ハリー・ポッターと魅了の少女   作:栴檀若葉

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内容を濃くできるようにしたいですね……




授業

 

新しい朝が来た。希望の朝だ。

 

窓から差し込んでくる日の光を感じ、ルクスリアは目を覚ました。慣れていないベッドのはずなのに、使い込んだベッドの様に安心感があり、ぐっすりと眠ることができた。時計を見てみると、どうやら少しだけ早く起きてしまったようだ。二度寝をして、初日から寝坊するのもまずいので、ベッドを出ることにした。

同室の三人は、まだ眠っているようなので起こさないように部屋を出て、大広間へと向かい、今日の授業の予習を始めた。

しばらくすると、徐々に他の生徒も起きてきたようで、大広間がざわついてきた。

 

「おはよう。あなたって朝早いのね。起きたら貴女だけいないからビックリしちゃった。」

 

「おはようハーマイオニー。……余計なお世話かもしれないけど、後ろ髪が凄く跳ねてるよ。」

 

ハーマイオニーはかなりの癖毛のようで後ろ髪がピョンピョンと跳ねていた。

ハーマイオニーはルクスリアの正面に座り、パンにマーマレードを塗りたくりながら答えた。

 

「どうしても跳ねちゃうのよね。ずーっとこんな感じなの。直らない日はずっとこのままよ。ルクスリアこそ髪の毛けっこうウェーブかかって長いのに、なんでそんなに纏まるのよ。」

 

ハーマイオニーの疑問にルクスリアも疑問に思った。自分の髪もストレートではなく、波打っているような感じだ。しかし、幼い頃から寝癖がついたことは一度もない。

 

「私、なぜか寝癖がつかないの。朝起きたらもうこんな感じだよ。」

 

「羨ましいわ。朝、髪の毛に時間とられるの結構辛いのよね。」

 

そのまま二人は髪の毛の話や授業への期待を話しながら食事をし、授業へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身術

 

変身術の教室に入ると、マクゴナガルはおらず、机の上に猫が一匹座っているだけだった。不思議に思いながら席につき授業開始の時間になった。しかし、マクゴナガルは現れず、教室内はざわざわしていた。すると、突然猫の体がグニャリと歪みそのまま巨大化し始め、変化が終わるとそこにはマクゴナガルが立っていた。

 

「変身術を担当しますマクゴナガルです。授業開始の時間になったら、教員がおらずとも静かにするべきではないでしょうか?」

 

その発言で教室中が静かになった。

 

「よろしい。今日から授業が始まりますが、まずは、変身術の基礎として、マッチ棒を針に変えてもらいます。さて、何故変身術の基礎としてこれを行うのかわかる人はいますか?」

 

マクゴナガルの質問にグリフィンドール生は互いの顔を見合い、誰か答えられる人はいないか探した。そんな中で、ハーマイオニーだけは腕をピシッと上げ自信に溢れた顔をしていた。

マクゴナガルがハーマイオニーを指名すると、まるで教科書を音読しているかの様に、説明し始めた。

 

「変身術はその対象が大きくなればなるほど難易度が上がります。また、非生物よりも生物を変える方が難易度が高いです。さらに、姿形が類似している方が変化した後をイメージしやすく難易度は下がります。なので、小さくて形が似ている物ということで、マッチ棒を針に変えることが基礎なんです。」

 

「完璧です。予習をしっかりとしているのですね。グリフィンドールに5点あげましょう。それでは、練習を始めてください。」

 

マクゴナガルの合図に、皆一斉に魔法を唱え始めた。ルクスリアは呪文を唱えることが初めてであったので、すぐには唱えず様子を窺うことにした。

皆なかなか変えられず苦戦していた。中には何故かマッチに火がついてしまう生徒や爆発させている生徒もいた。ルクスリアは皆ができていないのを見て安心し、マッチ棒を見つめた。

 

[コツは頭の中に、変化した後のものをイメージすること。……マッチ棒の赤い部分が針の先に、色は金色で、長さはそのままで、太さはもっと細く……]

 

ルクスリアはゆっくりとイメージを固め、そして呪文を唱えた。

 

「あれ、できちゃった。」

 

さっきまでマッチ棒であったものが、見事にイメージ通りの針になっていた。それに気づいたマクゴナガルが近づいてきた。

 

「素晴らしいです、ルクスリア。グリフィンドールに5点あげましょうか。皆みてください。彼女はたった一回で成功させました。大事なのはイメージです。何度もチャレンジするのもいいですが、落ち着いてゆっくりとやるのも一つの方法ですよ。」

 

結局この日できたのは、ルクスリアとハーマイオニーだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法薬学

 

魔法薬学の教室は、ルクスリアからすればまさしくそれっぽい部屋だった。暗くジメジメとしている教室に、何かのホルマリン漬け、コポコポと音をたてているガラス瓶にグツグツと何かを煮ている大釜等が置いてあるが、何故か不思議と清潔さがあった。

魔法薬学の授業はグリフィンドールとスリザリンの合同授業で、犬猿の仲である両寮生徒はピリピリとしていた。時間になると、スネイプがやってきて、出席を取り始めた。

 

「ハリー・ポッター……あぁ、我らが新しいスターだね。」

 

スネイプはハリーの名前を呼ぶと、皮肉をたっぷりと込めた笑顔で言った。

出席を取り終えるとスネイプは、魔法薬学について語り始めた。

 

「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学んでもらう。このクラスでは杖を振り回すような馬鹿げた事はやらん。これでも魔法かと思う者も多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち上る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力…… 諸君がこの素晴らしさを完全に理解することは期待してはおらん。我が輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である。もっとも、我が輩がこれまで教えて来たウスノロどもより諸君がまだましであるならの話だが」

 

その後、スネイプが再びハリーをいびった後に作業が始まった。最初ということもあり、単純なおできを治す薬を作ることになった。

 

[前に書いてある手順に従えばいいんだよね。]

 

ルクスリアはハーマイオニーとペアを組み、作業を始めた。ルクスリアとハーマイオニーは初めてとは思えない速さと正確さで、すぐに完成させた。

 

「思ったよりも簡単だったわ‼初歩中の初歩でしょうけど、私たち、皆よりはよっぽどできるわね!!」

 

ハーマイオニーが自信に満ち溢れた顔で話しかけてきた。ハーマイオニーの多少傲慢な言い方に、ルクスリアは釘をさした。

 

「思ったよりも簡単だったのは私も思うけど、皆よりできるかどうかはまだわからないよ。皆不慣れなだけかもしれないし。すぐに作業に慣れてくるよ。……とりあえずできた薬をスネイプ先生に見せようか。」

 

そう言うと、ハーマイオニーは不機嫌になった。ルクスリアは挙手をしスネイプを呼んだ。

 

「何か質問かね?」

 

「いえ、私たちはもう完成したので、見ていただけたらと。」

 

「もう完成したのかね。……ふん。初めてにしては合格だろう。どうやらルクスリア、君には魔法薬のセンスが有るのかもしれんな。」

 

スネイプはハーマイオニーを完全に無視しルクスリアだけを褒め、他の生徒の様子を見に行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛行訓練

 

授業が始まって数日後、飛行訓練が行われることになった。そのことを知ったルクスリアは、スネイプの所へとんでいった。スネイプは魔法薬学の教室にいた。

 

「スネイプ先生、飛行訓練の際に前髪が風に煽られて魔眼が見えてしまう可能性があるのですが大丈夫でしょうか?!」

 

「……君に渡した魔眼殺しの眼帯は、非常に貴重でかつ強力なものだ。この短期間でそれを突破するほど魔眼の力は増していないだろう。それに、君は前髪で顔を隠しているが、常に隠せているわけではなかろう。ふとした時に、髪の隙間から見えていることもあるはずだ。だが、今のところ問題はない。飛行訓練には何も支障はないはずだ。分かったのなら行きたまえ。我輩はこう見えて忙しいのでね。」

 

そう言って、スネイプは話は終わりだと言わんばかりに、仕事に戻っていった。

 

そして、飛行訓練当日、またもグリフィンドールとスリザリンの合同授業ということで、せっかくの飛行訓練であるのに、またもやピリピリとしていた。

 

飛行訓練場に行くと、箒が地面に規則正しく並べてあり、その中心に鷹のような鋭い目を持つ女性、マダム・フーチが待っていた。

 

「何をぐずぐずしているのです!!早く箒の横に立ちなさい‼」

 

マダム・フーチがいきなり叱咤してきたため、皆急いで箒の横に立った。

 

「箒の上に手をかざし、『あがれ』と言いなさい。箒が手の中におさまるはずです。さあ、始めなさい‼」

 

合図で皆一斉に始めた。ルクスリアもやってみると、箒は手の中におさまった。

 

[本当にあがったよ。結構簡単なんだなぁ。]

 

周りを見ると、できている生徒はハリー、マルフォイ、ルクスリアだけだった。ハーマイオニーの箒は動いてはいるのだが、中々手の中に収まらないようだ。ロンの箒は地面をコロコロと転がっているだけで、一番酷いネビルは箒がピクリともしていなかった。ようやく箒が手におさまったハーマイオニーは、周囲を見て既にできている人がいることにとても悔しそうだった。

 

全員がようやく箒を持ったところで、マダム・フーチは新たな指示を出し始めた。

 

「それでは、箒に跨がりなさい。私が合図をしたら、地面を強く蹴って飛んでください。ただし、高く飛びすぎてはダメですよ。三、二」

 

「うわぁぁー!助けてー!」

 

マダム・フーチの合図が出る前に、緊張していたのか、ネビルは先に飛び上がってしまった。コントロールができないようで、フラフラとどんどん高度を上げていく。

 

「ロングボトム戻ってらっしゃい‼」

 

マダム・フーチも緊急事態に混乱しているようで、右往左往している。ネビルはどんどんと校舎に近づいていき、このままでは激突して箒から投げだされてしまいそうだった。

 

[あんな所から落ちたら、最悪死んでしまう‼助けなきゃ‼]

 

ルクスリアは、ネビルを助ける方法が何も浮かんでいないにも関わらず、ネビルを助けようと杖をネビルの方に向けた。すると、習ったことも聞いたこともない呪文が頭の中に浮かんできた。ルクスリアは迷わずその呪文を唱えた。

 

『クリシェレ・アーボリビス!!ー樹木よ生えよ!!ー』

 

ルクスリアが呪文を唱えた瞬間、地面からネビルめがけて木が生えていき、今まさに校舎に激突しそうになったネビルの前に届き、木に突っ込む形になったネビルは枝がクッションになって、難を逃れることができた。

 

ネビルの無事を確認したルクスリアは非常に強い倦怠感に襲われた。どうやら、急激に魔力を使いすぎたことによる疲労のようだった。

 

[何であんな呪文を唱えられたんだろう。読んだ教科書には載ってなかったのに……。もしかして杖が教えてくれたのかな?]

 

そう思い杖を見ると、まるでその通りだと言わんばかりに杖先に花を咲かせた。

 

「見事でした!!グリフィンドールに10点。私は今からロングボトムを下ろした後に、念のため彼をマダム・ポンフリーのもとへ連れていきます。」

 

その後、戻るまで絶対に飛ばないように釘をさしマダム・フーチはネビルを連れていった。

 

「ルクスリア、凄いじゃないか‼あんな魔法を使えたなんて‼」

 

ハリーとロンがルクスリアの方に来て褒め始めた。すると、他のグリフィンドール生もそれを皮切りに一斉にルクスリアを褒め始めた。

 

「よく咄嗟に唱えられたよな。」

「あんな大きい木を生やすなんて、魔力も強いな」

「あの木はニワトコの木だな。家の庭にも生えてたけど、あんな大きいのは初めて見たよ」

 

ルクスリアは皆に褒められたことをとても嬉しく感じていた。どこからか、突き刺さる嫉妬の視線には気付かずに。

 

その後、マルフォイとハリーに一悶着ありマクゴナガルがハリーを連れていった所で授業は終了となった。

 

 




オリジナル呪文
『クリシェレ・アーボリビスー樹木よ生えよ』

木を生やします。使う魔力量によって大きさが変わります。


ルクスリアは結構優秀です。ですが、学問分野ではハーマイオニーにはとてもじゃありませんが勝てません。

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