最低系チートオリ主がライブでサイリウムを振るお話   作:hotice

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正直前回でやりたいネタは書いちゃったので、別のネタを。
その都合というか、主人公はデレステ知らない設定だけど許して!
後デレマスはアニメ見ただけのエアプだけどこっちも許して!


おまけ1

 「う、嘘……。そんなことあるの…?」

 「き、聞き間違いじゃないよね?」

 「多分聞き間違いじゃないにゃ。みくにもきちんと聞こえるのにゃ。」

 

 ある日の昼下がり、346プロの事務所の1室。そこに集まった私たちは今衝撃的な光景を目の当たりにしていた。

 あのちひろさんですら、この光景を前にしてあんぐりと口を開けて固まったままなのだ。

 そう、私たちのプロデューサー。ザ・堅物と言っていい程丁寧口調を崩さないあの武内Pが、だ。なんとタメ口で電話に出ているのだ。

 

 休日の今日、朝から皆でレッスンをしていたのだが、それも一段落ついて休憩していたところに武内Pがやってきたのだ。今後の予定調整や方針決めなどを行っていた途中で、武内Pに電話が掛かって来た様で、一言断ってから電話に出たのだが、そう、そこから飛び出した言葉がなんとタメ口だったのだ。

 あの武内Pが俺なんて一人称を使ったり、語尾に敬語をつけずに話している様は物凄く違和感を感じる物だった。

 

 いや、まあ多分赤の他人から見たらわりと見た目通りなのかもしれないけれど。最初はあの顔で敬語口調なのに違和感があったし。

 

 けれども、確かに殺人経験あっても驚かないような見た目だけれども!

 武内Pは反面、中身は何事にも真面目で真摯に取り組む人で、他人と話す時も言葉は少ないが丁寧にきちんと対応するのだ。最初はその見た目とのギャップに驚いたけれども、最近はそのギャップにも慣れてきたし、ちひろさんを筆頭にそのギャップにやられた人も多い。

 

 「明日か?いや、明日なら大丈夫だ。神崎さんも予定は空いてるからな。ああ、よろしく頼む。」

 

 どうやら武内Pは話が終わった様で携帯をしまってこちらへと戻ってくるのだが、皆が茫然としているのをみて不思議そうにしていた。

 

 「すみません。お待たせしました。それで少し神崎さんにお話があるのですが、皆さんどうかされましたか?」

 

 その言葉を聞いて、皆が一斉に意識を取り戻して武内Pに群がった。

 

 「プロデューサーさん、誰と話してたんですか!?」

 「プロデューサー!絶対そっちの話し方の方がいいよ!」

 「汝は偉大なる言葉を語り継ぐのではないのか!?」(プローデューサーさん、敬語以外話せるんですか!?)

 

 皆が武内Pを取り囲んでいる中、その場に残った私と美波、そして安定の杏はなんとなしに顔を見合わせた。

 「凛ちゃんは行かないんですか?」

 「確かにプロデューサーがタメ口なのは驚いたけど、まあ多分友達だろうし。」

 「それにあれを見たら行くのは危機を感じるもんね。」

 

 そういって杏が視線を向けた先には、とてもいい笑顔をしたちひろさんが武内Pの方へと向かっていた。いつもの笑顔でも、あくm・・黒い笑顔でもない、嘘は絶対許さないモードの笑顔だ。今まで何度もお願いしても敬語口調のままで、どうにかして武内Pと距離を縮めようとしていたちひろさんは完全にキれていた。皆もちひろさんの無言の圧力に押されて武内Pの周りから離れた。

 武内Pは不思議そうな顔をしている。ほんとにそういうことに鈍い…。

 

 案の定電話の相手は男の友達だったらしいが、ちひろさんは頬を膨らませる。

 「じゃあ私にももっと普通に話してください!」

 「いえ、さすがに職場でそんな風に話すわけには…。」

 「なら仕事以外でならタメ口で話してくださいね?」

 

 言質を取ったという風にちひろさんは笑みを浮かべて武内Pに迫った結果、ついに武内Pが折れて職場以外ではタメ口で話すと約束していた。

 嬉しそうな顔をしてちひろさんは帰っていく。後で私も武内Pとお話しないといけないようだ。

 皆も色々言いたそうだが、武内Pが話があるそうなので一先ず席に着いた。

 

 「それで神崎さん実は少し会って欲しい方がいまして。」

 「運命の人は預言の御子であるか?」(会う人ってさっきの電話の人ですか?)

 「はい。恥ずかしながら私には神崎さんの話す言葉をきちんと理解は出来ていません…。そこでそういったことに詳しい友人がいますので、一度会ってみると神崎さんもいい刺激になるのではないかと思いまして。」

 

 確かに蘭子の言葉は分かりづらい。けれど、それって…。

 武内Pの言葉に蘭子は嬉しそうにしているが、他の皆は少し困ったような顔をしている。

 

 「あの、プロデューサー。それは、人の、黒歴史を掘り起こすっていうことになるっていうか、そっとしておいてあげたらどうかなあって…。」

 あの杏ですら直球で踏み込めずにおずおずと聞いた。そう大抵の場合、蘭子のみたいな、その中二病ってのは一般で黒歴史扱いされることが多い。

 それを人前で、しかも自身の黒歴史を思い出させる蘭子と直接会話させるのはいささか酷なことではないだろうか。

 

 「確かにあまり大っぴらにされることを望んではいませんが、しかし絶対に神崎さんのためになると思いましたので少し強引にお願いしました。」

 武内Pがはっきりと告げる。どうしようもない死刑宣告だった。

 あの武内Pがタメ口で話すほど仲はいいのだろうが、それでもこの仕打ちはあんまりではなかろうか…。私なら自殺物である。

 

 「えっと、そのプロデューサーちゃん。みくも会ってみたいんだけどいいかにゃ?」

 「はい。出来れば皆さんも会ってみてはいかがでしょうか。」

 

 武内Pに友達への慈悲は存在しないのか!?

 

 ほんとは武内Pの友達の被害を減らすために辞退するべきなのかもしれないが、一度武内Pがタメ口で話す人にも会ってみたいし、それに明日どんな惨劇が起こるか分からない。ここは現場にいてフォローに回った方がいいのではなかろうか…。

 この悪魔の二択。即座に皆と目線を合わせて緊急会議を決行した結果、武内Pが無意識に友達のメンタルをズタボロにする可能性が高いとして、私達は会って現場でそれとなくフォローすることにした。

 

 

 そうして一日経って、武内Pの友達と実際に会うことになった。

 蘭子は嬉しそうな雰囲気だが、それ以外の皆は緊張に満ちた顔をしている。これは重大な任務なのだ。

 下手をすると武内Pとその友人との間に致命的な亀裂が入るかもしれない。それはなんとしても避けなければならなかった。

 

 「失礼します。ああ、織谷お前も入ってくれ。」

 ガチャリとドアを開けて武内Pが入ってくる。皆も覚悟を決めた顔をした。

 けれど次に入って来た武内Pの友人を見て皆驚愕した。

 

 その、織谷って人は圧倒的に綺麗な顔をしていた。絵画や二次元の世界から抜け出たんじゃないかという程に、整った顔をしている。

 完成された一つの美、芸術作品の様だった。

 こういうとあれだが、私もここにいる皆も世間的にはかわいい顔をしている方だと思う。けれどアイドルとしての自負は粉々に打ち砕かれた。

 しかもだ。昨日聞いた通りならこの人は男らしいのだ。まさか開幕そうそうこんなダメージを受けるなんて…。

 茫然とした私たちに武内Pが話しかける。

 

 「えっと、皆さん。こちらが私の友人の織谷です。」

 「初めまして。織谷宗です。皆と同じくらいの年齢だからタメ口でいいよ。」

 けれども先ほどの衝撃が大きくて私達は自己紹介を聞いてもなお呆けていた。唯一会えるのを楽しみにしていた蘭子だけがいち早く自己紹介を返していた。

 それを聞いて皆がはっと正気に戻る。

 

 「我が名は神崎蘭子!我と同じ魔術師だと聞いて、会合の時を待ちわびていたぞ!」(私の名前は神崎蘭子です。私と同じ趣味だと聞いて会うのを楽しみにしていました。)

 「え?神崎さんも魔術師なの?まさか俺以外にも魔術師がいたなんて。」

 その言葉を聞いて一安心する。少なくとも織谷さんは蘭子に自然に話を合わせられる様で、心配はいらなそうであった。

 蘭子も趣味が合う事が嬉しそうだし、武内Pの想定通りいい結果に終わりそうだ。さすがは、というべきだろうか。

 

 「なあんだ。柄にもなく杏も色々心配したけど何事もなく終わりそうだね~。」

 「そうみたいだね~。でも魔法かあ…。私も一度使ってみたいなあ。」

 皆も気が抜けたようでへにゃっとしている。

 

 その間も蘭子と織谷さんは楽しそうに魔法について話している。どうやら随分と盛り上がっている様だった。

 そこにみりあちゃんが話しかけに行った。彼女と莉嘉、それにアーニャの三人は正直中二病関連に関しては理解しきれていない様で、みりあちゃんは織谷君に色々と無茶なお願いしていた。

 「ねーねー。私みりあっていうの。よろしく!それでお兄さん魔法使いなんでしょ?何か魔法見せて!」

 無邪気に織谷さんにお願いしているみりあちゃんを止めようと美波が席を立とうとした時だった。

 

 織谷さんはみりあちゃんのお願いを聞いて魔法を一つ見せてくれると言ったのだ。

 恐らく手品だろうが、みりあちゃんはとても喜んで莉嘉も織谷さんの近くへと走っていった。織谷さんは二人によく見ててねと言ってから、自身の綺麗な銀色の髪を何本か引き抜いた。

 何をするのだろうかと訝し気に見ていたのだが、織谷さんはその髪の毛に息を吹きかけて空中に浮かせた。

 

 何をしているのだろうかと思った次の瞬間、髪の毛は鳥の形をしてみりあちゃんと莉嘉の周りを飛び回り始めた。

 「はあ!?」

 思わず驚愕して声を上げてしまった。

 

 「織谷さん、これ一体どういう手品なんですか!!?」

 未央が織谷さんに近寄りながら問い詰めていた。その顔はどこか必死な所があった。

 あり得ないことが目の前で起きてそれを否定しようとしている様だった。

 

 けれども織谷さんはさらりと魔術だよとだけ告げる。

 未央がみりあちゃんの肩に止まった"それ"に視線を向ける。その鳥はガラス細工のように少し透けた白色で出来ているが、よく見るとガラスではなかった。

 鳥の形をしているけれども、それを形作っているものは固体ではなく、絶えず液状と気体の中間の様な奇妙な物質が流動しているのだ。

 どうあがいても今の科学でどうにか出来る物じゃないくらい素人の私にでも分かった。

 

 思わず隣にいた武内Pに尋ねかける。

 「あ、あのプロデューサー…。織谷さんって本当に魔法使いなの?」

 「はい。私はそういうことがよく分からないので、本職の人を連れてきました。」

 武内Pはいつもの様に真顔で頷く。

 

 さらりと頷くな!なんで、いや、どうやって連れてきた!?

 なんだこの状況は!?蘭子もびっくりしすぎて固まっちゃったじゃない!

 

 本気で武内P蘭子に会わせるためだけに魔法使い呼んできたの!?

 シンデレラプロジェクトなんだからもっとロマンのある場所で魔法使い登場させてよ、プロデューサー!!

 

 

 




物まね芸人に本人突撃ドッキリする系最低オリ主
後ちょこっと補足。
オリ主話題になってるけど、きちんとアイドルも話題になってるよ!
「今日のライブよかったね。○○ちゃんかわいかったよね。ところで前の方にすごいのいなかった?」的な。

それと自分オタ芸に関しては無知だったので、アイマスライブでオタ芸禁止は知りませんでした。すみません。皆もサイリウム燕返しは迷惑になるからしないでね!
まあチートでなんとかしたってことで。まさに最低ですわ。

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