こんなに苦労する時もあるのだと、実感しました。
投稿ペースの落ちない人って凄いですね。
「あの部屋に隠されているのは、賢者の石でほぼ確定ね。ルクスリアがニコラス=フラメルを知っていて助かったわ。」
「最初に食べた蛙チョコのおまけに書いてあったから覚えてただけだよ。」
休暇が終わり戻ってきたハーマイオニーも加わって、四人で賢者の石について調べてる。
「でも、何でホグワーツに隠してるんだろう?グリンゴッツに以前はあったんでしょ?たしかグリンゴッツって凄く安全な場所だよね?それよりもホグワーツは更に安全ってこと?」
ホグワーツって銀行よりもセキュリティが凄いの?
「そりゃそうだよ。なんせ此所にはダンブルドアがいるんだ‼彼がいるところが最も安全だよ。」
そうロンは熱弁している。ダンブルドアってそんなに凄いのか。
「なら、私達が何かしなくても大丈夫なんじゃないの?」
とてもじゃないけど私達一年生四人じゃ束になってもダンブルドアには及ばないしね。
「ダンブルドアはスネイプを疑ってないんだよ。それを利用して上手くダンブルドアを出し抜く算段をつけてるかもしれないだろ?だから、僕達が守るんだ‼」
「スネイプ先生じゃないと思うけどなぁ。……ごめんごめん。この話はしないんだったね。」
怪しいのはスネイプ先生かクィレル先生かで、何度も衝突しているが、どちらも譲らず平行線のままだ。これ以上やっても埒があかないので、この話はしないことにしてる。
今だにクィレル先生がなぜハリーに呪いをかけていたのかは分かってない。これが分かれば、謎が解けそうなんだけど。
「そんなことよりも、いよいよ今夜だね。ノーバートをチャーリーに預けるの。ハグリッドは今頃ノーバートと最後の時を過ごしてるだろうね。」
ハグリッド……。いい人なんだけど、ちょっと……いやかなり抜けてるんだよな。
この前ハグリッドの家を訪ねたときに、ドラゴンの卵を持っていたんだよね。ドラゴンの卵の所持は違法なのに‼
しかも、その卵をパブにいた顔を隠した男と賭けをして貰ったなんて……。しかもその時に三頭犬の宥め方をうっかり教えるなんて、あまりにも迂闊すぎるよ。
その卵がついに孵化したんだけど、やっぱり隠しながら飼い続けるのは無理だってなって、ロンのお兄さんがドラゴン関係の仕事をしてるから引き取ってもらうことになったんだよなぁ。
「今回はバレたら大事だ。慎重に行かなきゃね。」
なんだか、今回はダメな気がするんだよね。
結論から言うとやっぱりバレた。
マルフォイが告げ口したからだ。
そのせいで、マクゴナガル先生に四人合わせて200点を減点された。マルフォイも含めると220点か。
ノーバートは、ロンのお兄さんのチャーリーに預けた後だったので無事だ。
その代わり私達5人には罰則が言い渡された。そして、今夜その罰則があるらしい。
その罰則を行う場所に向かうため、私達はフィルチに連れられて城を出た。そこにはハグリッドが待っていた。
「おい、デカブツ、罰則のある生徒を連れてきた。間違っても緩くしようなぞ思うなよ。まあ、お前がこいつらが罰則を受ける原因らしいがな?」
「分かっている。皆すまねぇ。全部俺のせいだ。」
ハグリッドは本当に申し訳なさそうに頭を下げてきた。……正直ハグリッドに巻き込まれた形だけど、彼のこういう態度のせいか憎みきれない。
「今夜は罰則として禁じられた森に入る。」
「あの森に入るの?!」
マルフォイが怯えた声で聞き返した。
正直私も恐い。あの森からは、謎の呻き声が聞こえてくるとか、危険な魔法生物が住んでるとかそんな噂が絶えない。
「ああ、そうだ。今年度になってからあの森でユニコーンの死体がいくつも見つかっている。ユニコーンってのはそんなに柔な生き物じゃねぇ。そんなユニコーンを殺せる危険な何かがいる可能性が高い。」
ユニコーン、伝説の生き物もいるんだね。
「そして、今朝ユニコーンの血の後が見つかった。出血の量から、まだ生きている可能性が高い。その可哀想な奴を見つけるのが今回の罰則だ。」
今回の罰則はかなり危険そうだ。気を抜かないようにしないと。杖は常に持っておこう。
「よし、チームを分ける。俺とロンとハーマイオニー。ハリーとルクスリア、それにマルフォイだ。」
ハグリッドと違うチームになるのは正直恐い。守ってくれる人がいるのといないのでは、こんなにも安心感が違ってくるのか。
ハリーとマルフォイも同じ気持ちらしく、不安そうな顔をしている。
私達の方にファング(ハグリッドの犬)がついてきてくれる事になったが、ファングは臆病らしい。
「よし、ユニコーンの死体を見つけたら、杖で合図をするんだぞ。危険な目にあいそうな時もだ。すぐに駆け付ける。」
ユニコーンの捜索が始まった。
「まったく、生徒にこんなことをさせるなんて。こんなの使用人の仕事だろ。父上がこのことを知ったらなんと言うか‼」
マルフォイは不満タラタラだ。私達が規則違反をしなければ、マルフォイは巻き込まれることは無かったもんね。自分の行動が他人にも迷惑をかけるって正にこういうことだよね。
「ごめんね、マルフォイ。私達が規則違反しなければ貴方も巻き込まれなかったのに。」
そう言うと、マルフォイは「またか……」と言いたげな顔になった。私何か変なこと言ったかな?
「いいか、確かに君達が校則違反をしなければ、僕は今こんな場所にいなかっただろう。だけどな僕は君らを貶めようとしていたんだぞ?その僕に謝るのか?こう言うのは癪だけど、今回の件で僕に敵意を向けてくるポッターやウィーズリーの方がまともだ。君はかなり変わってるぞ。」
そんなこと言われてもな。私はそう思ってしまったんだからしょうがないじゃない。
「マルフォイ。ルクスリアはいつもこうだよ。滅多に人を悪く思わないんだよ。しかも、かなり頑固だ。ルクスリアがそう思ったんなら、もうその考えは変わらないよ。」
ハリーが言うとマルフォイは納得した顔になり、二人して私を変なものの様に見てきた。
不満だ。
「無駄話はここまでね。ここからは静かに行こう。森の生き物を変に刺激したらどうなるか分からないからね。」
しばらく進むと辺りに妙な匂いが漂ってきた。
……血の匂いだ。
二人も気がついたようで、顔が強張っている。ファングなんて震え上がっている。この先にユニコーン以外の何かがいるのかもしれない。
慎重に近づいていくと、そこにはいた。
全身を隠すように、大きなローブを目深く被ったモノが。
ユニコーンの傷口に口をつけ一心不乱に血を飲んでいる。飲んでいる姿からは狂気が感じられる。
パキッ
枝が折れる音が響いた。ファングが怯えて踏んでしまったようだ。ローブのモノは此方に気づき、立ち上がった。
その瞬間ファングは逃げ出し、マルフォイもそれに続いていった。私とハリーはローブのモノと対峙する。
ローブのモノは此方に腕をつきだしてきた。まさか、杖を持ってるの?!
『プロテゴ‼ー守れー』
ローブのモノから赤い光線がとんできたため防御する。ハリーを背に庇う。
私が戦わなければ‼
ハリーを守らなければ‼
ローブのモノは次々と呪文を放ってくる。
それを私は防ぐ。
呪文の弾幕に一瞬の隙ができた。
今だ‼
『ステューピファイ‼ー麻痺せよー』
失神呪文を唱える。相手は驚いたように回避した。盾の呪文を唱えた時には無かった動揺がみられる。
もしかして、私のことを知っている?
ローブのモノは分が悪いと考えたのか、素早く森の奥へと消えていった。
「ハリー、大丈夫?怪我はない?」
「大丈夫だよ、ありがとうルクスリア。君のおかげだよ。まさか、あんなにルクスリアが強いとは思わなかったよ。」
良かった。
無事みたい。
守りきれた。
幸福感に全身が包まれる。
ああ、今なら守護霊の呪文をいくらでも唱えられそう……。
「ルクスリアこそ怪我はない?」
「全部防いだから平気。流石に疲れたけどね。とりあえず、早めにハグリッド達と合流しよう。また襲われたら大変だからね。ハリーに合図をお願いしてもいい?」
あらかじめ決めておいた合図をハリーが打ち上げる。私はハグリッド達が到着するまで警戒し続けた。
ハグリッド達と合流した。残念ながらユニコーンは死んでいた。今はユニコーンを埋葬している。
皆ユニコーンの哀れな姿に、黙々と作業をしている。あのマルフォイ(逃げた後、ファングと共に合流したらしい)でさえ、敬意を表していた。
ユニコーンの血には、死に絶えそうな状態であっても命を生き永らえさせる力があるらしい。
しかし、その代償として「生きながらの死」と言われる程の呪いを受けるそうだ。
あのローブのモノはそんな呪いを受けてでも、死にたくなかったのか。
死に例えられる程の苦痛を受けてなお、肉体の生に執着しているのか。
なんだか、可哀想だ。
ローブのモノの正体が気になる。
おそらく、人間の魔法使いだろう。杖を使える生物は人間だけだし、使っていた呪文も失神呪文だった。
性別は分からない。変身術を使えば性別も変えられる。体格も同じだ。
後、何か材料はあるだろうか。
私の盾の呪文には驚かず、失神呪文に驚いたことか。
私が盾の呪文を使える事を知っているのは、ハリー、ロン、ハーマイオニーと教師陣だけだ。つまり、ホグワーツにいる人達の誰かと推測できる。
ハリー達は一緒にいたので除外だ。
そうなると教師陣が残るけど、いったい誰だ。
スネイプ先生は違う。スネイプ先生自身が教えてくれたのだ。あの反応はおかしい。
ダンブルドアも違うだろう。ロンの言う通りなら、私相手に逃げたりはしないだろうし、スネイプ先生が報告している可能性が高い。
他の教師陣については分からない。
何か、あと一つ何かあれば答えに辿り着けそうなのに。
「よし、こんなんでいいだろ。皆よくやった。ありがとう。こいつも安らかに眠れるだろう。」
埋葬が終わり、黙祷を捧げる。
「ハグリッド、今までにどれだけのユニコーンがこんな目に合ってきたの?」
ハーマイオニーが「許せない」といった顔で質問した。
「俺が森番になってからはこんなことは無かった。だが、今年度になってから見つかり始めた。だいたい週に1頭か2頭のペースだ。既に30頭は越えている。」
そんなに襲われているのか。今年度になってから。
ん?今年度になってから?
今年度になってからということは、誰かが今年度になってから新たにホグワーツに来たということ。
今年度になってから新たに来たのは、私達新入生だ。
しかし、新入生の可能性はないはず。
考えられるのは……。
「ハグリッド、今年になってからホグワーツの教員になった人はいる?」
「突然どうした?……まあ、いいか。新任の先生はおらんよ。皆ホグワーツに以前からいた先生方だ。」
なんだって。いないの?
予想が外れてしまったのか……。
「新任の先生はおらんがクィレル先生が一年間の休暇が終わって、復職したな。もとはマグル学だったんだが、新しく闇の魔術の防衛術に就かれたな。変なターバンを巻いていて、性格も変わってたから驚いたもんだ。」
そういうことか‼
「ありがとうハグリッド。助かったよ。」
やっぱり私の考えは正解だった。
犯人は、クィレル先生だ。
凄く駆け足になってしまいました。
まあ、全体に私が書くと駆け足になってしまうのですが……。
ちなみに、戦闘中のハリーは、脅えていたのではなく何かできないか気を窺っていました。勇猛果敢なグリフィンドールですからね。
感想等ありましたらお願い致します。