ハリー・ポッターと魅了の少女   作:栴檀若葉

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今回初めて視点変更にチャレンジしてみました。


ハロウィン

 

ルクスリア視点

 

ホグワーツでの生活が始まってから、もうすぐ二ヶ月が経つのかぁ。この二ヶ月間はとっても幸せな日々だったな。授業は、最初は不安が強かったけど、思っていたよりずっとついていけてるし、むしろできる方みたい。グリフィンドールの生徒とも友達になれて、対等に接することができているし、何よりも呪いをかけてしまったこともない。なんだか全部が上手くいってるみたい。

 

ただひとつを除いては。

 

最初の頃は同じ部屋ということもあってか、授業の時や食事等も一緒に取っていたのに、ホグワーツでの生活が進むにつれて、私に対して変な態度を取るようになっていったんだよね。

 

ハーマイオニーが。

 

ハーマイオニーの態度が変になっていった最初の頃に気が付いて、ハリーやロンに相談したんだけど、そしたら二人に、

 

「君は悪くないよ。皆ハーマイオニーは嫌な奴だって言ってるしね。きっと、ハーマイオニーの被っていた化けの皮が剥がれただけだよ。」

 

と言われてしまった。私としてはハーマイオニーは非常に頭が良く、自分の行動がどういう結果に繋がるのか分かっていると思っている。だから、何か私に原因があるのかと考えてしまう。

 

最近は、私と目も合わさず(髪で隠れてるけど)、部屋で一緒になってもハーマイオニーはカーテンをしめてこもっちゃう。耳をたててみると、カリカリという音が聞こえるので、どうやら勉強をしているようなんだけど、それが深夜になっても続けているんだよね。ラベンダーとパーバティと話してみると、二人とも私と一緒でハーマイオニーを心配してて、

 

「最初は勉強する音が気になって腹がたったんだけどさ、ここまで毎晩遅くまで勉強してフラフラになってるの見るとさ、流石に心配になるよね。」

 

「そこでさ、二人で「たまにはちゃんと寝たら?」って言ったのよ。でもハーマイオニーったら、「寝てたらどんどん遅れちゃうから。それに、負けるのは嫌なの。負けたくない。」ですって。今でも十分優秀なのに、どこを目指してるのかしらね。それに、いったい誰に負けたくないのかしら。」

 

と言っていた。ハーマイオニーはこのままだと体を壊しちゃう。勉強するのはいいと思うけど、流石にやりすぎだよね。でも、私に対して変な態度取るし、私が言っても意味ないかもしれない。

 

「私、どうしたらいいのかな?」

 

「どうしてグリフィンドールの生徒じゃなくてハッフルパフの僕に聞くんだい?」

 

ハッフルパフの生徒は不思議そうにたずねてきた。

 

「えっと、どうしてグリフィンドール生に聞かないかと言うと、グリフィンドールの人って視野が少し狭いかなって思うの。一つの考えを信じきれると言うかさ。そういう人の意見も良いけど、もっと柔軟な考えも聞きたいなって。それに、ハッフルパフは人間関係が優れてるって聞いたからだよ。もうひとつ何故貴方かと言うと、たまたま独りで歩いてるハッフルパフ生を探してたら、最初に見つけたのが貴方だったからよ、セドリック。」

 

そう、私が相談しているのはハッフルパフの三年生のセドリック・ディゴリー。昼休みにハッフルパフ生を探していたら、良い人っぽさが滲み出ていたから声をかけた。

 

「なるほどね。良く分かったよ。……そうだね。君の話を聞いている限り、そのハーマイオニーって子は君に嫉妬しているんじゃないかな?」

 

ハーマイオニーが私に嫉妬?私の何に嫉妬してるの?

 

「それは、おかしいよセドリック。私にハーマイオニーに嫉妬されるような所はないよ。」

 

ハーマイオニーは勉強は私なんかよりも全然できるし、魔法も皆より上達が早いし、私を羨むところなんかあるのかな。

 

「うーん、そうなのか。…………質問なんだけど、君は授業で点数を貰うことはあるかい?」

 

「あるよ。でも、ハーマイオニーも貰ってるよ。」

 

「君とハーマイオニーだったらどっちの方が貰うことが多い?」

 

「んー同じくらいかな。あっでも魔法薬学だとスネイプ先生がハーマイオニーを無視するんだよね。」

 

「なるほどね。じゃあもうひとつ、君は人間関係で何か苦労しているかい?」

 

「この外見だから、変な目で見られることはまだあるけど、話してみたら皆気にならなくなるみたいで仲良くなれるよ。」

 

「ありがとう、質問に答えてくれて。さて……もう一度言うけどハーマイオニーは君に勉強のことで嫉妬しているよ。そこにライバル心もあるみたいだけどね。それに、何よりも君が自分にはできないことをしていることが羨ましいんじゃないかな?」

 

「それってどんなこと?」

 

「ハーマイオニーは恐らく人間関係を上手く築いて維持することが苦手なんだろう。だけど君は授業では同じくらいなのに、人間関係は良好だ。現に僕も初めて君と話したけど、君が良い人だというのが凄く伝わってきてるしね。」

 

セドリックの言葉のおかげで、色々と繋がってきた。でも、分かってきたのはいいんだけど、こんな時どうすればいいんだろう。困った顔をしていたら(隠れてるけど)、セドリックは察して話してくれた。

 

「君がハーマイオニーとの関係を良くしたいなら、君がハーマイオニーを受け入れてあげるのが良いんじゃないかな?ハーマイオニーは、きっと寂しいんだよ。でも、そのことを上手く伝えられないから、逆効果な方法をとってしまってるんじゃないかな?だから、ハーマイオニーの寂しさを受け入れてあげて、君のハーマイオニーへの思いも伝えてあげれば良いと思うよ。あくまで、僕の予想通りならだけどね。」

 

そう言って、セドリックはカッコつけすぎたと呟いて照れ臭そうに笑った。彼はとても優しい人だ。初対面なのに、こんなに話を聞いてくれてアドバイスもしてくれた。なんだか、勇気が湧いてきた。

 

「ありがとうセドリック!!貴方に相談して正解だったよ。私、今晩ハーマイオニーと話してみるね。貴方ってとっても良い人だね。それじゃ、バイバイ!!」

 

そう言って、セドリックと別れた。さあ、今晩は勝負だ。その為にも午後の授業を乗り気って、それからハロウィン料理を味わって、エネルギーをつけないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖精の呪文

 

「今日は浮遊術をやります。皆さんの前に置いてある羽根を浮かせて下さい。呪文はこうです。『ウィンガーディアム・レヴィオーサー浮遊せよー』」

 

フリットウィック先生がキーキーとした声で唱えると羽がふわりと浮き上がった。発音が難しくて噛んじゃいそう。

 

「それでは、やってみてください。」

 

まずは、杖を振らずにゆっくりと練習してみよう。

 

「ウィンガーディアム・レヴィオーサ」

 

大丈夫そうだ。たぶん、杖を振れば成功するだろう。いつもなら、何も考えず直ぐに呪文を唱えるけど、今日はハーマイオニーが気になっちゃうな。

 

な、なにかその羽根に恨みでもあるの?

 

それくらい真剣な顔で練習していた。さっきの話的には、ハーマイオニーに一番を譲った方が良いのかな?このまま杖を振らずに練習して、ハーマイオニーが成功するのを見てからの方が良いのかな?

 

……なんかそれは違う気がする。手を抜くのって、相手の事を凄くバカにしてる感じがするし、ハーマイオニーとの関係を良くするなら、むしろ真剣勝負の方が良い気がする。

 

『ウィンガーディアム・レヴィオーサー浮遊せよー』

 

気持ちを固めて唱えると、羽根は宙に浮き上がった。

 

「素晴らしい‼グリフィンドールに5点差し上げます。皆さん発音に気を付けるのですよ。」

 

ハーマイオニーの方を見ると、さっきまで羽根に向けていた視線が私に突き刺さってきた。怖いよ……ハーマイオニー……。

 

その後、近くに座ったハリーとラベンダーにコツを教え(二人とも少し浮いた)、授業は終了した。

 

「ラベンダー、私先に大広間に行くからまた後でね!」

 

「分かったわ。私は荷物を置いてから行くからまた後でね。……食べ過ぎないようにね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大広間

 

凄くカボチャだ。全部カボチャだ。食べ物も飲み物も大広間の飾り付けもカボチャだ。いくらハロウィンだからって、拘り過ぎじゃないかな?まあ、美味しいから良いんだけどさ。

 

ハロウィンということもあってか、皆普段よりもワイワイと騒いでいる。あっ、ラベンダーとパーバティが来た。手を振ると気付いたようで私の方に来た。

 

「凄く、カボチャね。」

 

「そうなんだよ。でも、どれもみんな味が少しずつ違うから、思ったよりもいけると思うよ。」

 

「貴女は何時だっていけるじゃない。」

 

なんかラベンダー達に呆れられてる気がする。やっぱり食べ過ぎなのかな?

 

「私って食べ過ぎ?」

 

「「もちろん」」

 

二人は息をピッタリと合わせてきた。そんな、当然よ‼、みたいな顔しなくても良いじゃん。

 

「なのに、なんでそんな細いのよ。羨ましいわ。いったい栄養は何処にいってるの?」

 

「分かんないよそんなの。私、成長はするけど、どれだけ食べても食べなくても太ったり痩せたりしたことなんてないよ。」

 

そういえば、呪いのせいで部屋に閉じ籠って、一週間位ほとんど食べなかったのに、痩せたりしなかったな。なんでだろ?魔法?

そんなことを考えていると、大広間にハリーとロンが入ってくるのを見つけた。ラベンダーとパーバティも見ていたようで話始めた。

 

「さっきのロンは流石にひどかったわね。」

 

「そうね、流石にね。」

 

「何かあったの?」

 

「そっか、貴女はすぐに教室を出たもんね。実は、ロンがハーマイオニーの悪口を言ってたのよ。それをハーマイオニーが聞いちゃってさ。もうちょっと言う場所を考えて欲しいわよね。」

 

「ハーマイオニーはそれを聞いてどうしたの?」

 

嫌な予感がする。

 

「泣きながら走ってったわ。私達が追い掛けたんだけど、地下にあるトイレに籠ってしまったのよ。」

 

のんきに食べてる場合ではなかった。今夜話そうと思ってたが、今すぐ行った方が良いんじゃないだろうか。

 

「ちょっと私ハーマイオニーの所へ行ってくる。何時帰るか分からないから、私とハーマイオニーの分、食べ物持って帰れたらそうしてくれると嬉しいな。」

 

よしハーマイオニーの所へ行こう。地下のトイレは向こうかな?あ、通りすがりにロンの頭をひっぱたこう。

 

スパーンと良い音がなった。睨んできたけど無視無視。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハーマイオニー視点

 

地下のトイレ

 

何も変わらないわ。マグルの学校にいた時から。真面目にやればやるほど皆離れていく。なんで、真面目にやってる私が損をして、不真面目な人が得をしてるのよ。絶対におかしいわ。

 

違う。そうじゃないのよ。こんなのただの言い訳よ。本当は私の皆への接し方が悪いのよ。どうしても、きつい言い方になっちゃう。さっきだって、ロンが陰口を言っていたのは、私が悪いからってことは分かってるの。もっと、優しく教えてあげれば良かったのに、どうしても喧嘩腰になっちゃって、キツいこと言っちゃって、嫌がられちゃって、その後彼の挑発にのって、当然の様に私が魔法を成功させて、どうだと言わんばかりにロンを睨み付けて、嫌味たっぷりな奴って思われるわよね。

何もしていないと、ずっとこんな後悔が頭の中を反芻しちゃう。勉強に集中してる時だけは気にしないでいられるから、どんどん勉強の時間が増えて、他の人との関わりは減って、心配だけかけて。でも、やめたら苦しいから、また勉強して。

 

こんなことをしてたら友達なんて出来ないわ。

 

なんで、私は彼女の様になれないのかしら。授業での点数とかは同じくらいなのに、見た目が不思議なのに、同じマグル生まれなのに、なんで彼女はあんなに皆に受け入れられるんだろう。

 

羨ましい。

 

羨ましくて、つらくて、無視しちゃってる。本当は仲良くしたいのに。ルクスリアと。

 

コツコツと靴の音が聞こえてきた。

 

どんどん近づいてくる。

 

足音が私の入っているトイレの個室の前で止まった。

 

「ハーマイオニー?私だよ。ルクスリアだよ。」

 

全身に緊張が走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルクスリア視点

 

このドアの向こうにハーマイオニーがいる。一度深呼吸をして覚悟を決めよう。……よし、

 

「ハーマイオニー?私だよ。ルクスリアだよ。」

 

「……何の用なの?ほっといて‼」

 

ハーマイオニーの声だ。ずっと、泣いていたのか声が震えている。

 

「私、貴女とお話ししたくて来たの。ドアを開けて。」

 

「嫌よ。話があるならこのまま話して。」

 

本当は顔を見ながら話したかったけど仕方ないか。話は聞いてくれるみたいだしね。

 

「じゃあ、このままでいいよ。あのね、私ね、貴女ともっと仲良くなりたいの。」

 

ハーマイオニーの気配が変わった。

 

「私ね、初めてホグワーツの生徒でお話した女の子ってハーマイオニーなの。最初は貴女のこと、知識ばっかの子って思ってたんだけど、それから貴女とお話しする内に、そんな事無いんだって思ったの。そしたら、もっと、貴女と仲良くなりたいと思ったんだけど、ハーマイオニーが私を最近避ける様になってて、寂しいんだ。私、ハーマイオニーが私のことどう思ってるのかも知りたい。」

 

ハーマイオニーは何か葛藤しているような、そんな感じに変わった。

 

「貴女のことを教えて。ハーマイオニー。」

 

ハーマイオニーはかなり迷っている様子だ。私は静かに待とう。

 

 

 

ガチャン

 

 

 

鍵が開いた音がした。

 

真っ赤に泣き腫らした顔で、それでも、何か期待したような顔でハーマイオニーが出てきた。

 

「私の話を聞いてくれるの?」

 

「もちろん!!」

 

ハーマイオニーは深呼吸をし、覚悟を決めた目になると話始めた。

 

「私ね、貴女が羨ましかったの。色々と共通点があるのに、貴女は皆と仲良くできてるわ。なのに、私にはそれはできないの。それが羨ましくって、貴女に冷たくしたり、、変に勉強で勝とうとしてしまったの。」

 

「そうだったんだ。私のこと良く見てたんだね。」

 

「えぇ、そうよ。だって私、本当は、貴女と仲良くしたいのよ。」

 

「本当?嬉しい‼」

 

「でも、私、口が悪いし、頭固いし、皆と仲良くするの苦手だし、それでも良いの?」

 

「全然大丈夫だよ。ハーマイオニーが直したいところとか苦手なこととかあるんだったら、私が手伝うよ。」

 

私の本心を言った。なんだか、凄く恥ずかしいことを言った気がするけど、今はどうでもいい。ハーマイオニーは、私の言葉を噛みしめているかのように下を向き、そして、私の方をみた。

……何故か、視線が私の後ろを見ている。そして、魚の様に口をパクパクとさせながら、指で私を指してきた。

 

「ル、ルクスリ、ア……後ろ……」

 

ハーマイオニーの様子にただ事じゃないと思って後ろを振り向いたら、何か巨大な化け物がいた。

 

くすみにくすんだピンク色の肌をした巨体の上に申し訳程度に小さな頭がある。顔は何も考えていなそうな間抜けな顔で、豚の様にブーブーと鳴いていて、右手には私なんかよりもずっと大きい棍棒を持っている。

 

こちらを見てきた。どうやら、獲物としてロックオンされてしまったみたいだ。

 

「に、逃げなきゃ‼ルクスリア、逃げよう!!」

 

ハーマイオニーが悲鳴をあげている。私だって逃げたい。でも、逃げるったってあの化け物は入口にいて、地下にあるこのトイレに他に外に逃げる道はない。

 

戦うしかない。

 

「任せて、ハーマイオニー。私が貴女を守るから。」

 

私は杖を抜いた。杖から任せろと言わんばかりにやる気を感じる。杖に意思ってあるの?

私の言葉を聞いて理解したのか、ただうるさく感じたのかわからないが、化け物は棍棒を高く上げ、私達に振り下ろしてきた。

 

『プロテゴー護れー』

 

ギャキィーン

 

化け物の棍棒は、振り下ろしている途中で、見えない壁にぶつかり止まった。思い切り振り下ろしていたためか、化け物は腕を痛めたようで、棍棒を落としてブーブー叫んでいる。叫びながらも今度は体当たりをしてきた。

 

『プロテゴー護れー』

 

再び呪文を唱える。化け物は壁にぶつかるもそのまま壁を壊そうと何度も殴り付けてくる。魔法を解いたら私達はミンチになってしまう。このまま助けが来るまで耐えなければ。

 

「「ルクスリア、ハーマイオニー大丈夫か?!」」

 

声のする方を見ると、ハリーとロンが助けに来てくれたようだ。

 

「誰でもいいから先生を呼んで!!」

 

そう言いながらも私は必死に盾の呪文を維持する。

ロンが何故か、杖を構え始めた。ハーマイオニーは何かを察したようで、叫んだ。

 

「ビューン、ヒョイよ‼」

 

『ウィンガーディアム・レヴィオーサー浮遊せよー』

 

ロンは化け物の棍棒を浮かせ、それを化け物の小さな頭に落とした。

 

ドガッ

 

鈍い音がして、化け物は倒れた。

良かった。危機は脱したみたいだ。

 

ハリーとロンがこちらに走りよってきた。

 

「ありがとう二人とも。おかげで命拾いしたよ。」

 

「二人が来てくれなかったら、正直盾の呪文が持つかどうか怪しかったよ。ありがとう。」

 

「ルクスリア、君盾の呪文が使えるのかい?!」

 

ロンが非常に驚いた顔で私を見てきた。答えようとすると、バタバタと足音が近づいてきた。

 

「貴方達、これは一体どういうことなのですか⁉」

 

マクゴナガルとその他の教員がやって来た。

どう説明しようか悩んでいると、ハーマイオニーが話始めた。

 

「私、ここで泣いていたんです。ここなら、人があまり来ないので。そしたら、ルクスリアが泣いている私を探しに来てくれて、私の話を聞いてもらっていたら、突然あれがやってきたんです。」

 

「あれとはトロールのことですね?」

 

マクゴナガルは化け物を見ながら言った。なるほど、あれがトロールなんだ。

 

「はい、そうです。トロールが襲ってきて、そしたら、ルクスリアが、盾の呪文で守ってくれたんです。」

 

「一年生が盾の呪文を使ったと言うのですか?!」

 

これには、教員達は驚いたようだ。ダンブルドアとスネイプ先生を除いて。答えを求められている様な視線を感じたので呪文を唱えた。

 

『プロテゴー護れー』

 

「……完璧です。既に下手な大人よりも強固な守りのようですね。すみません、話が脱線しました。どうぞ続きを。」

 

「ルクスリアが守ってくれている間にハリーとロンが助けに来てくれて、トロールを倒してくれたんです。」

 

ハリーとロンは居心地悪そうにしてる。助けてくれたのになんでだろ?

 

「……事情は分かりました。ひとりにつき5点差し上げましょう。……その幸運にです。では、貴方達は寮にお戻りなさい。」

 

そう言って、マクゴナガルは私達を解放してくれた。帰り道、四人とも無言のままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グリフィンドールの談話室にやっと着いた。流石に疲れたよ。私がソファに座り一息ついていると、ロンがハーマイオニーに話しかけた。

 

「ハーマイオニー、その、今日はあんなこと言ってごめん。許して欲しい。」

 

「私こそ言い方がキツくてごめんね。」

 

二人は互いに謝りあっている。どうやら、仲直りできたみたいだ。ハリーと視線が合い、お互いに笑いあった。

 

その後、ハリーとロンは部屋に戻っていった。二人がいなくなったのを確認すると、ハーマイオニーは話しかけてきた。

 

「ルクスリア、あの時の続きを話すわね。えっと、私、こんな人間だけど友達として仲良くしてくれる?」

 

その言葉を聞いて疲れが何処かに吹き飛んだ。

 

「もちろん‼これからもよろしくね。」

 

私達はお互いに笑いあった。その後、ラベンダーとパーバティから取っておいて貰った食べ物を二人で食べ、お話をしてからベッドに潜った。やはり、体は疲れていたようで直ぐに意識は遠くなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、既に盾の呪文を使えるとはのう。」

 

「彼女は非常に優秀です。どの科目でも上位に入ります。また、木を生やすなど高度な魔法も使用しています。」

 

「なるほどのぅ。このまま、見守るだけでは危険かもしれんな。……すまんが、頼みがある。」

 

「なんでしょうか?」

 

「彼女に個人レッスンをしてやってくれんか?変に他の魔法を修得されるよりも、こちらである程度コントロールした方が良いかもしれん。」

 

「……承知しました。」

 

 

 

 




こんなのハーマイオニーじゃないって人がいらっしゃったらごめんなさい。

相談相手は、スネイプか双子かセドリックかで悩みましたが、結局一番真摯に答えてくれそうなセドリックに決めました。

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