ハリー・ポッターと魅了の少女   作:栴檀若葉

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この勢いはどこまで続くのやら……
書きたい欲がすごいです。

もしよかったら感想等頂けたら嬉しいです。


入学準備

 

「ところでスネイプ先生、このリストに載ってるものって何処で揃えられるんですか?私、魔法の杖なんて売ってるの見たことないんですけど…」

 

「それらの品はダイアゴン横丁で全て揃えることができるので安心したまえ。また、魔法族出身でないものは買い物に担当者が付き添う。君の場合は我輩だ。」

 

ルクスリアは安心した様子だったが、直ぐにハッと何かに気がついた。

 

「先生、私お金を全然持ってないです。」

 

「それも安心したまえ。ホグワーツでは、君の様な経済的に厳しい生徒には援助をする。もちろん返済は不要だ。」

 

スネイプの説明を聞き、ルクスリアは安心感より先に不信感が涌き上がってきた。

 

「ホグワーツって不思議ですね…生徒にお金を出してくれるなんて……何か裏がないか勘繰っちゃいます。」

 

「……君がどんな想像をしたのかはどうでもいいが、一応説明しておこう。魔法使いは非常にマグル………非魔法族のことなのだが、マグルと比べて人口が少ない。それ故にこれ以上人口を減らさないためにも、人材の確保に励んでいるのだ。……中には例外もいるがな。また、魔法は秘匿されるべきものであり、マグルに存在が明らかになることは好ましくない。そのため、魔法の才の有る者を野放しにしておきマグルに魔法を見られる危険性があるよりは、金を出してでもこちらの世界に引き込んだ方が安上がりなのだ。」

 

「なるほど、私に魔法をコントロールする術を学ばせる代わりに安全を手に入れるのですね。」

 

「その通りだ。さて、時間がないのでこれよりダイアゴン横丁へ向かう。」

 

「孤児院の人達はどうするんですか?」

 

「暫く眠っているので問題なかろう。何かあれば今日のことについてのみ記憶を改竄しておく。」

 

「分かりました。それでは準備しますので部屋の前で待っていてください。」

 

スネイプはルクスリアの言葉に従い部屋を出た。部屋からは衣擦れの音が聞こえ、5分程でルクスリアが出てきた。

 

「君はふざけているのかね?」

 

ルクスリアの格好は異様であった。肌の露出を一切なくし、大きなフードつきのコートを着て顔を完全に隠していた。

 

「いつも出掛けなければいけない時はこの格好なんです。この格好にしてからは、人が寄ってくることがないんですよ。」

 

「……暫しここで待っていたまえ。30分程で戻る。」

 

そう言うと、スネイプがその場で回転し姿が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宣言通り30分程でスネイプは帰ってきた。彼はルクスリアに小さな箱を私に渡した。

 

「これは……眼帯ですか?」

 

「左様。しかもただの眼帯ではない。魔眼の力を封じ込める事が出切る魔眼殺しの眼帯だ。」

 

「じゃあ、この眼帯をすれば呪いをかけずにすむんですか⁉」

 

「恐らくな。だが、魔眼の中には次第に力が増し魔眼殺しでも封じ込めなくなることもあるため、絶対とは言い切れん。しかし……そのような格好でずっといるわけにはいかんだろう。眼帯をつけ出来る限り君の目を他人に見せない様にするべきだ。」

 

スネイプの話を聞き、ルクスリアは明らかに喜んだ。自分を隠しながら、生活しなくていい。それだけでルクスリアは幸福を感じていた。

 

「ありがとうございます、スネイプ先生。早速着けてきます。」

 

そう言うと、部屋に戻って行き5分程で出てきた。服装は普通になったものの髪型はそのままで。

 

「先生、やっぱり……何かの拍子に呪いをかけてしまったら嫌なので……眼帯もつけますが髪型はこのままにしようと思います。」

 

「……君がそう決めたのなら我輩はもう何も言わん。さて、今度こそ行こうか。我輩の腕をしっかりと掴みたまえ。」

 

「?分かりました。」

 

ルクスリアが恐る恐るスネイプの腕を掴んだ途端、内臓が引っ張られる様な感覚があった後、目を開けると、見慣れた孤児院ではなくなっていた。

 

「ここは漏れ鍋という魔法族の店だ。この店の裏からダイアゴン横丁へ行ける。」

 

スネイプがルクスリアに説明していると、店主と思われる男がはなしかけてきた。

 

「やあ、セブルス。君がここに来るとは珍しいね。」

 

「今回はホグワーツの仕事で来ただけだ。」

 

「そんなとこだと思ったよ。……そちらのお嬢さんは新入生かな?漏れ鍋にようこそ。私は店主のトムだ。」

 

ルクスリアは会釈だけをし、直ぐにスネイプの陰に隠れてしまった。

 

「恥ずかしがり屋なのかな?顔も隠しているしね。まあそんなことよりセブルス、今日この店に誰が来たと思う?なんと、あのハリー・ポッターだ‼あのお方も今年ホグワーツに入学なんだってさ。いやー会えて光栄だったよ。」

 

「……すまないがトム、我輩達は急いでいるので君の話を聞いている余裕はないのだ。」

 

突然不機嫌になったスネイプはトムの話を遮り、歩き出してしまったので、ルクスリアは慌てて追いかけて行った。

 

漏れ鍋の裏手に行くとレンガの壁があった。

 

「一度しかやらん。よく見ていたまえ。」

 

そう言うとスネイプは、杖を取り出してレンガを叩き始めた。叩き終わるとレンガが勝手に動きだし、それが終わると目の前には全く違う景色が広がっていた。

ローブを着込んだ人々、箒に見いっている子ども達、蛙の卵など怪しいものを売っている店、何もかもが初めての光景であった。

 

「こんな場所があったなんて」

 

「魔法族はこのように、マグルに気付かれないように街を作り暮らしているのだ。さて、まずは最も大切な杖を選びに行く。ついてきたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「杖はここで購入することができる。さあ、行ってきたまえ。我輩はその他のものを揃えてくる。これだけあれば杖の代金は足りるはずだ。受け取れ。」

 

そう言うと、スネイプはルクスリアに金が入っているであろう巾着袋を渡しさっさと行ってしまった。

 

[スネイプ先生行っちゃった……]

 

1人店の前に残されてしまったルクスリアは、ただでさえ初めての場所と多くの人がいる状態であったのに、頼れる人もいなくなってしまい、急激に強い不安に襲われ始め、その場から動けず、店の中にも入れずにいた。暫くして落ち着いてくると意を決して、店のドアを開けた。

 

「ようこそ、お嬢さん。私は店主のオリバンダーです。」

 

店の中には老人が、山のように箱が積んである中でポツンと待っていた。

 

「いつ御来店なさるのかを今か今かと待っていました。そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」

 

どうやら、店の外でのルクスリアの様子はオリバンダーに筒抜けであったようだ。ルクスリアは途端に恥ずかしくなった。

 

「さて、早速杖を選ぶといたしましょうか。杖腕はどちらですかな?」

 

「杖腕?……利き腕なら右手です。」

 

答えると、オリバンダーはルクスリアの腕などを測り始め、終えると店の奥へと入っていった。

 

「さてさて、お嬢さんにはどのような杖が良いか。心配しなくとも貴女にピッタリの杖を選んで差し上げますぞ。まずは、オークに一角獣の毛28センチ、しなやか」

 

ルクスリアが持つと直ぐ様オリバンダーは杖を取り上げてしまった。

 

「違うようじゃ。では、次はこれを。ブナにセストラルの毛32センチ、頑固だが強力」

 

今度は持った瞬間、窓ガラスが割れた。その後も何本も試すが全く見つからない。それなのに、オリバンダーは何処か楽しげであった。

 

「一日に二人も難しいお客さんが来るとはなんという日じゃ。さて、いったいどれが良いことやら」

 

ルクスリアは、実は自分に合う杖が無いのではと思い始め、ソワソワと店内を見回し始めた。すると、1つの箱に目がいった。

 

「オリバンダーさんあの杖は?」

 

「なんと……その杖を見つけてしまわれましたか。あの杖は私が一度しか使ったことのない樹を使っているものでして、非常に扱いが難しいためずっと売れ残っておったのじゃが……これも何かの縁かもしれん。」

 

そう言いながら、オリバンダーは大切そうに杖を持ってきた。

 

「ヤドリギにドラゴンの心臓の琴線23センチ、守りの呪文に最適」

 

ルクスリアが杖を持つと、店内の木材から枝が延び始めた。

 

「ブラボー‼本当にその杖に選ばれるとは……その杖に使われているヤドリギは、とある大樹に寄生していたものでしてな。その大樹から作られたと言われている杖は非常に強い力を持った杖と言われているが、その杖は非常に強い守りの力を持っておる。」

 

「守りの力……」

 

「そうじゃ。その杖はお嬢さんが何かを守ろうとするときに真の力を発揮するであろう。大事になさってください。」

 

ルクスリアは代金を払って(初めての魔法界の通貨で困った)店を出た。そこには、荷物を抱えたスネイプが待っていた。

 

「杖は買えたな?次は制服を買いに行く。ついてきたまえ。」

 

スネイプはまたもや素っ気なく直ぐに行ってしまったため、ルクスリアは 半ば諦めながらついていった。

 

「この店で買うことができる。行ってきたまえ。」

 

最早作業をこなす様にスネイプは急かした。ルクスリアは大人しく言うとおりにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ての買い物を終え、アイスを食べて休んでいるルクスリアにスネイプは話し始めた。

 

「さて、明後日に君はホグワーツに行くことになるのだが…残りの日を何処で過ごす?孤児院に戻るか?」

 

「…………できればあの孤児院には帰りたくありません。皆私の呪いのせいでおかしくなってしまっていて……身勝手ですけど、私はあそこに帰るべきではないと思いますし、帰ることが怖いんです。」

 

「ならば漏れ鍋にこの二日は泊まりたまえ。手続きはしておこう。」

 

「ありがとうございます。」

 

その後、トムに話を通しスネイプは去っていった。ルクスリアは勇気を出してトムや他の客と話をし、あっという間に二日がたった。

 

 

 

 


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