪魔術攻撃強化≫
≪破壊不能≫
≪魔力攻撃70%カット≫
≪物理攻撃20%カット≫
うん、決まったわ
俺は悪鬼王シリーズを迷わず選択した、てかこんな装備をガラクタ箱に入れるって…
ちょっとした出来心でカルムを鑑定した
カルム 三千歳 神族 ≪全能神≫
レベル ?
HP ?
MP?
筋力?
耐久?
俊敏?
魔力?
スキル
・全知全能
≪全てのスキルを使用可能≫
固有スキル
・この世の理
≪世界で行えない事はない、干渉不能スキル≫
すいませんでした!
俺はニヤニヤしながらこっちを見ているカルムに土下座をした、完璧にばれてる
こうして俺は晴れてスキル・装備を貰い異世界への転生を始めた
「じゃあそこから動かないでね」
カルムが指を鳴らすとまるで床が抜けたかのような浮遊感と共に俺の意識は闇に落ちた
次からONE PIESEの世界に入ります、気長にご覧ください